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第一章 モルモットに利尿薬を与える
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「あー、サイッテー! 本ッ当に最低ね。むかつくわ」
バスタオル一枚の水晶は、始まってから何度も悪態をついている。
一方の俺も腰にタオルを一枚巻いただけの状態だ。最初は水晶の隣に座ろうとしたのだが、ものすごい剣幕で怒鳴られたので反対側に座っている。
流れる汗を腕で拭う。温度計は100度を指していた。俺は壁にかかっている砂時計の上部が空になったので、ひっくり返した。これでようやく五分が経過したことになる。
メビウスはカードキーを使用して、ホールにある扉のうちのひとつを解除した。プレートには「大浴場」と書かれていた。そして、バスタオル一枚だけを与えられて今に至るというわけだ。大浴場にはサウナだけではなく、広い浴槽と、壁にいくつものシャワーが設置されていた。いや、そりゃあ大浴場のイメージそのままなんだけれども、一体ここは何の施設なのだろうかという疑問は尽きない。
「今からサウナに一時間入ってもらいます。破ればペナルティです」
メビウスからあった説明はこれだけだった。ペナルティに関しては言われなくともわかっているが、臨床試験という割には薬の服用がなかったのが気がかりだ。
俺は首輪に手をやった。リアルタイムでこの首輪が俺たちのバイタルサインを測定しているのだ。欲しいデータは心拍数? あるいは血圧? それともそれ以外の何かか?
顔を上げて水晶の様子をうかがった。拍子で汗がぽたりと足の甲に落ちた。
「何? こっち見ないでって言ってるでしょ。変態」
先ほどのトラブルで軽く男性不信に陥っているようだ。変態という不名誉な呼称に猛抗議したいところだが、ここはひとつ懐の深いところを見せるため、優しい言葉をかけてやるべきだろう。
「その……さっきは大変だったな。もう落ち着いた?」
「ああ、男たちに絡まれてたこと? あんなのは日常茶飯事よ。見られることには慣れてるから私。そういう仕事だからね」
嫌な日常だな。そういえばさっきメビウスとの会話で、マネージャーやドラマの撮影といった単語が出て来たのを思い出した。
「可愛いと思ってたけど、本当に芸能人だったんだな」
「あんた私のこと知らないの? 女優の鳴瀬水晶よ」
珍獣を見る目だった。彼女の俺を見る目が今までにポジティブだったことが一度もないことに笑えてくる。
「いや、知らないわ。ごめん。でも、テレビはほとんど見ないから」
「うーわ、出た。三大ウザい自慢のひとつ、テレビ見ない自慢。二つ目は寝てない自慢で、あと一個はなんだっけ――まあいいわ。イケてない人はしょうがない。あと、私に可愛いとかいうの止めてもらえる?」
「え、何で?」
「無意味だから。芸能人が可愛いのは当たり前でしょ。ブスはなれないもの」
「お、おう……」
まるでハリネズミをあやしているような気分だった。もしくはウニでキャッチボールをするとこんな感じだろうかなどと想像した。
「はあ、でも私ってそんなに完璧かな? 困っちゃうわ」
「ん、うん。まあ……そうかな」
「だから、完璧とか言うの止めてもらえる? 当たり前なんだから――ってジロジロ見ないでって言ってるでしょ! お金取るわよ」
全く理不尽極まりない奴だ。俺は呆れつつも砂時計をひっくり返した。あと五十分。だが、会話をしていると時間の進みが早く感じられるのは助かる。如何せんやることがないので――いや、俺にはやることがあったではないか。
俺は立ち上がってサウナの一番下の段に行くと、腕立て伏せを始めた。
「……何やってるの? 暑さでおかしくなった? ねえ……ねえってば」
案の定、水晶が怪訝な声で聞いてくるが、俺は黙々と腕立て伏せを敢行した。五十回を終え、呼吸が落ち着いてくると口を開いた。
「マイルールなんだ。筋トレを欠かさずにやるっていうのが日課でさ。まだ今日の分をやってなかったのを思い出した」
