僕、勇者サマの養い子になりました

97.

「あれ？これ結構前からこの場所バレてたかも？？」

アヤさんがあちゃーって顔で額に左手を当て、サンスベリアの鉢に向かって歩き始めた。
僕も黙ってアヤさんの後ろに付いて歩いて行く。
だって手を引かれてるんだもん。

「確か、この鉢の植物を採取したのは勇者三人と賢者一人と剣帝が一緒にって指名依頼の時だった筈だから…犯人はバルサスのクソ野郎しか考えられないなぁ」
「バルサス？」
「うん、『享楽きょうらくの賢者』バルサスっていうド変態」
「へ…へんたい！？」
「賢者って『静寂』、『漆黒』、『享楽』の三人なんだけど、基本的に賢者は研究者だからね、どいつもこいつも引き篭もりなんだよ。で比較的に表に出て来るのがこの幼児嗜好ロリでショタの変態野郎だって訳」
「ロリ、コン？」
「イツキも気を付けなよ。アレはウールドとはまた違った感じでヤバイ男だから。私もモヤシ野郎だった時に何度か押し倒されて返り討ちにしてやったけど、懲りないっていうか何ていうか本当に、本気でしつこくてウザイんだ…」

アヤさんが遠い目になって疲れたように肩を落とすと、バルサスという賢者がいかに危険であるかについて詳しく教えてくれた。

「アレは5歳の子供に本気で欲情するような真性のド変態なんだけどね、下は赤ん坊から上は10代半なかばくらいまでがストライクゾーンなんだよ。だから私もヤバイんだけどイツキはもっとヤバイから、本気で気を付けてね。目を合わせるだけでも強姦レイプされそうな程に危険なレベルだから、アレとは決して二人きりで会わないよう肝に銘じといてね」

え？そんなに！？

「何度も何度も半殺しの目に合わせてやってるってのに、Ｇ並みの生命力しぶとさで蘇ってきて懲りずに迫って来るからねぇ。ブチ切れて一度本気で殺してやろうとしたら、あんなの・・・・でも一応・・賢者だからとファージア城で宰相に土下座された事があるくらいだよ」

く、国の宰相に土下座させたの？アヤさん…
しかも賢者ヘンタイさんに至っては何度も半殺しって……

僕は色んな意味で震えながら、ガクガクと首を縦に振った。
アヤさんを以ってしても心が折れなかったバルサスって人は相当なツワモノに違いない事だけは理解出来たからだ。
メンタル最強でＧ並みの生命力しぶとさで変態って…
ナニソレ怖い。マジ怖い。

「ねぇ、それでコレ…どうしようか？」

アヤさんはサンスベリアの植木鉢から掘り出した魔道具マジックアイテムを左手で摘んで可愛らしく小首を傾げると、僕は手招きしてしゃがんで貰い、閉じられた両瞼の上にペタリと掌を当てた。