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しおりを挟む「……その、ユウマさんとは、そういう関係を結ぶつもりは無いんです。
ユウマさんの初めては、やはり思う方とそうされた方が勿論良いですし……。 私は、棚ぼたの祖父の遺産で祖父の願いを引き継いだだけでっ」
唯は俯きながら、時折ユウマを見上げてそpの様子を窺う。
ユウマの髪の色と同じ、色素の薄い明るい茶色の目には何の感情も唯は読み取れ無い。
「私の祖母もΩなんです。体が弱くて、そんなに長生き出来ませんでしたが。 祖父も祖母も、αとΩっていう性質に苦労したので、祖父は生涯を自分なりのΩ救済にあてました。Ωの背負う大変さや苦しみは、私には分かりません。
ですがこの世から1人でも可哀想なΩを減らしたいという思いには、私も共感します。なので、あなたの体は要りません。そういうことで、書類も進めさせていただきますっ」
唯なりに、気持ちを込めて説明したつもりだ。
泣いて感謝されたい訳でも無いが、きっと自分は良いことをしている、と唯は思い込んでいた。祖父に倣って、祖父の意思を少なからず繋げたと、少しだけ誇らしくもなった。
唯が顔をしっかりと上げてユウマを見ると、ユウマはまたニッコリと笑みを浮かべている。
––––良かった、伝わったのかな?と唯も安堵して満足そうに少し微笑んで見せた。
「御涙頂戴話はもう終わりましたか?」
ユウマの整った美しい唇は、確かにそう発した。
え––?と唯は声にならない声を漏らし、数えきれないほど目をパチパチとさせる。 目の前の状況と、唯の耳が捉えた言葉に脳みそはフル回転で稼働しているが、唯の理解は追いつかない。
「可哀想とか舐めてます?その哀れんでる目が、ムカつくんですよね。
綺麗事並べてさ、そういうα他にも居るよ。結局Ωを前にしたらヒーヒー鼻息荒くする癖に。性欲全開で来るαよりも気分悪いよ、あんたみたいな偽善者」
人が変わったように、つらつらと言葉を発するユウマに、唯はポカンを口を開ける事しか出来ない。
––––今聞こえているのは幻聴なのか、空耳なのか、その可能性さえ未だ捨てきれない。
「あんたは俺を買った。俺の純潔……この場合だと、どっちなんだろ?前、後?
まぁどちらもか。俺はあくまで、報酬に見合った働きをする。それが、大人の関係でしょ?」
先程までの温和で穏やかそうな雰囲気のユウマは既に居ない。
「今日はもう良いですか?バイトあるんで。はぁ、拍子抜けだな……––お姉さん、αの割に頭悪そうだし」
ユウマはそう言うと注文した飲み物には口も付けず、風の様に去っていった。
唯は、まだ半分程残っているお菓子に手が伸びない。
ユウマが来るまで幾らでも食べれると思っていたのに……––––
どうしようもなくお腹が気持ち悪くなって、唯は頭を机に突っ伏した。
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