8 / 56
終わりのためのはじまり
合流
しおりを挟むなんとか話纏まってよかったなぁ、でもなんか忘れてるような、とか思ってた、ら。
「やっと見つけたっ」
ちょっと非難がましい響きを含みながらも可愛さが溢れるような声と、視界を過ぎったふわふわとした栗色の髪。
私を押しのける勢いでレアルードに抱きついた……飛びついた? 彼女を見て、忘れてた何かを思い出した。っていうかタキが仲間に入れないかとか言い出す前はそれについて話してたんだった。
そうだよレアルードがピアを放置してこっちに来てたんだ……!
「レアルード、いつの間にかいなくなっちゃってるんだもん。びっくりして探し回っちゃった」
ピアは座る私とレアルードの間に割り込むような形になってるので表情は見えないけど、どういう顔してるのか想像できる声音と台詞だ。
とりあえず危ない目とかには遭わなかったみたいで良かった。私のせいで(って言ってもいいよねこの場合。不本意だけど)そんなことになったらものすごく寝覚めが悪いし。
明らかにピアはレアルードしか見ていない、つまり二人の世界作ってるも同然なので、ひとまずそっちは意識から切り離す。デバガメの趣味はない。
正面のタキに視線を向ければ、何故か探るような目でじっと見られてた。凝視。穴が開くレベルで。
……あああそうだったそもそもタキって『シーファ』が隠してることを暴きたがってたんだっけ?!
多分これからはさっきみたいに実力行使に出ることはないと思うし、レアルードを防波堤代わりにすればどうにかこうにかそれなりに誤魔化せるらしいっていうのは『シーファ』の記憶からも分かるんだけど。
でもそうしちゃうと、現段階でもよろしくないピアとの関係が更にこじれそうだなぁ……これまでの『シーファ』はその辺どうやって回避してたんだろう。なんかピア関連ってあんまり思い出せないんだよね。謎。
存在を忘れかけてた飲み物(なんか果実っぽい味)を飲みつつタキの視線を受け止める。
こう見るとタキって微妙に浮いた色彩してるなー。いやこの『世界』はそれはもう色とりどり、色彩豊かすぎるくらい髪の色も目の色もカラフルな人がたくさんいるみたいなんだけど。ピンクとか緑とか、地毛とは思えない――少なくとも『私』の居た世界で自然に出ないような色の人が。
だけどその中でも、赤髪に金瞳っていうのは珍しいらしくて、『シーファ』の記憶の中でもその組み合わせの人はタキしかいない。……なんか理由があった気がするんだけど、何だったかな。
そんなことを考えていたからだろうか。
傍から見たら見つめ合ってるみたいな形になってたことに気付いたのは、タキとレアルードが顔を合わせてからの短い時間でお馴染みになった、不満を訴えるような自己主張の激しい視線を受けてからだった。
……この世界の人って目が口以上に物を言いすぎだと思います。
「……レアルード、話は終わったのか?」
無視する意味も理由もないので、こっちから声をかけてみる。レアルードは頷いた。
その横からこれまた強烈な視線を向けてくるピアは見なかったことにしておく。……たかだか一言口にしただけなのに理不尽だ。
意識して聞いてなかったからどういう会話が為されたのかは分からないけど、まあいいか。多分私には関係ない……よね?
「それならば、一度部屋に――」
言いかけて、そういえば、と気付く。我関せずな感じで頬杖をついてこっちを見ていたタキを振り返った。
「君を仲間に加えるということはひとまず決定したことになるが、聞きたいことが幾つかある。今はどこの宿に?」
「身上調査かなんか? 別にいいけど。――宿はとってない。飯食いにここ来たところでアンタ見つけたから」
「そうか。私達はここに部屋をとっているから、話はそちらでするとしよう。それでいいだろうか」
「オレは別に構わないぜ? この町で宿とるならここにしようと思ってたしな」
……ん? 今の言い方だと、積極的に宿とるつもりはなかったみたいな感じだけど、タキにとってこの町って長居するつもりなかった場所なのかな。
そういえば『シーファ』の記憶だとタキって盗賊の根城に先に着いてたみたいだし、それっぽい。
「では、部屋に行くとしよう。……これからについても少し話したいが、先に彼と話すことになる。レアルードとピアはもう少しこちらに居ても構わないが」
レアルードはタキのことあんまり好きじゃないみたいだし、ピアにとっては見知らぬ人レベルだろうから(そういえばレアルード一応その辺話してくれたのかな。仲間云々のときにピアが驚いた顔はしてなかったから大丈夫だろうけど)、気を遣ったつもりの言葉だったんだけど。
「いや、俺も戻る」
予想外に強い口調で言われて、びっくりした。
……いや別に、そんなじーっと見てこなくても反対するつもりも却下するつもりもないんですが。あとピアが明らかに不満そうな顔してるけどいいのかレアルード。
「私に否やはないが――ピアはいいのか」
「ピア?」
……なんでそんな如何にも予想外のこと言われましたみたいな顔してるのかなレアルード。もうちょっと空気読んで!
あからさまにむくれているピアを振り仰いだレアルードは、首を傾げて言った。
「買い物に行きたいんだったら行ってくればいいだろう」
えええ!? そこでどうしてそんな台詞が出て来ちゃうの? ピアの態度のどこをどう読んだらそうなるの!? っていうか1人で行かせる気満々だよこの人!
「……1人で買い物に行ってもつまらないでしょ」
わあすごい、位置的に見下ろす形になるのに上目使い(雰囲気的に)とかピア、テクニシャンだ。だけど相手がレアルードじゃねぇ……。
「……?]
怪訝そうに首を捻るレアルード。通じてない、通じてないよ色々と……!
なんかもう鈍いとかそういうレベルなのこれ、なレアルードに頭痛がしてきたので、放置して先に部屋に戻ることにする。良心的な何かがうずいたけど気にしない。だって付き合ってられないってこんなの。
まぁ意思疎通頑張ってください。それなりに近い部屋から応援してます。多分。
レアルードとピアに声を掛けてから、タキと共に部屋に向かう。
――…ってちょっと待ってレアルード、会話ぶち切ってついてくるのは勘弁してください。これ以上ピアとの関係悪化させたくないんで! 後生だから止めて……!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる