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第3章 : 乖離
鎖国体制と鎖
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◇◇◇
緩く……非常に緩く、縛られたフリのまま、三人はウルスリーヴル城の廊下を進む。
障子、ふすま、畳、鴨居。
一応、連行中の身だが、ポリアはそれどころではない様子だ。知識が有るからこそ、他人とは違った視線で物事を観察できる。
──知っているから違って見える、か
特別なことのように思えたが、思い返してみれば、ユウキも最近その事を実体験していた。
「こちらです」
異様な丁寧さで黒衣の男性に誘導され、曲がり角では逐一、会釈しながら進行方向を示してくれている。
おおよそ、先頭を歩く女性が言うような罪人に対する扱いではなかった。
「どこへ向かっているのかしら?」
先導する桃髪の女性にアインズが問う。彼女は軽いスキップで進んでいたが、その質問を聞いて後ろ歩きになった。
「不届き者を捕らえたって報告しに行くんだよ。不法入港は重罪だから、ねっ」
──ねっ、じゃないわよ。ねっ、じゃ
妙な天真爛漫さに、アインズの頬は小刻みに震える。ユウキはそれを見て驚いた。
自身が知る中で、アインズが三番目に追い詰められていたからだ。すなわちこの女性は、鎖の守護者カマイタチに次ぐ脅威であ──
「はい、到着っと」
「ここは……」
廊下を進んでたどり着いた最奥には、障子があった。それまで見たものとは異なり、ここにもまた桜の模様が入っている。
特別な部屋の入口であろう事は、説明を受けずとも容易に理解できた。
「……?」
その障子を前に、桃髪の女性が正座をした。
「桜華で御座います」
少し声を張り、中に居る人物に聞こえるよう名乗った。それは同時に、入室の許可を乞うものでもあった。
「桜華か。良いぞ、入り給え」
聞こえてきた返事は、可。
女性らしき声は柔らかくお淑やかで、高貴な人物なのだろうと想像できる。桜華は正座のまま障子を開き、ゆっくりと立ち上がった。
後に続く人物らが通れるよう、更に開いて部屋の中へと進む。
「あ……」
部屋の奥を見ると、おそらく先程の返事の主であろう人物が座している。
桜華の服装と似ているが、その豪華さには明確な差があった。所々に黄金の装飾が存在し、火灯窓から差す陽の光を反射する。
「おやおや、何事じゃ?」
ゾロゾロと入室する六名を見るや、徳利から盃へ酒を注いでいた手が止まった。
「はい、不法入港者を捕らえた次第でございます!」
「不法入港者……?」
「はい! 異国の騎士と、姫君です」
「妄想が過ぎるんじゃない?」
思わず声に出てしまったアインズだが、しかし、彼女の言葉は桜華には届いていない。
「失礼ですが、そちらの金髪の方」
高貴な女性が、アインズに問いかける。
「はい?」
「ご出身とお名前を伺っても?」
「ブライトヒル王国より参りました、アインズと申しますが」
「……なるほど。すると、そちらはユウキ殿、ポリア殿でございましょう?」
「はい」
「ポリアです」
──いったい何だ?
微妙な空気が流れる。手に持っていた徳利と盃を目の前の御膳に置き……
「……桜華よ、御主は」
「はいっ!」
「減給じゃ」
「はああ、なな、なんと勿体なき……え?」
「黒衣の者、もう良い。その縄を解け」
「はっ!」
「あああ、天舞音様⁈ げ、減給とは──」
うろたえる桜華に、天舞音は優しい顔のまま言った。
「ブライトヒル王国より、お客様がいらっしゃる。見かけた場合、妾の元へお連れするように」
「あ──」
「この言葉に聞き覚えはあるな?」
「……はい」
「そうじゃ。今朝、わざわざ従者を集めて全員に出した指示じゃ」
「……はい」
