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壱ノ章:最強の守護霊
第十六話 『龍と白蛇』
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『この世界を創り上げたとも言われている最強の力を持つ神様、龍神…さすがのお前でも名前くらいは知っているだろう?』
「知ってる…けど…」
『白い龍神が消えてその後に現れた白髪の女性…その方は白い龍神が人型になった姿だ。妖怪や幽霊なんてものと一緒にするのも烏滸がましい…。龍神の位は神クラスだ。霊力の高さは桁違い。悪霊や幽霊、妖怪なんか足元にも及ばない最強の神様だ。』
う、うそ…だろ…
そんな最強の龍神が、なんで俺なんかに…
『その龍神は、廃ホテルで襲ってきた女の悪霊から、お前の事を護ったんだ』
「なんで…そんな強い神様の龍神が、俺の事を護ってくれたんだ…?」
『それはな。…お前のお母さんに関係してくる事だ』
「え?母さん…?」
『龍神様から言っても良いと許可が下りたから、話すよ』
そう言うと慎吾は、龍神様から聞いたという母さんの話を教えてくれた。
『裕也のお母さん…折笠李南さんの実家の“瀧羽家”は、元々龍と関りが深い家柄だったそうだ。なぜ関りがあるのかは分からない。そこまでは教えてくれなかったから』
「…」
『李南さんは幼い時、ある1匹の白蛇を助けた。李南さんの自宅の敷地にある森で、罠にかかっていたそうだ。』
「白蛇…?」
『李南さんは見返りを求める訳でもなく、ただ“助けたい”という気持ちだけですぐに白蛇を助けた。怪我をしている者を…傷ついている者を放っておくことが出来ない…。李南さんはそういう優しさを持った人だったそうだ』
「…母さん…」
俺が産まれた時はもう、母さんはこの世にいなかった。
だから俺は、母さんと会った事はない。
でも、なんでだろう。
今の慎吾の話を聞いて、何故か“母さんらしいな”って思った。
『李南さんに助けて貰って、怪我を治してもらった白蛇は、李南さんにとても感謝をした。そして、助けてくれた李南さんに恩返しがしたいと思うようになった』
「恩返し…」
『昔から白蛇は縁起が良いと言うし、白蛇は神の使いという考えの国もある。李南さんが助けてくれた白蛇も元々不思議な力があったそうで、李南さんに恩返しがしたいと言う強い想いを叶えるために、長い年月をかけて白蛇から龍に…龍から龍神へと変わり、李南さんをずっと守護していた』
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