「呆れた」水晶は腰に手を当てる。「今はそんな場合じゃないでしょうに。誘拐されてるのよ」
「まあ、そうなんだがもう染み付いてるんだよ。やらないと落ち着かなくて……」俺は頰をぽりぽり掻いた。「ナポレオンがさ、我輩の辞書には不可能の文字はないって言ってただろ?」
「いきなり何?」
「やっぱりすごい人っていうのは自分の辞書を持ってるんだよ。ナポレオンの辞書にはきっとマイルールが細かく書かれていたんだ。だからあんな偉業を成し遂げた。あ、筋トレ終わるまでは砂時計のカウントを代わりに頼む」
俺は床に寝転がり腹筋を始めた。コツは足を浮かせてやることと、体を丸めるのではなく腹筋を縦にぐわっと潰すイメージで行うことだ。
「そう。意外と筋肉質だもんね。努力してるんだ」水晶の表情が初めて軟化した。「でも腹筋は止めてもらえるかな?」
「何でだ? 暑苦しいか? 五十回やるまでは待って――」
「この位置からだとあんたのナポレオンがちらちら見えてるからよ!」
「うおおっ」
俺はタオルで股間を押さえて立ち上がった。今度は角度をよく考えてから残りの回数を消費した。
「はあ、いい汗かいた」
「倒れないでよ」
「お、まさか心配してくれてるの?」
「馬鹿。あんたがいなくなったらあのメビウスと二人っきりよ。それよりはマシってだけ。そうなったらきっと臨床試験を名目に、この美しい体を弄くり回すんだわ。あんなこととかこんなこととかさ」
はは、と乾いた笑いを返しておいた。どうも自意識過剰なんだよなあ。可愛いのは確かだけどさ。正直、彼女の薄い布の下が気にならないかといえば嘘になる。胸の谷間、水滴を弾き返す弾力のある肌、バスタオルから伸びた白い足……。さっきから俺のナポレオンがボナパルトして、フランス革命くらい軽く起こしてしまいそうになるのを必死で押さえているのだ。いや、意味不明だ俺、落ち着け。
そんなこんなで序盤はまだ余裕があった。
しかし、三十分を過ぎた頃には砂時計の砂が落ちるのが本当に遅く感じられた。重力が半分になってしまったのか。いや、砂の落ちる速度は重力とは無関係に一定なんじゃないか? 駄目だ。頭がぼうっとして考えがまとまらない。
「あと三十分かぁ。結構余裕ね。むくみが取れそう。私、外に出たらダイエットコーラをたくさん飲みたいわ。それぐらいは用意してくれてるよね?」
「……え、何て?」
水晶は段から降りると、怪訝そうな顔でこちらに近づいてきた。
「あなた顔色悪いわよ。大丈夫?」
「ああ、平気だ」
そう強がって見せたものの、病は気からとはよく言ったもので、事実を突きつけられたことで、俺は自身の体調不良を感じ始めてしまっていた。座っていることが難しくなり、サウナの一段目に体を横たえた。ヒノキが熱い。右半身が火傷してしまいそうだが、横になりたい誘惑に抗えない。
「だから言ったでしょ。筋トレなんかするからよ。あと少し頑張って」
「ルールは守らなきゃ。でも、もう駄目かもしれない。最後におっぱい触らせてもらっていい?」
精一杯強がって冗談を言ってみるも、気分は一向に上向かない。
「だぁめ。いいから余計な体力使わないで、まったく」
水晶の言葉も右から左だ。喉が焼けるように痛い。水が飲みたかった。目も霞んできた。このままでは確実に暑さで死んでしまう。だが、外に出ても毒で死んでしまう。
不安だった。
「駄目だ。駄目だっ……薬を……。薬を飲ませてくれ。ポッケの中にある」
「薬? そんなものないわ。服は置いてきたでしょ」
「エチゾラムだ! 早く!」
「ちょ、大声出さないでよ。だからないってそんなの」
もういい。自分でなんとかするしかない。俺は力を振り絞って立ち上がる。頭が重い。ぐらぐらと揺れる体を必死で支え、扉へと向かう。
「あっ、開けちゃ駄目!」
背後で水晶が叫んだ。うるさいな、わかってる。メビウスを呼んで薬を取ってもらうだけだ。
しかし、ガラス越しに見える大浴場の中に、彼の姿はなかった。
まさか、一時間経つまで来ないのか? そんな……。
「大人しくしててってば。あと十五分くらいよ。私まで疲れてくるじゃない」
水晶に腕を掴まれて強引に座らされた。彼女は片手をパタパタとうちわのように振って、顔に風を送っている。