天舞音が言葉を重ねるたび、桜華の目線と声のトーンが落ちてゆく。己の犯した間違いに気付いたためである。
「桜華は寝坊でもしておったかえ?」
「……いえ」
全て思い出したと、そんな顔である。爛漫な中にあった凛々しさは、これっぽっちも無くなった。
「であるが故に、減給と申したのじゃ」
「もも、申し──」
「謝意を向けるべきは、妾ではないぞ」
「はっ! 申し訳ございませんでしたっ!」
ユウキ、アインズ、ポリアに向かって大声で謝り始めた。
「面目無い! 面目無い~!」
「え、えっと……」
そこまで謝られると、彼らもどう言ったら良いのか分からなくなってしまう。困惑する誰しもに、天舞音が冷静に語る。
「お客人、どうか部下の粗相をご容赦くださいな。腹の一つや二つ、斬ってご覧に入れますゆえ」
「天舞音様、私、お腹一つしかないです」
「お黙り!」
「はいゴメンなさいっ!」
──やれやれ
これにて、一件落着とは行かないが、第一の厄介な出来事は無事? 解決したのであった。
◇◇◇
気を取り直して、ユウキらはウルスリーヴルへ来た目的を天舞音に話さねばなるまい。
城に入り、統治者である天舞音に会えたのは桜華のやらかしによる奇跡の様なものだが、この際そんな事は良い、と。
「さて」
黒衣の二人は下がり、ユウキらと桜華の四人が天舞音に向かう。
一人一枚ずつの座布団を貰い、そこへ座る。
「早速ですが、ふむ、鎖の破壊を考えていらっしゃると?」
入港許可を貰う手続きにて、目的という項目があった。
ポリアの観光だけでは認められない可能性が考えられたため、正直に記載する他なかった。
「しかし、そんな事が可能なのかと、妾としては気になるところじゃ」
天舞音の表情は神妙である。
──まぁ、当然か
いきなり現れた人間が、鎖を壊しに来ましたなんて言っても、簡単に信じられるはずがない。
「北西の空をご覧下さい」
しかしアインズは、そのセリフを待っていたと言わんばかりに空の観察を促す。前回の交渉とは違い、彼らにはもう実績があるのだ。
「北西……?」
ゆっくりと立ち上がり、彼女は言われた通りに空を見る。
「こっちは確か、ニューラグーン国の方角じゃな」
「ええ」
「もしや、ここに見えていた鎖が無くなったのは……」
「その通りです」
「ニューラグーン近郊にあった鎖は、僕らが破壊しました」
「なんと……」
天舞音は自身の場所に戻る。
「我が国の防人を使わしても尚、破壊には至らなかった鎖を……なるほど」
やはり、ウルスリーヴルでも鎖の調査はしたようである。しかし、当の鎖は日長石を持つユウキでなければ壊す事は出来ない。
「そこで、天舞音様にお願いがございます」
「お願い?」
「我々が鎖へ向かう間の、支援を頼みたいのです」
「なるほどのう……」
顎に手を当て、少し考えてから天舞音は国の現状から語った。
「結論から言おう。鎖の破壊、大賛成じゃ。これは妾にとって急務なのじゃ。が、壊す方法の検討もつかぬ故、こうして放置状態になっておる」
ニューラグーンでは、国土の近くに鎖が刺さった。対してウルスリーヴルでは、近いどころの騒ぎではない。島に刺さってしまった以上、それはもはや国土内と何ら変わらない。
バケモノが海を渡れるか否かは定かではないが、この地理的条件では、ウルスリーヴルに化け物が集まる可能性を秘めているのだ。
「地理的な問題だけではない。妾の政治方針にも大いに関わる」
「政治方針、ですか?」
「うむ。妾は、この国の鎖国体制を撤廃したいと考えておる」
ポリアの説明通り、ウルスリーヴルは鎖国体制をとっている。その為に三人は、わざわざ入港手続きをふんだのだ。
「しかし、先々代──祖母が決めた法度が厄介でな。鎖国の撤廃には、一定数以上の国民が賛成する必要があるのじゃ」
「他国で言うところの、国民投票法ですね」
──なな、何て?
