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しおりを挟む「いやービックリだわ……」
ユウマと唯はホテルで過ごす間に互いの電話番号だけを交換した。
あっさりと、ユウマは唯の家へやって来た。
だが、ユウマは唯の部屋へ着くなり唖然とする。
唯の部屋は、所詮汚部屋というやつで、一応片付けたつもりでも物が散らかっている。一応唯の個人情報がユウマの目には入らないように気は配った。一線は、越えないように、と––––。
「お姉さん、もしかして片付けられない人?この収納開けたら荷物が雪崩を起こすとか?」
ユウマが呆れた顔で部屋にある大きなクローゼットを指差す。
「……片付けたいんだけど、昔から苦手で……。実家にいた時は、お手伝いさんがやってくれたり母に怒られて捨てる位しかしてなかったから……」
唯が気まずそうにそう言う。
「でも!こっちの部屋は空けたから!ベッドも全部新品!」
そう言うと、唯が物置に使っていた部屋をユウマに見せる。
少し狭いが、そこには新品のベッドと小机が置いてある。誘ったのは自分なので、最低限の準備はしておいた。
勿論節度を持った、大人の対応で。
「……ゴミ袋とゴム手袋ある?」
ユウマはもう一度唯の散らかった部屋を見て、唯にそう尋ねる。
「あっあるけど……」
「それはあるんだ。まぁいいや。片付けよ」
ユウマはそう言うと、部屋の中を見ながら片付けの算段をつけ始めた。
「いや、でも、大変だし良いよ。私はそりゃ助かるけどっ」
唯もつい本音が出てしまうが、そこまでユウマにさせる訳にはいかない。
「……俺、結構綺麗好きなんだよね。前も言ったかもしれないけど。それに、一緒に寝ると思って来たのに」
ユウマの言葉に、唯の鼓動は跳ねる。
この自分よりもかなり歳下の美しい青年に、唯は惑わされ掌で転がされている。
「さ、お姉さんも手動かして」
ユウマに言われるまま、唯は汚部屋の掃除を一緒に始めた。
果たして片付くのか––––そんな不安もユウマが居れば唯はどこか軽くなった。
「24時間ゴミ出せるマンション最高だよね」
ユウマは隅々まで綺麗にした唯の部屋で、夕飯には早すぎるが昼食には遅い食事を作っていた。
「……料理まで出来るんだ」
唯が小さくそう溢す。
ユウマはテキパキと無駄の無い動きで掃除を済ませ、その後颯爽とスーパーに買い出しに行った。その家庭力の高さには恐れ入るばかりで、唯が呆気に取られているうちに、全ては終わっていたという感覚だった。
「元々嫌いじゃ無いんだよね、料理。ホールのバイトもした事あったから。今は中々時間無いから作ってないけど」
ユウマはやはり無駄の無い動きで、お皿に色とりどりの料理を作り上げていく。
美味しそうな香りに、唯のお腹が鳴った。
「ユウマ、なんでも出来るね」
唯は感心してばかりだ。
「お姉さんだって、いつかは身持ちの固いαかβと結婚するんでしょ?部屋位は綺麗にしといた方が良いかもね」
ユウマは出来た料理を小さな机に運ぶ。
ユウマのいる部屋は、いつもの部屋では無いように唯は感じた。
明るくて、どこか温かい……そんな空気にこの部屋が包まれている。
一緒にご飯を食べ終わると片付けをして、洗濯したものを整理する。
唯のベッドシーツも布団も綺麗にして、いつの間にか枕は二つ並んでいる。
「お風呂、一緒に入る?」
ユウマは穏やかにそう唯に尋ねたが、唯は顔を真っ赤にして首を振った。
ホテルの時はなし崩し的に一緒に浴室に入ったりしていたが、あれはあくまで熱に絆された状態だから唯には出来た事だ。
浴室に向かう唯の背後で、ふふッとユウマの笑う声が唯には聞こえた。
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