僕、勇者サマの養い子になりました

118.

「プ…プロポーズ？アヤト様、プロポーズですか！？」

ナージャさんが興奮しまくって、真っ赤な顔で声を上げると、ミケーリュウスさんとルーニンまでもが上気した顔でソワソワと僕達の様子を伺っている。

ですよね？
そう聞こえますよね？
今の言い方だと……

かなり鈍い方だと思う僕ですら、話の流れ的にそう聞こえちゃいましたもん。

僕はさっきのプロポーズ擬もどきで赤くなった顔のまま、恥ずかしさで肩を震わせて俯いた。
若干涙目になってしまったのは勘弁して頂きたい。
だって、ミケーリュウスさん達の前で、こんな…

恥ずかし過ぎるぅッ！！

アヤさんと二人きりだったら、『何を馬鹿な事言ってるんですか～！』って叫びながら頭を抱えて床を転がり回ってるレベルだよ。

ナージャさんの言葉を受けて漸く気が付いたらしきアヤさんが、ハッとしたように息を呑んでから口を開いた。

「プロポーズ……確かに、ある意味プロポーズなのかも知れないんだけど、私はホントの本気でイツキにはウチの子になって欲しいんだよ。
もしイツキに好きな人が出来たら、婿だろうが嫁だろうが取って貰っても構わないから、だから、側にずっと居て欲しいんだ！」

「「「え？」」」

ミケーリュウスさん達が驚愕の余り声を上げた。

えぇ、そうでしょうとも。
普通はこういう展開になるとは思わないよね。
僕も後半部分には密かに驚愕したけど…

しかし婿だろうが嫁だろうがって、アヤさんがお姑さん（舅？）になるって事なのかな？
それはそれは…きっと僕の配偶者となる人は大変だなぁ。
アッハッハッはぁ～～～

……思わず現実逃避してそんな事を考えてしまう。

って、そんなの絶対に有り得ないよ！！
僕に好きな人が…？
そんな事、想像すら出来ない。

他人に触れる事も、触れられる事も苦痛でしかない僕が、結婚したいと思う程に誰かを好きになる？
…どう考えても有り得ない。
てか婿と嫁って、そもそも僕の中身は男なのに、色恋だなんてどうなるんだ？
マジで想像出来ない。有り得ない。
有り得ないんだよ。

「魂の伴侶としての位置は永遠にあの人の物だけど、もし万が一、それでも、性的な意味でイツキが私を好きになってくれるような事があったとしても、その時は今世の生涯の全てを掛けてイツキに尽くすって誓えるし、だから」

アヤさんの必死の声が続く。
それにしても僕なんかの為に、どうしてアヤさんはそこまで必死になってるんだろう？
そんな価値が僕みたいな人間にあるとは到底思えないんだけど…

そもそも僕はアヤさんに拾われたんだから、既にアヤさんの物なのでは…？