想像を遥かに超えるポリアの知識に、少年は驚いた。完全に閉じた世界で巫女の言葉に従って生きてきたユウキにとって、国民投票法なんて単語は、生涯に渡って聞く予定のなかったものであった。
「そうじゃな。それがある故、中々手こずっていたのじゃが、近年、何とか民の意識を外に向ける事ができ始めていた」
天舞音の言葉が過去形であることから、現状はそうではないと推測できたが、客人はやはり彼女の言葉に聞き耳をたてる。
「じゃが、鎖と例のバケモノの出現によって、守りの意見が大いに活発化してしもうた。これでは数多の国民の賛成など、到底得られたものではなかろう」
天舞音は懐から扇子を取り出し、右手首のスナップを効かせて勢いよく展開。静かに扇ぎながら、アインズの頼みに対する返答へ移る。
「長々と話してしもうたが……要するに、援軍の派遣はお任せあれ、とな」
「感謝いたします」
「桜華よ」
「はいっ!」
「援軍とは別動し、ユウキ殿らと共に行け」
「はい、ご命令とあらば!」
「しっかりと罪滅ぼしをするように」
「はい……ご命令と……あらば……」
緩く……非常に緩く、縛られたフリのまま、三人はウルスリーヴル城の廊下を進む。
障子、ふすま、畳、鴨居。
一応、連行中の身だが、ポリアはそれどころではない様子だ。知識が有るからこそ、他人とは違った視線で物事を観察できる。
──知っているから違って見える、か
特別なことのように思えたが、思い返してみれば、ユウキも最近その事を実体験していた。
「こちらです」
異様な丁寧さで黒衣の男性に誘導され、曲がり角では逐一、会釈しながら進行方向を示してくれている。
おおよそ、先頭を歩く女性が言うような罪人に対する扱いではなかった。
「どこへ向かっているのかしら?」
先導する桃髪の女性にアインズが問う。彼女は軽いスキップで進んでいたが、その質問を聞いて後ろ歩きになった。
「不届き者を捕らえたって報告しに行くんだよ。不法入港は重罪だから、ねっ」
──ねっ、じゃないわよ。ねっ、じゃ
妙な天真爛漫さに、アインズの頬は小刻みに震える。ユウキはそれを見て驚いた。
自身が知る中で、アインズが三番目に追い詰められていたからだ。すなわちこの女性は、鎖の守護者カマイタチに次ぐ脅威であ──
「はい、到着っと」
「ここは……」
廊下を進んでたどり着いた最奥には、障子があった。それまで見たものとは異なり、ここにもまた桜の模様が入っている。
特別な部屋の入口であろう事は、説明を受けずとも容易に理解できた。
「……?」
その障子を前に、桃髪の女性が正座をした。
「桜華で御座います」
少し声を張り、中に居る人物に聞こえるよう名乗った。それは同時に、入室の許可を乞うものでもあった。
「桜華か。良いぞ、入り給え」
聞こえてきた返事は、可。
女性らしき声は柔らかくお淑やかで、高貴な人物なのだろうと想像できる。桜華は正座のまま障子を開き、ゆっくりと立ち上がった。
後に続く人物らが通れるよう、更に開いて部屋の中へと進む。
「あ……」
部屋の奥を見ると、おそらく先程の返事の主であろう人物が座している。
桜華の服装と似ているが、その豪華さには明確な差があった。所々に黄金の装飾が存在し、火灯窓から差す陽の光を反射する。
「おやおや、何事じゃ?」
ゾロゾロと入室する六名を見るや、徳利から盃へ酒を注いでいた手が止まった。
「はい、不法入港者を捕らえた次第でございます!」
「不法入港者……?」
「はい! 異国の騎士と、姫君です」
「妄想が過ぎるんじゃない?」
思わず声に出てしまったアインズだが、しかし、彼女の言葉は桜華には届いていない。
「失礼ですが、そちらの金髪の方」
高貴な女性が、アインズに問いかける。
「はい?」
「ご出身とお名前を伺っても?」
「ブライトヒル王国より参りました、アインズと申しますが」
「……なるほど。すると、そちらはユウキ殿、ポリア殿でございましょう?」
「はい」
「ポリアです」
──いったい何だ?
微妙な空気が流れる。手に持っていた徳利と盃を目の前の御膳に置き……
「……桜華よ、御主は」
「はいっ!」
「減給じゃ」
「はああ、なな、なんと勿体なき……え?」
「黒衣の者、もう良い。その縄を解け」
「はっ!」
「あああ、天舞音様⁈ げ、減給とは──」
うろたえる桜華に、天舞音は優しい顔のまま言った。
「ブライトヒル王国より、お客様がいらっしゃる。見かけた場合、妾の元へお連れするように」
「あ──」
「この言葉に聞き覚えはあるな?」
「……はい」
「そうじゃ。今朝、わざわざ従者を集めて全員に出した指示じゃ」
「……はい」
天舞音が言葉を重ねるたび、桜華の目線と声のトーンが落ちてゆく。己の犯した間違いに気付いたためである。
「桜華は寝坊でもしておったかえ?」
