上 下
17 / 40
壱ノ章:最強の守護霊

第十五話 『白い龍神』

しおりを挟む



翌日。

俺は昌と裕貴とグループ電話を繋いで昨晩の事を話した。

「全く!お前ら2人を連れて山道を歩くのマジで大変だったんだぞ!?普通心霊スポットに行って寝るか!?あんなに怖い目に遭ったのに、あり得ねぇだろ!?」

『へ?怖い目に遭った?あの廃ホテルで??』

「…は?まだ寝ぼけてんのか?3階の事件現場の浴室で女の幽霊と遭遇したじゃねぇか!」

『え!?そうなの!?』

「お前ら…まさか覚えてないのか?」

『いや…覚えてないと言うよりも…ホテルに入った所までしか覚えてないんだよな…』

「はぁ!?いやいや!お前らずっと怖がってたじゃん!女の幽霊が出て、みんなで逃げて、部屋を出ようと思ったらドアが開かなくなって、幽霊に襲われそうになっただろ!!」

『う――ん…そんな事言われても…覚えてねぇし…。裕也、夢でも見てたんじゃね?』


何故か昌も裕貴も、廃ホテルに入った所までしか覚えていなかった。
理由は分からない。

女の幽霊を見た事を覚えているのも俺だけ。

そして、幽霊を消してくれた白い龍と、白髪の女の姿を見たのも…俺だけだった。



マジでどうなってんだ…?

あんな状況で寝るとは考えられないし、もしかして怖すぎるあまり気を失ってたとか…?
…あの2人ならあり得るかも。


昌と裕貴との電話が終わったあと、俺は慎吾にも電話を掛けた。

廃ホテルで起きた一連の流れを慎吾に言うと、納得したような返事が返ってきた。



『…なるほどな』

「あの白い龍…それにあの白髪はくはつの女は一体何者だったんだ?昌と裕貴は、廃ホテルに入ってから記憶がないとか言うし、何がどうなってんのやら…」


『“綺麗なお姉さん”だっただろ?』

「はぁ?何の話だよ。」

『あの龍が、お前の背後に憑いていた者の正体だったって事だ』

「えっ!?ちょ、ちょっと待て…!だってあれは龍だぞ!?なんで俺に龍が憑いているんだよ!そんな事ある訳――…」



『現れた白い龍の正体は“龍神”だ。』


しおりを挟む

処理中です...