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投げやりアドバイス5題 (お題配布元様「確かに恋だった」)
5.押してもダメなら引いてみろ、相手も大喜びだ
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1の電話の相手…ユズ(馬鹿その一)・一人称は『オレ』
2の電話の相手…ミスミ(馬鹿その三)・一人称は『私』
3の電話の相手=レンリ・この話では目でしか会話しない(無言)
4の電話相手=カンナ(馬鹿その二)・一人称は『僕』
+ + + + + +
「金の無駄遣い以外の何物でもないよね馬鹿じゃないのあんたら」
「いきなりどうしたんです?」
「どうしたもこうしたもないっての。確かにどっか場所設けて全員集めろとは言ったけどね、わざわざこんな馬鹿高そうな料亭の一室貸し切らなくてもいいだろうが」
「え、違うよ?」
「何が違うんだ馬鹿その一」
「一室なんてケチなことしてないよ。店ごと借りたんだよねカンナ?」
「もちろん。一室しか貸し切れないような男だと思われていたなら心外だな」
「ああごめん、やっぱり見誤ってたよ。馬鹿じゃないね大馬鹿だねもう救いようがないね」
「…………」
「あっ、レンリがまた隅っこに寄ってってる!? よくわかんないけど落ち込まないでレンリ!」
「待てレンリ。あんたは違うから安心しろ。どうせ他の馬鹿どもが勝手に場所決めて貸し切ったんだろうし? それとユズ、声量落とせ。うるさい」
「――私たちが場所を決めたのも貸し切ったのも間違いではないですが。どうしてあなたはそう、レンリにだけ甘いんです? 同じ幼馴染なのに随分と扱いに差があると思うんですが」
「自分の胸に手を当てて考えろ馬鹿その三。日頃の行いの差だっての」
「日頃の行い、と言ってもレンリもさほど私たちと違うとは思えませんね。今回だって、電話をしたことには変わりないでしょう?」
「うっさいよこのナルシスト。心労の度合いが違うんだよストレス値とか」
「ひどいですね。傷つくじゃないですか」
「心にも思ってないことをいうな。ぶっちゃけウザい」
「私はユズじゃないので、罵られて喜ぶ趣味はないんですが」
「ちょっ、ミスミ! オレだってそんな趣味ないよ!?」
「え、ないの? 僕もそう思ってたんだけど」
「カンナも!?」
「だって僕たちと未だに付き合ってる時点で、そう考えるのが自然だと思うんだけど」
「れ、レンリは!? レンリは違うよね? オレのことマゾだとか思ってないよね!?」
「…………」
「なんで無言!? 目を逸らすのっ!? レンリだけはそんなことないって信じてたのにー!」
「…………」
「それ困ってんだよ。幼馴染なら気づいてやれ。レンリもそんな途方に暮れた顔しない。っつーかさっさと本題行こう本題。時間の無駄だ」
「久しぶりに会った幼馴染に冷たくないかな?」
「久しぶり? 家も近所とは到底言えない学校も違う他の接点もないのに三日とあけずに出没する奴らが言えた台詞じゃないね」
「幼馴染という接点があるじゃないですか」
「昔の話だろーが。マジでさっさと縁切っときゃ良かった」
「…………」
「――わかった。前言撤回するからその目はやめろレンリ」
「っていうか本題って何のこと?」
「ほんっとーに鳥頭だなおまえ。何すっぱり忘れてんだよ。こっちには全然関係ないってのにあんたら全員揃って恋愛相談なんかしてくるからこうなったんだっての」
「でも、私たちがそんなこと相談できるのはあなたくらいですし」
「何でわざわざ相談なんかするわけ。好きにすりゃいいじゃん」
「だってこういうの初めてだし。色々不安なんだよー聞いてよー!」
「正直ウザい。あんたらの恋路とかどうでもいいし」
「彼女、電話でも言ったけど一般市民なんだよ。どう接するのがいいか勝手がわからなくてね」
「だったら関わるなよ。それが出来ないならせめて巻き込むな」
「…………」
「んな顔しても駄目なもんは駄目。面倒ごとには関わらないのが信条なんで。特に今回は関わったらろくなことにならないってわかりきってるし」
「いっそ強行手段に出てもいいんだけど?」
「それはどういう意味か聞きたくないが聞かせてもらおうか」
「具体的には君に僕たちの学校に転入してもらうとか」
「人権はどこいった。世の中金でどうとでもなると思うなよ。んなことやったらマジで縁切るから」
「それは困るな。でも悪い話じゃないと思うんだけど」
「学費その他諸々は私たちが持ちますし、家を離れたくないなら迎えだって寄越します」
「寮もあるよ! 好みに合わないなら新しく建てさせるし!」
「…………」
「そんな期待に満ちた目で見られても。っつーかさ、そういう問題じゃないっての」
「じゃあどういう問題なのかな」
「そもそも恋愛相談をしてきたってことはアドバイスが欲しいっつーことだよな」
「まあ、そういうことになりますね。話を聞いて欲しかったのもありますが」
「よしわかった。アドバイスしてやる。ただしこれ一回きりだから。金輪際この話題持ち込むなよ。アドバイスも求めるなよ」
「え、それはオーボーじゃ……」
「うっさいヘタレ。っつーわけでアドバイスだけど」
「…………」
「押してもダメなら引いてみろ。相手も大喜びだ」
「……何ていうか、君が僕たちの恋路を心底どうでもよく思ってるのだけは伝わってきたよ」
「それアドバイスなの?! っていうか『相手も大喜びだ』ってヒドくない!?」
「あなたらしいといえばあなたらしいですけどね……」
「…………」
「『一般人』からの意見だ。気に食わないならそれで結構。んじゃ。……なに、レンリ。さっさと帰って課題終わらせたいんだけど」
「…………」
「あー、そか。あんたは別に押しまくってたわけじゃなかったねそういや。まあ基本は同じで。逆に押してみればいいんじゃね?」
「そんな投げやりなアドバイスで私たちが納得するとでも?」
「だってこれ以外アドバイスないし。っておい、何してんだおまえ」
「いや、ちょっと腰を落ち着けて話し合いをしようかとね?」
「言い方は穏便だが明らかに監禁する気満々だろおまえ」
「やだなぁ監禁だなんて。せいぜい軟禁だよ」
「ごめんオレにカンナは止められないよ……っ!」
「とか言いながら加担してんじゃねぇよこの馬鹿。今どこにメール打った」
「安心してください。明日の朝には転入手続きも済みますから」
「どさくさに紛れて聞き捨てならないこと言ったなミスミ。おまえら覚悟は出来てんだろうな?」
「………………」
「今回ばかりはあんたも同罪だからなレンリ? 申し訳なさそうな顔してもさすがに許せないから。フツーに無理。許容量オーバーだから」
「まあまあ。じっっっくり話し合おうよ、ね? 幼馴染の偶のワガママくらい聞いてくれたっていいと思うんだ」
「本性だだ漏れてるぞ腹黒。……ああもうウザい超ウザいナチュラルに犯罪行為すんじゃねーよ一般市民ナメんなよこの馬鹿ども。ぜってぇ後悔させてやる……!」
2の電話の相手…ミスミ(馬鹿その三)・一人称は『私』
3の電話の相手=レンリ・この話では目でしか会話しない(無言)
4の電話相手=カンナ(馬鹿その二)・一人称は『僕』
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「金の無駄遣い以外の何物でもないよね馬鹿じゃないのあんたら」
「いきなりどうしたんです?」
「どうしたもこうしたもないっての。確かにどっか場所設けて全員集めろとは言ったけどね、わざわざこんな馬鹿高そうな料亭の一室貸し切らなくてもいいだろうが」
「え、違うよ?」
「何が違うんだ馬鹿その一」
「一室なんてケチなことしてないよ。店ごと借りたんだよねカンナ?」
「もちろん。一室しか貸し切れないような男だと思われていたなら心外だな」
「ああごめん、やっぱり見誤ってたよ。馬鹿じゃないね大馬鹿だねもう救いようがないね」
「…………」
「あっ、レンリがまた隅っこに寄ってってる!? よくわかんないけど落ち込まないでレンリ!」
「待てレンリ。あんたは違うから安心しろ。どうせ他の馬鹿どもが勝手に場所決めて貸し切ったんだろうし? それとユズ、声量落とせ。うるさい」
「――私たちが場所を決めたのも貸し切ったのも間違いではないですが。どうしてあなたはそう、レンリにだけ甘いんです? 同じ幼馴染なのに随分と扱いに差があると思うんですが」
「自分の胸に手を当てて考えろ馬鹿その三。日頃の行いの差だっての」
「日頃の行い、と言ってもレンリもさほど私たちと違うとは思えませんね。今回だって、電話をしたことには変わりないでしょう?」
「うっさいよこのナルシスト。心労の度合いが違うんだよストレス値とか」
「ひどいですね。傷つくじゃないですか」
「心にも思ってないことをいうな。ぶっちゃけウザい」
「私はユズじゃないので、罵られて喜ぶ趣味はないんですが」
「ちょっ、ミスミ! オレだってそんな趣味ないよ!?」
「え、ないの? 僕もそう思ってたんだけど」
「カンナも!?」
