15 / 26
15
しおりを挟む一体何日過ぎただろう…
食事はルームサービスで、洗濯も頼めばやって貰える、となると部屋から出る理由は無いが、流石に疲労は溜まって来る。
体力を回復させる為に、唯が持ち込んだ大量の抑制剤は大いに役に立った。
薬が効く間は、二人とも落ちる様に眠り、また熱が燻り出すとどちらかが、もしくはお互いがお互いの体を求め合う。
疲労と抑制剤の効果のバランスからなのか、二人は時折落ち着いて時間を過ごす事も出来た。映画を見たり、他愛の無い話をする––……その時間が、唯は気に入っていた。
勿論、霰もない姿には変わりないが、穏やかでゆったりとした時間が流れれば、ユウマもごく自然にリラックスしているように唯には見えたからだ。
「ホテル暮らしも良いよね。楽だし、綺麗だし––。お金入ったら暫くホテルで暮らそうかな」
大きな枕に上体を預けてベッドに座るユウマが不意にそんなことを言い出した。
「なんで?部屋があるじゃない?」
唯も最低限の下着を身に付けて、横に座るユウマを見る。
「あそこ結構古かったでしょ?上の階が水漏れしちゃって、工事終わるまで帰れないんだよ。荷物も今知り合いに預かってもらってて。そもそも荷物もそんな無いし、寝に帰るだけだけど––」
そう言うと、ユウマはスマホを取り出してスケジュールを確認しているようだった。
「どの位かかるの?」
「んー……最短で二週間位?応急処置で?その後引っ越すかも分からないけど、とりあえずヒートの間はこのホテルで過ごせるとして、ウィークリーマンション探すのもダルい」
ユウマは小難しそうな顔でスケジュールアプリを睨んでいる。
「……うちに来る?」
唯の口を突いて出た言葉に、深い意味は無い。ただ、困ってそうだから––と出た言葉だった。
だが、言ってすぐに自分が何か勘違いをしていると唯は気付く。体を幾ら重ねたからと言って、お互いの関係性が深いわけでも無い––。ユウマの言う〝大人の関係〟を唯は上手く扱う事が出来なかった。
「ごめん、何でも無い」
唯はそう言って情け無さからすぐ視線を伏せる。
暗黙のルールを、破っている気がした。
「それ違反じゃない?」
ユウマの言葉に、唯は情け無さから返事もしない。
そう、この関係のルールも、契約上のルールも唯は破ろうとしている。
「違反です……。聞かなかった事にして」
「でも、そっか。良いね、お姉さん家も」
暫くの沈黙が流れて、唯がいたたまれない気持ちになっていると、ユウマはニヤリと笑って唯を見た。
ユウマは唯の頬に手を伸ばし、唯の顔を上げさせる。
「内緒ね。これで共犯……––」
そう言って、ユウマは唯の唇にそっとキスした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる