僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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83.

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やがて僕は目を開けたままでもスムーズに魔力を循環させる事が出来るようになった、んだけどぉ………

はあぁぁぁ~~~~~ッ

僕は深い深い溜め息を吐いて肩を落とした。

相変わらず全っ然、さっぱり、魔力を感じ取る事が出来ないでいたのだった。

目には見える。
そりゃもう循環してる様子がハッキリ、くっきりと。

だけど、
自分の魔力が循環している感覚が・・・まるで分からない。
アヤさんのは分かったのに、自分のはホントに全く分からないのだ。
これはもう、一体どうしたらいいんだ??

僕は半泣きで自分の掌を見詰めた。
魔力を集めるイメージで力を込めると、掌の上に真珠色の光が凝縮されるみたいに集まっていくのが見える。
でも目を閉じれば、それも全く分からなくなってしまうのだ。
グッ!って力を込めてる感じしかしない。
『エア握力測定』でもしてるみたいな感じしかしないって、
どうなの?どうなんだ!?

僕は段々と分からない事に嫌気が差してきて、気分転換で集めた魔力を掌の上で色んな形にして遊び始めた。

イメージするだけでどんな形にも出来るのが楽しくて、僕は親指サイズの猫の形を作り、座らせたり歩かせたり生きてるみたいに動かしてみた。

うわぁ、凄い!
コレすっごく可愛い!

のっぺらぼうは可哀想なので、目や鼻や口、髭なんかも詳細にイメージしていく。

尻尾を揺らして欠伸しながら伸びをさせたり、耳や髭をピクピクさせたり。
でも目を閉じれば猫の存在感が消えてしまう事が淋しくて、より魔力を込めるイメージをしていった。

真珠色の魔力がどんどん猫に吸い込まれていくのが見える。

魔力を使ってる感じは分からないし、自分から実際に魔力が減ってるのかも分からないんだけど、何となくこの猫をアヤさんに見せたくなってきて更に魔力を吸わせ続けていると、『バタン!』と大きな音がしてアヤさんがリビングに飛び込んで来た。

「イツキ!何を始めたの!?」

言った瞬間、驚いた顔のアヤさんが僕の掌を凝視していた。

「ナニ…それ?」
「………親指ニャンコ?…です」
「は?」
「あの、魔力で猫の形を作ってみたんですけど…見えませんか?」
「いや、見えるけど、見えてるけど、そうじゃなくて!」
「???」
「スキル使わずに肉眼で魔力が見える状態って、一体何をどうやったの!?」
「アヤさんに作った猫を見せたくて…」
「え?私に?」

聞かれて僕はコクリと頷いた。

「アヤさんにも見えるようにしたいなぁって思ってたら、魔力が吸い込まれる流れが見えたから、どんどん吸わせてて…」
「そうしてたら私がやって来た…と?」

言われて僕は再びコクリと頷いた。

「こんなに凄い魔力で作ったカラの器、私は初めて見たよ」
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