「だって僕たちと未だに付き合ってる時点で、そう考えるのが自然だと思うんだけど」
「れ、レンリは!? レンリは違うよね? オレのことマゾだとか思ってないよね!?」
「…………」
「なんで無言!? 目を逸らすのっ!? レンリだけはそんなことないって信じてたのにー!」
「…………」
「それ困ってんだよ。幼馴染なら気づいてやれ。レンリもそんな途方に暮れた顔しない。っつーかさっさと本題行こう本題。時間の無駄だ」
「久しぶりに会った幼馴染に冷たくないかな?」
「久しぶり? 家も近所とは到底言えない学校も違う他の接点もないのに三日とあけずに出没する奴らが言えた台詞じゃないね」
「幼馴染という接点があるじゃないですか」
「昔の話だろーが。マジでさっさと縁切っときゃ良かった」
「…………」
「――わかった。前言撤回するからその目はやめろレンリ」
「っていうか本題って何のこと?」
「ほんっとーに鳥頭だなおまえ。何すっぱり忘れてんだよ。こっちには全然関係ないってのにあんたら全員揃って恋愛相談なんかしてくるからこうなったんだっての」
「でも、私たちがそんなこと相談できるのはあなたくらいですし」
「何でわざわざ相談なんかするわけ。好きにすりゃいいじゃん」
「だってこういうの初めてだし。色々不安なんだよー聞いてよー!」
「正直ウザい。あんたらの恋路とかどうでもいいし」
「彼女、電話でも言ったけど一般市民なんだよ。どう接するのがいいか勝手がわからなくてね」
「だったら関わるなよ。それが出来ないならせめて巻き込むな」
「…………」
「んな顔しても駄目なもんは駄目。面倒ごとには関わらないのが信条なんで。特に今回は関わったらろくなことにならないってわかりきってるし」
「いっそ強行手段に出てもいいんだけど?」
「それはどういう意味か聞きたくないが聞かせてもらおうか」
「具体的には君に僕たちの学校に転入してもらうとか」
「人権はどこいった。世の中金でどうとでもなると思うなよ。んなことやったらマジで縁切るから」
「それは困るな。でも悪い話じゃないと思うんだけど」
「学費その他諸々は私たちが持ちますし、家を離れたくないなら迎えだって寄越します」
「寮もあるよ! 好みに合わないなら新しく建てさせるし!」
「…………」
「そんな期待に満ちた目で見られても。っつーかさ、そういう問題じゃないっての」
「じゃあどういう問題なのかな」
「そもそも恋愛相談をしてきたってことはアドバイスが欲しいっつーことだよな」
「まあ、そういうことになりますね。話を聞いて欲しかったのもありますが」
「よしわかった。アドバイスしてやる。ただしこれ一回きりだから。金輪際この話題持ち込むなよ。アドバイスも求めるなよ」
「え、それはオーボーじゃ……」
「うっさいヘタレ。っつーわけでアドバイスだけど」
「…………」
「押してもダメなら引いてみろ。相手も大喜びだ」
「……何ていうか、君が僕たちの恋路を心底どうでもよく思ってるのだけは伝わってきたよ」
「それアドバイスなの?! っていうか『相手も大喜びだ』ってヒドくない!?」
「あなたらしいといえばあなたらしいですけどね……」
「…………」
「『一般人』からの意見だ。気に食わないならそれで結構。んじゃ。……なに、レンリ。さっさと帰って課題終わらせたいんだけど」
「…………」
「あー、そか。あんたは別に押しまくってたわけじゃなかったねそういや。まあ基本は同じで。逆に押してみればいいんじゃね?」
「そんな投げやりなアドバイスで私たちが納得するとでも?」
「だってこれ以外アドバイスないし。っておい、何してんだおまえ」
「いや、ちょっと腰を落ち着けて話し合いをしようかとね?」
「言い方は穏便だが明らかに監禁する気満々だろおまえ」
「やだなぁ監禁だなんて。せいぜい軟禁だよ」
「ごめんオレにカンナは止められないよ……っ!」
「とか言いながら加担してんじゃねぇよこの馬鹿。今どこにメール打った」
「安心してください。明日の朝には転入手続きも済みますから」
「どさくさに紛れて聞き捨てならないこと言ったなミスミ。おまえら覚悟は出来てんだろうな?」
「………………」
「今回ばかりはあんたも同罪だからなレンリ? 申し訳なさそうな顔してもさすがに許せないから。フツーに無理。許容量オーバーだから」
「まあまあ。じっっっくり話し合おうよ、ね? 幼馴染の偶のワガママくらい聞いてくれたっていいと思うんだ」
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