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星
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星の話を知ってるかい?
…そう、君が今立っている、正確には踏みつけている哀れな球体の話さ。あぁ、もちろん正確には球体じゃ無いさ。一部は月として離れたままだからね。
植物に感情があるって話は聞いたことあるかい?
最近じゃクラシック音楽まで聞かせて野菜を育ててるところもあるらしい、人間より豊かな生活を送っているのかもね。もちろん、見方によっては人間もそうなんだけどね。
話を元に戻そうか。
ヘモグロビンってあるだろ?
そうそう!身体中に酸素を運んでくれるやつ。なに、俺もあんまりよくわかってないんだがね、こいつは生きるために必要なものをとめどなく運び続けているんだ。
それの通り道が血管。
今お前の血管で無数のヘモグロビンが動き回ってる、ただどれだけヘモグロビンが暴れても人間はなにも感じない。
それが血となって、どこかしらから漏れ出すと、途端に人は痛み出すんだ。
鼻血?…それは無粋だな。
いいかい?目が充血したり鼻血が出たりするのはなぜか?高名な学者や医者に聞けば最適解を答えてくれるだろうが、俺に言わせれば脳に近いからだ。
あまりにも近いから、脊髄反射的速度で血が出てくる。そこに痛みが仲介する暇なんてないのさ。
おっと。話が逸れたね。
星の話さ。
S
M
V
E
M
J
星は生きてるんだ。
嘘じゃない、わからないか?
そもそもなんで星は球体か考えたことあるか?
天文学的速度で球体が回転し、その勢いで丸くなる。
本当にそうだと信じているのかい?
だとしたら幸せだね、真実を知らぬまま死ねるんだから。
ただし、これから君達は幸せには死ねないよ。
自分の使命に気づき、それでもなお抗えない重力で縛られているのだから、時間は人間が勝手に決めたものさしさ。
時を生んだのは人間さ。
THE EARTH
地球を翻訳すると定冠詞がつくんだ。
その、とか特定の何かを言いたい時にTheが使われる。
もちろんもっといろんな使い方がTheにはあるけど、今回は「その」として話させてもらおう。
その地球ってのは、へんな言い方さ。
そのって、どの?
なにを持ってこれは地球だと思うのだろう?
此の地球にいる誰も、直接自らの目で地球を確かめたことなんてないさ、宇宙飛行士だって本当の地球を知らないさ。
ところで、なぜ人間は住居が必要なんだ?
ただの巣に必要以上に金をかけたがる。
それこそが地球の意思だと知らずにね。
窓の外を見たまえ。
なにが見える?
月?人間達が愚かな希望を頼りに宇宙へ目指すための囮だよ。
太陽?人間から効率的に養分を吸収するためのイコライザーさ。
自然?違うね、それは人工的に守られてる、あるいは人間の営みに必要な酸素を作り出してるただの道具さ。
空?水を循環させる素晴らしい雲の巣さ。
建物が見えないかい?
見えないなら自分の家でもいいさ、ホームレスだってなんらかの家を持ってるだろ?
なんでそんなに建物が必要なんだ?
余った空き家が多すぎて問題になる国もあるのに、どうして家を建てたがる?どうして大きな家である必要がある?
根毛って知ってるかい?
植物が根をはる、その根から小さく生えている毛みたいなものさ。
お前らの家はそれさ。ただ無心に働き、人間同士でしか通用しない金をもって建てたそれは、地球のための祭壇。お前らの養分を吸い取る根毛さ。
地球は今も脈打ってる。
君達人類は生まれてからこれまで神の存在を信じ崇め続けていたみたいだけど、真実はそうじゃない。
君達人類は生まれてから今まで地球の奴隷なのさ。
俺たちみんなヘモグロビンさ。
頭がおかしいって?
そうかもな。
不思議だろ?
水がある星に生物は宿る。
じゃあなんで他の星には水がないのか?
それは俺たちがいつか持っていくからだよ、地球から他の星へ。
今でも俺たちは地球に養分を取られているぞ。
見ろ、遥か高みから俺らを見下ろす高層階級の人間達を!奴らのタワーは地球に自らの忠誠を示す虚栄の塔だ!
感じろ、なぜ地球は引力を俺たちに与えたか!空に飛んで行ってしまわぬよう地球に掴まれたままの足を!
そして我々はその不自由さから、地球の思惑通りに動くのだ。
同族同士のいがみ合いは競争を生み、資本主義として人間の考え方の一つとなった。
それこそが地球主義の言い換えでしかないことに気付かずに。
貧しいものは正体のわからぬ欲望にそのためだけに金を集め、先人達と同じく、地球のために塔を建てる。
生きることに意味を見いだせていないものですら日々動き、引力で養分を吸い取られている。
学者や官吏達は戯言だと言って信じないだろう、隠すだろう。
しかし此の地球は君らの思ってるほど単純じゃないし、バカじゃない。
見ろ、無様に地に足をつけることしかできない人間を。
見ろ、日々高くなっていくタワーを。
そして死ね、その身もろとも地球に与えろ。
君達はとっくに、地球に囚われていたのだよ。
…そう、君が今立っている、正確には踏みつけている哀れな球体の話さ。あぁ、もちろん正確には球体じゃ無いさ。一部は月として離れたままだからね。
植物に感情があるって話は聞いたことあるかい?
