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壱ノ章:最強の守護霊
第十四話 『白い龍と、白髪の女』
しおりを挟むでも、なんでだろう。
現実離れした光景なのに、女の姿を見ても不思議と怖いと感じる事はなかった。
むしろ、懐かしくて、安心するような―――そんな不思議な感覚。
「あ、あの…あんたは誰?さっきの幽霊は…?」
『先程の霊は妾が消した』
「っ!?け、消した…!?えっ!?あんたが俺を助けてくれたのか!?一体どうして…っ、どうしてあんたが俺達を助けてくれたんですか?」
『妾の恩人である最初の主からの言付けだ』
「恩人?主…?言付け?それってどういう…っ!」
女は小さく微笑むと、静かに姿を消してしまった。
「あの人は一体誰なんだ…?なんで俺を助けてくれたりなんて…」
ここで俺はハッとした。
そう言えばさっきから昌と裕貴の姿が見えない。
「昌、裕貴?どこに…って、えっ!?昌!裕貴!おい!しっかりしろ!大丈夫か!?おい!」
女の幽霊が消えるまでは確かにすぐそばにいたはずの2人が、何故か部屋の入口から少し離れた床に倒れていた。
俺はすぐに駆け寄って体を揺さぶる。
「おい!昌!裕貴!何があった!?おい!大丈夫か!?昌!裕貴!」
「むにゃ…はら…減った…」
「ぐー…ぐー…」
「―――あ゛?」
まさかこいつら…寝てる?
あの龍が助けてくれなかったら大変な目に遭っていたこの状況で?
ふざけんな
「おいコラ!こんな危ない所に連れてくるだけ連れてきておいて、何寝てやがる!」
ったく!心配させんじゃねーよ!あの幽霊に何かされたかと思っただろ…
まぁ…無事なら良かったけど。
さっきの龍があの女の幽霊を消してくれたおかげなのか、廃ホテルに来た時感じていた嫌な空気はなくなっていた。
それでも薄気味悪さはあるし、なんとなく誰かがいる気配はするけど、さっきの女の幽霊より弱い霊がいるだけなのかもしれない。
「おい2人共!起きろ!帰るぞ!!おい、昌!裕貴!…ったく…全然起きねぇじゃねぇか…。仕方ねぇな…目覚ましたら焼肉奢って貰うからな?」
俺は一向に起きない2人を抱きかかえる。
くっそ…!
重てぇ…ッ!
なん山奥の心霊スポットまで来て、友達を抱えてこんな山道を歩かなきゃならねぇんだ…!
暗くて見えねぇし、重てぇし…
「もう二度と心霊スポットなんて来ないからな…ッ!」
結局タクシーも捕まらず、車通りがある道まで山道を歩く羽目になってしまった。
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