宣誓のその先へ

ねこかもめ

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第一章

【九話】欲念と自戒。(4)

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 翌朝。軽食を摂って、さっそく指定座標へ向かう。

「すごい、一気に何もなくなったわね。」
「栄えてるのは街の方だけみたいだな」

観光が盛んな街並みから一時間ほど歩いた場所。
人の手は加えられておらず、ただの荒れ地だ。
岩が大きな凹凸を作っていたり、小さな水たまりがあったりと、戦うには足場が悪い。

「転びそうだね」
「わかる」
「安心して。転んでケガしても、すぐ治してあげるから。」
「「転ばないよう、善処します。」」

——文でハモる奇跡はさておき。

「そろそろですね」
「ええ。もう間もなく指定時刻です。」

——エリナさんが時計を確認して数秒後。
——「予言」の時刻だ。

何度経験しても慣れない圧迫感。轟音。それに加え、今回は二か所でそれが起こっている。

「おいおい、冗談だろ……?」

一つの歪みから数メートル離れたところに、もう一つ歪みが現れた。
言うまでもなく、魔物も二匹。……これは厄介そうだ。

「二匹とも、ヒトにとても近いですね。」
「男女のペアに見えますね」

——魔物に性別があるのかは不明だが、体のつくりで言えば男性と女性、一体ずつだ。
男性に見える方は黒い体に、赤い模様がついている。一方、女性の方は桃色で、紫の模様がある。

「来るぞ!」

こちらに気づいた魔物は、甲高い叫び声で威嚇。
十メートル以上離れているが、それでも鼓膜が心配になるほどの声量だ。思わず、両耳を手でふさぐ。

《ヒキョ……ウモノノ……ニン……ゲンダ……》
《コロ……ス……フク……シュウス……ル……》
「なんだって?」
「卑怯者の人間だ。殺す。復讐する。確かにそう言いましたね……。」
「卑怯者だって?」
「人間が何したって言うの?」

魔物は、人間を「卑怯者」と認識しているのか……?
俺たちからすれば、いきなり現れて暴れている魔物の方が卑怯者だし、さらに言えば迷惑者なのだが……。
なんてことを言っている間に、敵はすかっり臨戦態勢に。少し遅れて俺たちも剣を構えた。


 まず攻撃を仕掛けてきたのは男型だ。腕の先を剣に変化させて武器としている。
二本足で人間と同じように助走をつけ、変異した腕で俺に斬りかかってきた。

——今っ!

それを剣で受け止め、能力を用いて弾く。

だが——

「こ、こいつっ!」

確かに力を押し返した。だが黒い魔物は反射に耐え、むしろ押し込んでくる。激しいつばぜり合いになる。

——マズいな……。

能力が効かない以上、このままでは押しきられる。
相手の剣を右に受け流し、左に回り込む。勢いそのまま、斬り下がった。
剣先がわずかに魔物に触れたが、相手は俺の攻撃を察知して後方に回避。

だけどそっちにはリーフさんがいる。

「後ろだ!」

振り上げられた剣は全力をもって魔物へ。
しかし、魔物はそれが分かっていたかのように回避。
リーフさんの剣は地面に。お姉ちゃんたちは桃色の方と交戦中だ。
黒は俺とリーフさんでやるしかない。

リーフさんが剣を抜く隙を、魔物は見逃さなかった。

「させるか!」

ギリギリで追いつき、魔物の右足を刺して転倒させた。

「悪い」
「いえ。それよりも、今のうちにコイツを!」
「ああ。」

俺の剣で魔物は固定されている。地面が柔らかい部分でよかった。

リーフさんが剣を構え、攻撃に移った。

「くらえっ!」

剣は魔物の胸を貫き、また柔らかい地面に刺さる。
しかし、コアの破壊には至っていない。胸から剣が抜けると、魔物は手足をじたばたさせた。

「こいつ、暴れんな!」

拘束された足を激しく動かす。

——まさか自分の足を犠牲にっ!

