僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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74.

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「そうそう、このバスケットの中身は全部ハムタマだからね?他のが欲しかったら違うバスケット出すけど…
何か欲しいのある?
カツ、ポテサラ、コロッケ、テリヤキチキン、ツナマヨ、チーズ、後は単品でのハムとタマゴも用意してるし、トマトとか色々挟んだミックスサンドもあるし、食べたいのがあったら言ってみてね」
「あ、いえ…いいです。充分です。大丈夫です」

僕は思った以上に美味しかったコーヒーを飲みながら、実はさっきからずっとアヤさんに言われた事をぼんやりと考えていた。

甘い。
ちょっと砂糖入れ過ぎた…

じゃなくて、

言われた通り耐性スキルを全部パッシブにしたのに、魔力の減ってる感じが全然分からないんだけど…
これってどういう事なのかなぁ、とね。

バスケットに手を伸ばし、サンドイッチを掴んでモグモグ頬張りながら考えていると、アヤさんが心配そうに僕を覗き込んでいた。

「どうしたの?あんまり美味しくなかった?」

聞かれて僕は焦って首を横に振った。

「違ッ……ン!…………っくん、グッ!?」

慌てて飛び出しそうになった口の中のサンドイッチを嚥下して、苦しくなった僕はコーヒーカップに手を伸ばした。

の…喉に詰まった!

アヤさんが急いで僕の手を止めて、コーヒーカップの代わりに水の入ったグラスを持たせてくれた。

ゴクッ、ゴクッ…ゴクゴク……ゴク…
ふッ…はぁ……

何とか咳き込む前にグラスの水を飲み干して一息つく。

危なかった…
咳き込んで折角の美味しいサンドイッチを口から吹き出しちゃうところだった。

「大丈夫?コーヒーの一気飲みは火傷しそうで危ないから止めたんだけど、落ち着いた?」

肩で息を吐いた僕に、アヤさんが優しく背中をポンポンしてくれた。

「…はい、も、大丈夫です」
「で、どうしたの?何か気になる事でもあった?」

僕は少し考えて、それから徐ろに口を開いた。

「魔力の減る感じが…分からなくて、それで…」
「全然?全く?」
「……はい」
「ああ、だから昨日は魔力切れでぶっ倒れるまで、気付かず普通にスキル使いまくったのか…」

アヤさんは納得したように頷いて、考え込んだ。

「私とか、普通は魔力の消費を意識しながらスキルや魔法を使うんだけど、イツキはやりたい事をやろうとすると勝手に魔力が消費されて出来てしまう感じ…なのかな?」
「………はい、たぶん」
「そっか。それは困ったな……
もしイツキが魔力以上の事をやろうとしても、魔力が足りない事に気付かず行使してしまう時があるって事だもんね。下手したら命に関わる事も起こり得るし、今日は午後からでも少しずつスキルと魔法の勉強をしてみようか?」
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