そのΩ、買いました。オークションで。

塒 七巳

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 一体何日過ぎただろう…
 
 食事はルームサービスで、洗濯も頼めばやって貰える、となると部屋から出る理由は無いが、流石に疲労は溜まって来る。
 
 体力を回復させる為に、唯が持ち込んだ大量の抑制剤は大いに役に立った。
 
 
 薬が効く間は、二人とも落ちる様に眠り、また熱が燻り出すとどちらかが、もしくはお互いがお互いの体を求め合う。
 
 疲労と抑制剤の効果のバランスからなのか、二人は時折落ち着いて時間を過ごす事も出来た。映画を見たり、他愛の無い話をする––……その時間が、唯は気に入っていた。
 勿論、霰もない姿には変わりないが、穏やかでゆったりとした時間が流れれば、ユウマもごく自然にリラックスしているように唯には見えたからだ。
 
 
「ホテル暮らしも良いよね。楽だし、綺麗だし––。お金入ったら暫くホテルで暮らそうかな」
 大きな枕に上体を預けてベッドに座るユウマが不意にそんなことを言い出した。
 
「なんで?部屋があるじゃない?」
 唯も最低限の下着を身に付けて、横に座るユウマを見る。
 
「あそこ結構古かったでしょ?上の階が水漏れしちゃって、工事終わるまで帰れないんだよ。荷物も今知り合いに預かってもらってて。そもそも荷物もそんな無いし、寝に帰るだけだけど––」
 そう言うと、ユウマはスマホを取り出してスケジュールを確認しているようだった。
 
「どの位かかるの?」
 
「んー……最短で二週間位?応急処置で?その後引っ越すかも分からないけど、とりあえずヒートの間はこのホテルで過ごせるとして、ウィークリーマンション探すのもダルい」
 ユウマは小難しそうな顔でスケジュールアプリを睨んでいる。
 
 
 
 

「……うちに来る?」
 唯の口を突いて出た言葉に、深い意味は無い。ただ、困ってそうだから––と出た言葉だった。
 だが、言ってすぐに自分が何か勘違いをしていると唯は気付く。体を幾ら重ねたからと言って、お互いの関係性が深いわけでも無い––。ユウマの言う〝大人の関係〟を唯は上手く扱う事が出来なかった。
 
「ごめん、何でも無い」
 唯はそう言って情け無さからすぐ視線を伏せる。
 暗黙のルールを、破っている気がした。
 
 
「それ違反じゃない?」
 ユウマの言葉に、唯は情け無さから返事もしない。
 そう、この関係のルールも、契約上のルールも唯は破ろうとしている。


「違反です……。聞かなかった事にして」

「でも、そっか。良いね、お姉さん家も」
 暫くの沈黙が流れて、唯がいたたまれない気持ちになっていると、ユウマはニヤリと笑って唯を見た。
 
 ユウマは唯の頬に手を伸ばし、唯の顔を上げさせる。
 
「内緒ね。これで共犯……––」
 そう言って、ユウマは唯の唇にそっとキスした。
 
 
 
 
 
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