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壱ノ章:最強の守護霊
第十五話 『白い龍神』
しおりを挟む翌日。
俺は昌と裕貴とグループ電話を繋いで昨晩の事を話した。
「全く!お前ら2人を連れて山道を歩くのマジで大変だったんだぞ!?普通心霊スポットに行って寝るか!?あんなに怖い目に遭ったのに、あり得ねぇだろ!?」
『へ?怖い目に遭った?あの廃ホテルで??』
「…は?まだ寝ぼけてんのか?3階の事件現場の浴室で女の幽霊と遭遇したじゃねぇか!」
『え!?そうなの!?』
「お前ら…まさか覚えてないのか?」
『いや…覚えてないと言うよりも…ホテルに入った所までしか覚えてないんだよな…』
「はぁ!?いやいや!お前らずっと怖がってたじゃん!女の幽霊が出て、みんなで逃げて、部屋を出ようと思ったらドアが開かなくなって、幽霊に襲われそうになっただろ!!」
『う――ん…そんな事言われても…覚えてねぇし…。裕也、夢でも見てたんじゃね?』
何故か昌も裕貴も、廃ホテルに入った所までしか覚えていなかった。
理由は分からない。
女の幽霊を見た事を覚えているのも俺だけ。
そして、幽霊を消してくれた白い龍と、白髪の女の姿を見たのも…俺だけだった。
マジでどうなってんだ…?
あんな状況で寝るとは考えられないし、もしかして怖すぎるあまり気を失ってたとか…?
…あの2人ならあり得るかも。
昌と裕貴との電話が終わったあと、俺は慎吾にも電話を掛けた。
廃ホテルで起きた一連の流れを慎吾に言うと、納得したような返事が返ってきた。
『…なるほどな』
「あの白い龍…それにあの白髪の女は一体何者だったんだ?昌と裕貴は、廃ホテルに入ってから記憶がないとか言うし、何がどうなってんのやら…」
『“綺麗なお姉さん”だっただろ?』
「はぁ?何の話だよ。」
『あの龍が、お前の背後に憑いていた者の正体だったって事だ』
「えっ!?ちょ、ちょっと待て…!だってあれは龍だぞ!?なんで俺に龍が憑いているんだよ!そんな事ある訳――…」
『現れた白い龍の正体は“龍神”だ。』
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