僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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大慌てでアヤさんが僕に言い訳を始め、タオルケット越しに優しく背中を撫で始めた。

「あ~~もう、イツキったらすねちゃっても可愛いなぁ。
じゃなくて!そうじゃなくて!
イツキ、イツキ本当にゴメンね?
だって言ってくれたら髪くらいいくらでも触らせてあげるのに、寝てるの確認しながらビクビク触ってるの見たら…もう、ホントに可愛くて可愛くてさぁ…」

さぞやイケメンを残念に崩しながら言ってるんだろうデレた声音で、アヤさんが謝ってるのか揶揄からかってるのか分からないような事を延々と口にしていた。

お、お、男にッ
男に『可愛い』は褒め言葉なんかじゃないのに!
そんな事言われても、僕は全然嬉しくなんてないのに!

いや…今は女の子だけど、そうじゃなくて。
可愛いって言われても…何て言うか、僕としてはとっても心中複雑なものがあるのだ。

「イツキぃ~、出ておいでよ。ホントに今は悪かったと思ってるから」

………今は・・
じゃあ、前とか後とかは思ってない、思わない、と?

僕はすっかりヘソを曲げてタオルケットを握り締めると、暫く籠城する構えでより小さく丸まった。

「あ、そうだ!
晩ご飯は外食にしようよ!ね?ね?
ほら【転移】でパッと港町『シーリア』に行ってさ、魚介類の美味しいお店で一緒に晩ご飯!
どう?……行きたくなってこない?」

動揺してビクッとなってから、僕は考え込んだ。
凄く分かりやすい懐柔策なんだけど、でも…
でも……

港町?
う…海とか、船とか、見れちゃったりするんだろうか?
僕、海って一度も行った事がないんだよなぁ。

心が揺れて悩み始めると、アヤさんがトドメとばかりに誘惑してきた。

「私がオススメのお店にはね、猫耳で尻尾付のウェイトレスとウェイターが居るんだよ?
近くで見てみたくない?リアルでケモ耳っ子で猫耳っ子の給仕さんだぞー?」

ケモ耳!?
ケモ耳で猫耳の給仕さん?

…………み、見たい、かも…

「語尾が期待通りに『ニャン』な人も居るんだぞー?面白いぞー?」

そんな、ゲームとか小説みたいに??

「『シーリア』は割と獣人が多い街だから、『イーリア』なんかよりウサ耳さんとか、犬耳さんとか、狐耳さんとか色々見れちゃったりするかもだよ~?」

…………何だか、行きたくなってきちゃった。凄く…
でも、でも、今更この状態から言い出しにくい。

タオルケットの中に籠りながら、「行きたいな」と「でも…」を繰り返してグルグル考え込んでいると、いきなりアヤさんがタオルケットごと僕を抱き上げて軽々ひっくり返した。

お姫様抱っこ状態にされてアヤさんと目が合った僕は、一気に顔を赤く染めて気まずくて視線彷徨わせていると、自然に僕の上半身を起こすような抱き方に変えてくれて、直で目が合わないよう右腕に座らせてくれた。

ここは……
いつもの位置でいつもの場所って感じがして、安心する。

僕は気まずい気持ちを察してくれたアヤさんの心遣いが嬉しくて、アヤさんの左肩に前と後ろから両腕を回し、強張っていた身体から力を抜いてペタリとくっ付いた。
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