「青のピルケースから一錠、黄色から二錠……」
「え、何て?」
視界がぐるんと回転し、俺は意識を失った。
バスタオル一枚の水晶は、始まってから何度も悪態をついている。
一方の俺も腰にタオルを一枚巻いただけの状態だ。最初は水晶の隣に座ろうとしたのだが、ものすごい剣幕で怒鳴られたので反対側に座っている。
流れる汗を腕で拭う。温度計は100度を指していた。俺は壁にかかっている砂時計の上部が空になったので、ひっくり返した。これでようやく五分が経過したことになる。
メビウスはカードキーを使用して、ホールにある扉のうちのひとつを解除した。プレートには「大浴場」と書かれていた。そして、バスタオル一枚だけを与えられて今に至るというわけだ。大浴場にはサウナだけではなく、広い浴槽と、壁にいくつものシャワーが設置されていた。いや、そりゃあ大浴場のイメージそのままなんだけれども、一体ここは何の施設なのだろうかという疑問は尽きない。
「今からサウナに一時間入ってもらいます。破ればペナルティです」
メビウスからあった説明はこれだけだった。ペナルティに関しては言われなくともわかっているが、臨床試験という割には薬の服用がなかったのが気がかりだ。
俺は首輪に手をやった。リアルタイムでこの首輪が俺たちのバイタルサインを測定しているのだ。欲しいデータは心拍数? あるいは血圧? それともそれ以外の何かか?
顔を上げて水晶の様子をうかがった。拍子で汗がぽたりと足の甲に落ちた。
「何? こっち見ないでって言ってるでしょ。変態」
先ほどのトラブルで軽く男性不信に陥っているようだ。変態という不名誉な呼称に猛抗議したいところだが、ここはひとつ懐の深いところを見せるため、優しい言葉をかけてやるべきだろう。
「その……さっきは大変だったな。もう落ち着いた?」
「ああ、男たちに絡まれてたこと? あんなのは日常茶飯事よ。見られることには慣れてるから私。そういう仕事だからね」
嫌な日常だな。そういえばさっきメビウスとの会話で、マネージャーやドラマの撮影といった単語が出て来たのを思い出した。
「可愛いと思ってたけど、本当に芸能人だったんだな」
「あんた私のこと知らないの? 女優の鳴瀬水晶よ」
珍獣を見る目だった。彼女の俺を見る目が今までにポジティブだったことが一度もないことに笑えてくる。
「いや、知らないわ。ごめん。でも、テレビはほとんど見ないから」
「うーわ、出た。三大ウザい自慢のひとつ、テレビ見ない自慢。二つ目は寝てない自慢で、あと一個はなんだっけ――まあいいわ。イケてない人はしょうがない。あと、私に可愛いとかいうの止めてもらえる?」
「え、何で?」
「無意味だから。芸能人が可愛いのは当たり前でしょ。ブスはなれないもの」
「お、おう……」
まるでハリネズミをあやしているような気分だった。もしくはウニでキャッチボールをするとこんな感じだろうかなどと想像した。
「はあ、でも私ってそんなに完璧かな? 困っちゃうわ」
「ん、うん。まあ……そうかな」
「だから、完璧とか言うの止めてもらえる? 当たり前なんだから――ってジロジロ見ないでって言ってるでしょ! お金取るわよ」
全く理不尽極まりない奴だ。俺は呆れつつも砂時計をひっくり返した。あと五十分。だが、会話をしていると時間の進みが早く感じられるのは助かる。如何せんやることがないので――いや、俺にはやることがあったではないか。
俺は立ち上がってサウナの一番下の段に行くと、腕立て伏せを始めた。
「……何やってるの? 暑さでおかしくなった? ねえ……ねえってば」
案の定、水晶が怪訝な声で聞いてくるが、俺は黙々と腕立て伏せを敢行した。五十回を終え、呼吸が落ち着いてくると口を開いた。
「マイルールなんだ。筋トレを欠かさずにやるっていうのが日課でさ。まだ今日の分をやってなかったのを思い出した」
「呆れた」水晶は腰に手を当てる。「今はそんな場合じゃないでしょうに。誘拐されてるのよ」
「まあ、そうなんだがもう染み付いてるんだよ。やらないと落ち着かなくて……」俺は頰をぽりぽり掻いた。「ナポレオンがさ、我輩の辞書には不可能の文字はないって言ってただろ?」
