東池袋

覚悟の夜

私はその日、東池袋にあるビルディングの弁護士事務所を訪ねていた。
任意整理の手続きを行うためだった。
生活は困窮していた。
一連の手続きが終わり帰路に着く為、地下鉄の東池袋駅に行った。
未だ、ホームドアなど無かった時代。
黄色い点字ブロックの外側に足を向けた。
疲れ果てた人生をリセットしたかった。
警笛が鳴る。
友人から連絡が入った。
「大丈夫か」と。
踵を返し、電車に背を向けた。
涙が止まらなかった。