数秒経つと、足がちぎれた。そのまま這うように逃げられてしまった。

「まずい、このまま行かれると乱戦になるぞ」
「止めないと……っ!」

這っているだけの魔物に追いつくのは容易だ。

「さあ追いついたぞ。大人しく——」

——瞬間。急速に足を再生させた魔物が立ち上がり、腕を振り回した。

「ぐ……っ‼」

防御はしたが、能力も間に合わず、腕に大した力も籠っておらず。剣が飛ばされてしまった。

「ユウ、下がれ‼」
「すみません!」

俺が剣を拾いに右方向へ退避すると、その直後、リーフさんが突進した。

「うおお‼」

急な出来事に、魔物はそれを必死に防御。リーフさんの攻撃で生まれた隙は、剣を拾い上げるには十分だった。

——後ろから!

魔物の正面から仕掛けられたリーフさんの攻撃。
それを防いでいる魔物の背後から剣撃を一つ、また一つと浴びせる。

「コアだ‼喉元に出たぞ!」
「任せてください!」

背後から、コアが出たという喉元を貫く。
ガラスが割れたような音が鳴り、魔物の身体から力が抜けていった。
違和感を覚えつつも、一息ついた。

「ユウ!リーフさん!魔物がそっちに!」

アイシャの警告が聞こえ、急いで瞬間移動で退避。

「ふう、危なかったな」
「助かりました。」
「二人とも無事?」
「ああ。」
「大丈夫です」
「そう、よかったわ。」

無事なのはよかったが、一体何事だろう……?

桃色の魔物が、死んだ黒色に手をかざし——

「なっ⁉」

——黒色が、再び立ち上がる。

蘇生能力か、これは厄介だ……。
それだけじゃない。分断していたのに、結局乱戦状態になってしまった。


——くっ、なんだか戦いにくいな……。

とにかく足場が悪い。一気に攻め寄りたくても、水たまりやぬかるみが広がっていて、走ることさえ困難だ。

……まあ理由はそれだけじゃないが。

「なあアイシャ」
「ん?」
「相手、交代してくれないかな」

今、俺が戦っているのは桃色の方。黒色の援護をかわしながら、なんとか戦っていたが……。

「黒もピンクもそんなに変わらなくない?」
「いや、その……大いに違うんだよね」
「え?」

視線を動かすアイシャ。二匹を比較しているようだ。

「え、もしかして……」

何かに気付いてしまった様子。

……そんなジト目で俺を見ないでください。

「そうなんですよ」

桃色の方だが、こいつは女型なのだ。
魔物だし、人間に似ているのは形だけなのだが、どうしても戦いにくかった。

「相手は魔物だけど……」

……はい。

「しょうがないな~、じゃあ交代ね」
「感謝」
「でもね」
「?」
「あんな魔物なんかより、私を見てよね♡」
「……かしこまりました。」

——戦闘中にそういう愛くるしい事をしないでくれ。気が散って仕方ない。

「さてと」

相手は変わって黒い魔物。
リーフさん、エリナさん、俺の三人で相手をしている。

「なんだ、交代したのか?」
「はい。ちょっと……。」
「まあ、実際向こうがやりにくいのは分かる」
「ですよね!」

俺だけじゃなかった‼

……っと、それは良いとして。
さっき戦った時に分かったが、こいつらは個々であれば大して強くない。

だから——

「これでっ‼」

エリナさんの光剣が、魔物の防御を簡単に突破。そのままコアのある喉元を切り裂く。

——こんな風に、その気になれば一人だけでも討伐はたやすい。

「桃色を警戒しろ!」

問題は蘇生能力だ。黒を倒すと——

「来ました!」

お姉ちゃんとアイシャを無視して、桃色がこっちに来る。
だが俺たちもバカではない。その行動は既にパターンとして頭に入っている。

「行かせるか!」

桃色の進路に割り込む。
この状態でこいつのコアも壊せば、勝てる!

