僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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82.

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治癒魔法の基礎!
それは是非とも教えて欲しいかも…
覚えたらまた1つ、アヤさんの為に出来る事が増えるし。

僕は目を輝かせてアヤさんを見詰めた。

「はいはい、安心してね。ちゃんと連れて行くから。でもきちんと魔力循環の練習が終わってからだよ」

しっかり釘は刺されたけど、約束が貰えた僕は嬉しさを噛み締めて小さく笑って頷いた。

「ああ、それとイツキ、私はこれから少し自室で縫い物をしたりしてるから、集中して良い子で自主練してるんだよ?
でも、もし一人でいるのが淋しくなってきたら、遠慮なく部屋まで来ていいからね」

アヤさんは僕をギュッと抱き締めてから、ひとしきり頭を撫でて満足すると、名残惜しそうな顔でリビングから出て行った。

僕が集中し易いようにアヤさんは敢えて一人にしてくれたのだろう。
一人残された僕は火の気がない暖炉前のラグにペタリと座り込んで、徐ろに胡座をかいた。
静かに目を閉じ、自分の魔力とやらに意識を向けて考え始める。

アヤさんの魔力は熱いくらいに温かくて、銀色がかった綺麗な青色の感じだった。
僕のは一体何色なんだろう?
感じ取れないなら、まずは単純に色で見れたらいいんじゃないかって思ったんだけど…
あ、そう言えばアヤさんが治癒魔法を使った時は手が緑色に見えていたなぁ。
もしかして僕、感じ取れないけど見る事は出来るんじゃ…!?

イアラさんが治癒魔法を掛けてくれた時、僕は目を瞑ってたから分からなかったけど、もし目を開けてたら見えてたのかも知れない。
ウールドさんは…
気配も魔力も消すのが物凄く上手かったから、集中して見ないとダメっぽい気がするけど。

僕は目を開けて自分の掌を凝視してみた。

ーーーー別に…何も見えない、よな?

期待したのに、そう簡単にはいかないみたいだ。
今度は左手から身体を巡って右手へとアヤさんの熱が浸透していった時の感覚をトレースするようイメージしてみた。
目を閉じて集中し、ふと目を開いて……見る。

ーーーーうっわ、これは凄いや!

すると、淡く柔らかい真珠色の光が僕を包み込んでいて、左手から徐々に薄くなっていき、最後は右手から光が抜けるように消えてしまった。

きっとこれが僕の魔力…だよね?
じゃあ……
今見えてたのを感じ取る事が出来るようになれば、この課題はクリアって事になるんじゃないだろうか。

よーし、頑張るぞ!

取り敢えず、やるべき事がハッキリした事でヤル気が出た僕は再び左手に力を込めた。
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