僕、勇者サマの養い子になりました

髙城

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127.

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で、ドキドキしながら浴室に入って行ってみると、電球色でんきゅうしょくの間接照明に照らされた浴室内は落ち着いた光に満ち溢れていて、僕はホッと息を吐いてから辺りを見回した。

一番奥、屋外を眺められる硝子ガラス張りの壁沿いには、六畳間くらいの大きな浴槽がドドンと設置してあり、その浴槽の縁には翼の生えた赤銅色のライオンが鎮座しているのが見えた。
ライオンの口からはお湯が絶えず溢れ出しており、そのお湯は浴槽に注がれ続けていて、温泉で言う所の『掛け流し』みたいな状態になっていた。

そして滑り止め加工のされた象牙色の石床は、どこを歩いても足触りが滑らかで何故か冷たく感じず、同色の壁と天井には、所々に繊細で美しい赤銅色の彫刻が施してあって、僕は「ふはぁ」っと息を大きく吐いてから、口を開いたままの状態で見入ってしまったのだった。

……これ、異世界のお風呂としては色々とやり過ぎてるんじゃないだろうか…

「イツキ、このボトルの液体ソープを2~3回プッシュして浴槽に入れてくれる?」

僕がバスルーム内でキョロキョロしていると、アヤさんがそう言ってやや小振りのポンプ式ボトルを手渡してきた。

頷きながら受け取り、浴槽に向かって行って言われた通りの作業をする。

何だか、綺麗なお湯を汚しちゃったみたいな、変な感じ…

思わず微妙な顔をして浴槽を見詰めていると、アヤさんが僕にお礼を言いながら縁に鎮座しているライオン像に近付き、その腕を飾っている腕輪に嵌め込まれた複数の石に触れた。

するとライオンの口からはお湯が出なくなり、ゴボゴボと音を立て浴槽の底と側面から泡が立ち始め、お湯の表面に白い泡が出来始めた。

と、アヤさんが笑顔で口を開いた。

「給湯を止めてジェットバスのスイッチを入れたから、もう入ってもいいよ。あ、掛け湯はどっちでもいいからね。私と二人なんだし、別に細かい事は気にしなくていいから」

そう言うとアヤさんは白い泡が増殖し始めた浴槽にザバザバと入って行って座り、グウッと手足を伸ばした。

「あーーーー…やっぱり広いお風呂はいいなぁ。ほら、イツキも早くおいでよ」

僕が泡だらけの手で手招きされて固まっていると、アヤさんは待ち切れなかったのか素早く立ち上がって僕の手を引いた。

「ほら入っておいでって」

そのままバランスを崩して浴槽に転がり落ちそうになった僕を抱き止めて、アヤさんが自身の胸に僕を収めると、ゆっくりと浴槽内に下ろしてくれた。

「ーーーー~~ッッ!!!」

び、びびビックリした!!
は…はだ、裸で他人同士がくっ付くのは、さすがに物凄く驚いたんだけど、その、これは色々な意味でアウト、なのではッ!?
だ、だって、僕達、外見的には一応歳が近い男女だしッ
中身の性別は反対だけど!

と、内心パニックになって動揺しまくっていたら、アヤさんは普通に「ごめんね驚かせて」と謝ってくれた。

あれ?
僕、気にし過ぎてた?

なんか…
これはこれで物っ凄く恥ずかしいんですが!!
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