「リーフさん!」

剣撃を浴びせて怯ませ、魔物の反撃を、あえて鍔迫り合いで受ける。

「おう!」

十メートル以内に居たリーフさんが、瞬間移動で桃色の背後に回り込む。

「トドメだぁっ‼」

リーフさんの剣が桃色の喉元を貫いて、ガラスの割れる音——

「なっ⁈ユウ、後ろから来てるぞ!」
「⁈」

リーフさんの言葉を受け、本能的に右に回避した。
飛び込んだ先には水たまりがあり、俺はそこに綺麗に浸かった。

「ユウ!大丈夫?」
「ゲホッ、ゲホッ……。ああ、まあ大丈夫。」

心配するアイシャの声に返事。
魔物の方を見ると、さっきまで俺がいた地面に、黒色の腕が刺さっている。

「そんな、黒は倒れてたはず……」
「ご主人様、どうやらこの魔物共は四肢……少なくとも脚をのばせるようです」

見ると、桃色が地面から脚を抜いているところだった。

「なるほど。脚が地面を通って、俺の後ろで倒れていた黒色を蘇生させたわけですか……」

さらに厄介なことに、また合流されてしまった。
どちらかを倒しては蘇生、合流、分断というのを何度も繰り返していた。

「また分断からやり直しね」

何度目かもわからないやり直し。そろそろ精神的にきつくなってくる。

再び合流に成功した二匹は、見合ったり、手を握ったりしている。
人間でいえば、イチャついている……と言う表現になるのだろうか?

「なんか……ムカつく……」

そんな魔物を見て、アイシャが呟いた。

…………。

「お前が言うのか……?」
「何ですか?」
「いや、何でもない」



——また再生、合流を繰り返した。

「クソっ……面倒な奴らだ……」
「倒しても倒しても再生……。確かに面倒ね」

何度も言うが、この魔物が一匹であれば、何の問題もない。
最初に、俺とリーフさんだけでも黒い方を倒したわけだし。
エリナさんのように、防御を貫通できれば一人でも勝てる。

だが問題は、合流した二匹の連携攻撃と、相方を蘇生させる能力だ。
かれこれ各四、五回はコアを破壊している。それでも、討伐には至っていない。

「やっぱり、同時に倒すしかなさそうですね」
「ええ。ですが、そのようなチャンスは滅多に……。」

とにかく蘇生が厄介で、交戦中だろうとお構いなしに離脱される。
しかも蘇生は瞬時に行われ、追いついた頃には全快している。

「チャンスが無いなら——」

エリナさんの嘆きを聞き、口を開いたのはアイシャだった。

「——作ればいいんですよ」
「確かにその通りですけど……。」
「ね、ユウ」

ね、と言いながら俺の方を見るアイシャ。自信満々。そんな表情をしている。

「アイシャ……。」

数秒その顔を見て、言いたいことを理解した。そうだったな。相手の連携が厄介ならば、俺たちも「厄介」な連携をすればいい。
同じように攻撃し、同じように怯ませ、同時に動けなくし、同時にコアを破壊する。そんな夢のような事ができるだろうか。

「けどアイシャ、それには敵の動きが同時に止まる必要が……」

俺たちがいくら同じ行動をしても、相手の動きが違っていると初動からバラバラになってしまう。

「それでしたら、私にお任せください。私の能力を用いれば、遠距離からでも一瞬動きを止めることは可能です。」

溜めた熱量を操るエリナさんの能力。両手から熱戦のように一瞬だけ放ち、魔物の頭を撃ち抜けば同時に動きを止められるかもしれない。

「でもエリナさん、それって……」
「貴女の消耗が激しいんじゃないですか?」
「ふふん、そこは私の出番よね」
「そっか、お姉ちゃんが回復してあげれば、エリナさんの体力は大丈夫なんだ。」
「お姉ちゃん先輩にはすみませんが……それでお願いします」
「もちろん、お姉ちゃんにお任せあれ。」
「じゃあ俺はお前たちを魔物の所まで送る。」
「それなら一瞬で詰められますね」

動きの停止。消耗者の回復。移動時間の大幅削減。

そして——

「あとは、私とユウの連携だね」
「……ああ、任せろ」
「ちゃんとついて来てよね~」
「アイシャこそ。遅れるなよ?」
「へぇ、言ってくれるじゃん」

連携は、連携をもって制す。まさにそんな作戦だ。魔特班五人による総攻撃。
それをあの二匹に叩き込み、勝利する。活路は見えた。あとは信じるだけだ。

「では、行きますよ!」

エリナさんは残った熱量を限界まで絞り出し、二匹の魔物に向かって両手から放った。
見事な狙撃能力で、イチャつく黒色と桃色の顔面を捉えた。
一気に消耗したエリナさんが膝をつく。お姉ちゃんが彼女を介抱。