「……いえ」
全て思い出したと、そんな顔である。爛漫な中にあった凛々しさは、これっぽっちも無くなった。
「であるが故に、減給と申したのじゃ」
「もも、申し──」
「謝意を向けるべきは、妾ではないぞ」
「はっ! 申し訳ございませんでしたっ!」
ユウキ、アインズ、ポリアに向かって大声で謝り始めた。
「面目無い! 面目無い~!」
「え、えっと……」
そこまで謝られると、彼らもどう言ったら良いのか分からなくなってしまう。困惑する誰しもに、天舞音が冷静に語る。
「お客人、どうか部下の粗相をご容赦くださいな。腹の一つや二つ、斬ってご覧に入れますゆえ」
「天舞音様、私、お腹一つしかないです」
「お黙り!」
「はいゴメンなさいっ!」
──やれやれ
これにて、一件落着とは行かないが、第一の厄介な出来事は無事? 解決したのであった。
◇◇◇
気を取り直して、ユウキらはウルスリーヴルへ来た目的を天舞音に話さねばなるまい。
城に入り、統治者である天舞音に会えたのは桜華のやらかしによる奇跡の様なものだが、この際そんな事は良い、と。
「さて」
黒衣の二人は下がり、ユウキらと桜華の四人が天舞音に向かう。
一人一枚ずつの座布団を貰い、そこへ座る。
「早速ですが、ふむ、鎖の破壊を考えていらっしゃると?」
入港許可を貰う手続きにて、目的という項目があった。
ポリアの観光だけでは認められない可能性が考えられたため、正直に記載する他なかった。
「しかし、そんな事が可能なのかと、妾としては気になるところじゃ」
天舞音の表情は神妙である。
──まぁ、当然か
いきなり現れた人間が、鎖を壊しに来ましたなんて言っても、簡単に信じられるはずがない。
「北西の空をご覧下さい」
しかしアインズは、そのセリフを待っていたと言わんばかりに空の観察を促す。前回の交渉とは違い、彼らにはもう実績があるのだ。
「北西……?」
ゆっくりと立ち上がり、彼女は言われた通りに空を見る。
「こっちは確か、ニューラグーン国の方角じゃな」
「ええ」
「もしや、ここに見えていた鎖が無くなったのは……」
「その通りです」
「ニューラグーン近郊にあった鎖は、僕らが破壊しました」
「なんと……」
天舞音は自身の場所に戻る。
「我が国の防人を使わしても尚、破壊には至らなかった鎖を……なるほど」
やはり、ウルスリーヴルでも鎖の調査はしたようである。しかし、当の鎖は日長石を持つユウキでなければ壊す事は出来ない。
「そこで、天舞音様にお願いがございます」
「お願い?」
「我々が鎖へ向かう間の、支援を頼みたいのです」
「なるほどのう……」
顎に手を当て、少し考えてから天舞音は国の現状から語った。
「結論から言おう。鎖の破壊、大賛成じゃ。これは妾にとって急務なのじゃ。が、壊す方法の検討もつかぬ故、こうして放置状態になっておる」
ニューラグーンでは、国土の近くに鎖が刺さった。対してウルスリーヴルでは、近いどころの騒ぎではない。島に刺さってしまった以上、それはもはや国土内と何ら変わらない。
バケモノが海を渡れるか否かは定かではないが、この地理的条件では、ウルスリーヴルに化け物が集まる可能性を秘めているのだ。
「地理的な問題だけではない。妾の政治方針にも大いに関わる」
「政治方針、ですか?」
「うむ。妾は、この国の鎖国体制を撤廃したいと考えておる」
ポリアの説明通り、ウルスリーヴルは鎖国体制をとっている。その為に三人は、わざわざ入港手続きをふんだのだ。
「しかし、先々代──祖母が決めた法度が厄介でな。鎖国の撤廃には、一定数以上の国民が賛成する必要があるのじゃ」
「他国で言うところの、国民投票法ですね」
──なな、何て?
想像を遥かに超えるポリアの知識に、少年は驚いた。完全に閉じた世界で巫女の言葉に従って生きてきたユウキにとって、国民投票法なんて単語は、生涯に渡って聞く予定のなかったものであった。
「そうじゃな。それがある故、中々手こずっていたのじゃが、近年、何とか民の意識を外に向ける事ができ始めていた」
天舞音の言葉が過去形であることから、現状はそうではないと推測できたが、客人はやはり彼女の言葉に聞き耳をたてる。
「じゃが、鎖と例のバケモノの出現によって、守りの意見が大いに活発化してしもうた。これでは数多の国民の賛成など、到底得られたものではなかろう」
天舞音は懐から扇子を取り出し、右手首のスナップを効かせて勢いよく展開。静かに扇ぎながら、アインズの頼みに対する返答へ移る。
「長々と話してしもうたが……要するに、援軍の派遣はお任せあれ、とな」
「感謝いたします」
「桜華よ」
「はいっ!」
「援軍とは別動し、ユウキ殿らと共に行け」
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