「いきなり何?」
「やっぱりすごい人っていうのは自分の辞書を持ってるんだよ。ナポレオンの辞書にはきっとマイルールが細かく書かれていたんだ。だからあんな偉業を成し遂げた。あ、筋トレ終わるまでは砂時計のカウントを代わりに頼む」
俺は床に寝転がり腹筋を始めた。コツは足を浮かせてやることと、体を丸めるのではなく腹筋を縦にぐわっと潰すイメージで行うことだ。
「そう。意外と筋肉質だもんね。努力してるんだ」水晶の表情が初めて軟化した。「でも腹筋は止めてもらえるかな?」
「何でだ? 暑苦しいか? 五十回やるまでは待って――」
「この位置からだとあんたのナポレオンがちらちら見えてるからよ!」
「うおおっ」
俺はタオルで股間を押さえて立ち上がった。今度は角度をよく考えてから残りの回数を消費した。
「はあ、いい汗かいた」
「倒れないでよ」
「お、まさか心配してくれてるの?」
「馬鹿。あんたがいなくなったらあのメビウスと二人っきりよ。それよりはマシってだけ。そうなったらきっと臨床試験を名目に、この美しい体を弄くり回すんだわ。あんなこととかこんなこととかさ」
はは、と乾いた笑いを返しておいた。どうも自意識過剰なんだよなあ。可愛いのは確かだけどさ。正直、彼女の薄い布の下が気にならないかといえば嘘になる。胸の谷間、水滴を弾き返す弾力のある肌、バスタオルから伸びた白い足……。さっきから俺のナポレオンがボナパルトして、フランス革命くらい軽く起こしてしまいそうになるのを必死で押さえているのだ。いや、意味不明だ俺、落ち着け。
そんなこんなで序盤はまだ余裕があった。
しかし、三十分を過ぎた頃には砂時計の砂が落ちるのが本当に遅く感じられた。重力が半分になってしまったのか。いや、砂の落ちる速度は重力とは無関係に一定なんじゃないか? 駄目だ。頭がぼうっとして考えがまとまらない。
「あと三十分かぁ。結構余裕ね。むくみが取れそう。私、外に出たらダイエットコーラをたくさん飲みたいわ。それぐらいは用意してくれてるよね?」
「……え、何て?」
水晶は段から降りると、怪訝そうな顔でこちらに近づいてきた。
「あなた顔色悪いわよ。大丈夫?」
「ああ、平気だ」
そう強がって見せたものの、病は気からとはよく言ったもので、事実を突きつけられたことで、俺は自身の体調不良を感じ始めてしまっていた。座っていることが難しくなり、サウナの一段目に体を横たえた。ヒノキが熱い。右半身が火傷してしまいそうだが、横になりたい誘惑に抗えない。
「だから言ったでしょ。筋トレなんかするからよ。あと少し頑張って」
「ルールは守らなきゃ。でも、もう駄目かもしれない。最後におっぱい触らせてもらっていい?」
精一杯強がって冗談を言ってみるも、気分は一向に上向かない。
「だぁめ。いいから余計な体力使わないで、まったく」
水晶の言葉も右から左だ。喉が焼けるように痛い。水が飲みたかった。目も霞んできた。このままでは確実に暑さで死んでしまう。だが、外に出ても毒で死んでしまう。
不安だった。
「駄目だ。駄目だっ……薬を……。薬を飲ませてくれ。ポッケの中にある」
「薬? そんなものないわ。服は置いてきたでしょ」
「エチゾラムだ! 早く!」
「ちょ、大声出さないでよ。だからないってそんなの」
もういい。自分でなんとかするしかない。俺は力を振り絞って立ち上がる。頭が重い。ぐらぐらと揺れる体を必死で支え、扉へと向かう。
「あっ、開けちゃ駄目!」
背後で水晶が叫んだ。うるさいな、わかってる。メビウスを呼んで薬を取ってもらうだけだ。
しかし、ガラス越しに見える大浴場の中に、彼の姿はなかった。
まさか、一時間経つまで来ないのか? そんな……。
「大人しくしててってば。あと十五分くらいよ。私まで疲れてくるじゃない」
水晶に腕を掴まれて強引に座らされた。彼女は片手をパタパタとうちわのように振って、顔に風を送っている。
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