——やはり、二匹とも剣に変異していない左手で撃たれた顔をおさえた。

「よし、こっちも行くぞ!」
「はい!」
「お願いします!」

瞬間移動で急接近。

——アイシャと俺の連携。
それを意図して練習したことは一度もない。

発想が無かったのではない。「必要ない」と判断したのだ。
「連携」が、ではなく「練習」が、だ。

俺はアイシャの動きをよく見ているし、アイシャは俺の動きをよく見ている。
故に、わざわざ練習するまでもなく、互いがどう動くのかが分かる。

アイシャならこうする。

ユウならこうする。

そう言った、もはや「決めつけ」レベルでの判断。
ただし、そこには絶対的な信頼があった。

——だからこそ。

——俺とアイシャは今。

——こうして、二つのコアを同時に、一刹那の差もなく破壊したのだ。

「終わったな」
「うん。信じてたよ。」
「俺もさ。」

魔物の身体は、無論二体とも、淡い光と共に消えていった。



 その日の晩。王都の屋敷に帰って体を休める。眠気が凄まじい。

「ねえねえ、ユウ」
「ん~?」

いつものように、眠るまでの会話。俺はもう半分寝ているのだが……。

「うれしかったよ」
「何が?」
「水着、褒めてくれたこと。」
「ああ、あれね。」
「ふふっ、かわいかった?」

からかう様に訊いてくる。

「うん。かわいかったよ。」

負けまいと、非常にまじめなトーンで返答。

「そ、そっか……。」

暗くてアイシャの顔はよく見えない。

「どうした?突然そんな」
「ユウは、さ。」

なぜか改まった様子で。

「手、出さないのかな~って。」
「……はい?」
「色々攻撃してるつもりなんだけど」

服装選び。

甲板での行動。

言動。

水着。

オイル塗り。

昨日今日だけでも、思い返してみればアイシャの言う通りだな、と。

「き、効かねえな……」
「え~、じゃあもっと攻めちゃおうかな」
「嘘ですごめんなさい」

本人には言わないが、俺とて必死に耐えている。

「現状維持」のために。

「ていうか、そう言うアイシャこそ、結局は挑発止まりじゃんか」
「それは……そうだけど。」
「……今はまだ、それでいいか」
「……うん。」

——俺たちの関係は「恋人」ではない……はずだ。
もしそうなら、とっくの昔に……その……ね。

それを分かっているのは、俺だけじゃない。
だからアイシャも、色々とやってくるが、終着点まではいかない。
……そこに、二人の共通認識があるからだ。俺たちはまだ「幼馴染」でいる。

その理由は過去にある。かつて、俺たち二人の前から姿を消した少女、サラ。
彼女の死については、未だに何もわからない。
その一件に片が付くまで、俺とアイシャは「幼馴染」を続ける。
何も言わずとも、お互いがそれを理解していた。

 かといって、アイシャに対して「欲」が無いと言えば嘘になる。
あの時。攫われたアイシャを助けに行った時だ。結局俺には何もできなかったが……。
あの時の俺の行動原理は何だったのだろう。当時は、アイシャを救うという目的のためだと思っていた。
正義の味方ぶっていたんだ。だけど時間が経った今、冷静に考えてみるとそれは違うと気付かされる。

あの時俺はアイシャを奪われた「怒り」と、彼女を誰にも渡したくない、俺の傍にいて欲しいというアイシャに対する「欲」で動いていたんだ。つまり、俺とザックの争いに「正義 対 悪」という構図は存在せず。ただ単に「アイシャを自分のものにしたい」という欲と「誰にもアイシャを渡したくない」という欲の争いだったんだ。

もちろん、ザックの行動を正当化するつもりはないし、未だに許せないことの一つではある。
だけど、それを理由に、自分を「正義」だとは言えない。そう思った。


 人間をはじめとした生物たちは、常日頃から「欲」と向き合って生きている。自制心をもって戦っている。
俺にも、溢れんばかりの欲がある。だが、それをも押さえつけるほどの力を持った「幼馴染を維持」という盾でもって、耐え忍ぶ。

恐るべき威力を持った攻撃に、今日も明日も明後日も。

その時が来るまで俺は、自戒を続けていくのだろう。
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