最近じゃクラシック音楽まで聞かせて野菜を育ててるところもあるらしい、人間より豊かな生活を送っているのかもね。もちろん、見方によっては人間もそうなんだけどね。
話を元に戻そうか。
ヘモグロビンってあるだろ?
そうそう!身体中に酸素を運んでくれるやつ。なに、俺もあんまりよくわかってないんだがね、こいつは生きるために必要なものをとめどなく運び続けているんだ。
それの通り道が血管。
今お前の血管で無数のヘモグロビンが動き回ってる、ただどれだけヘモグロビンが暴れても人間はなにも感じない。
それが血となって、どこかしらから漏れ出すと、途端に人は痛み出すんだ。
鼻血?…それは無粋だな。
いいかい?目が充血したり鼻血が出たりするのはなぜか?高名な学者や医者に聞けば最適解を答えてくれるだろうが、俺に言わせれば脳に近いからだ。
あまりにも近いから、脊髄反射的速度で血が出てくる。そこに痛みが仲介する暇なんてないのさ。
おっと。話が逸れたね。
星の話さ。
S
M
V
E
M
J
星は生きてるんだ。
嘘じゃない、わからないか?
そもそもなんで星は球体か考えたことあるか?
天文学的速度で球体が回転し、その勢いで丸くなる。
本当にそうだと信じているのかい?
だとしたら幸せだね、真実を知らぬまま死ねるんだから。
ただし、これから君達は幸せには死ねないよ。
自分の使命に気づき、それでもなお抗えない重力で縛られているのだから、時間は人間が勝手に決めたものさしさ。
時を生んだのは人間さ。
THE EARTH
地球を翻訳すると定冠詞がつくんだ。
その、とか特定の何かを言いたい時にTheが使われる。
もちろんもっといろんな使い方がTheにはあるけど、今回は「その」として話させてもらおう。
その地球ってのは、へんな言い方さ。
そのって、どの?
なにを持ってこれは地球だと思うのだろう?
此の地球にいる誰も、直接自らの目で地球を確かめたことなんてないさ、宇宙飛行士だって本当の地球を知らないさ。
ところで、なぜ人間は住居が必要なんだ?
ただの巣に必要以上に金をかけたがる。
それこそが地球の意思だと知らずにね。
窓の外を見たまえ。
なにが見える?
月?人間達が愚かな希望を頼りに宇宙へ目指すための囮だよ。
太陽?人間から効率的に養分を吸収するためのイコライザーさ。
自然?違うね、それは人工的に守られてる、あるいは人間の営みに必要な酸素を作り出してるただの道具さ。
空?水を循環させる素晴らしい雲の巣さ。
建物が見えないかい?
見えないなら自分の家でもいいさ、ホームレスだってなんらかの家を持ってるだろ?
なんでそんなに建物が必要なんだ?
余った空き家が多すぎて問題になる国もあるのに、どうして家を建てたがる?どうして大きな家である必要がある?
根毛って知ってるかい?
植物が根をはる、その根から小さく生えている毛みたいなものさ。
お前らの家はそれさ。ただ無心に働き、人間同士でしか通用しない金をもって建てたそれは、地球のための祭壇。お前らの養分を吸い取る根毛さ。
地球は今も脈打ってる。
君達人類は生まれてからこれまで神の存在を信じ崇め続けていたみたいだけど、真実はそうじゃない。
君達人類は生まれてから今まで地球の奴隷なのさ。
俺たちみんなヘモグロビンさ。
頭がおかしいって?
そうかもな。
不思議だろ?
水がある星に生物は宿る。
じゃあなんで他の星には水がないのか?
それは俺たちがいつか持っていくからだよ、地球から他の星へ。
今でも俺たちは地球に養分を取られているぞ。
見ろ、遥か高みから俺らを見下ろす高層階級の人間達を!奴らのタワーは地球に自らの忠誠を示す虚栄の塔だ!
感じろ、なぜ地球は引力を俺たちに与えたか!空に飛んで行ってしまわぬよう地球に掴まれたままの足を!
そして我々はその不自由さから、地球の思惑通りに動くのだ。
同族同士のいがみ合いは競争を生み、資本主義として人間の考え方の一つとなった。
それこそが地球主義の言い換えでしかないことに気付かずに。
貧しいものは正体のわからぬ欲望にそのためだけに金を集め、先人達と同じく、地球のために塔を建てる。
生きることに意味を見いだせていないものですら日々動き、引力で養分を吸い取られている。
学者や官吏達は戯言だと言って信じないだろう、隠すだろう。
しかし此の地球は君らの思ってるほど単純じゃないし、バカじゃない。
見ろ、無様に地に足をつけることしかできない人間を。
見ろ、日々高くなっていくタワーを。
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