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無理やり転校編
遅ればせの本題、そして
しおりを挟む「で、今度こそ本題だけど。件の子の様子をちょっと見てきた」
「……だから着いてくるなと言ったんですね」
「ぞろぞろ着いてきたら目立ってしょうがないし。うっかり見つかろうものなら様子見の意味がなくなる。……それで、あんたらの話と三笠さんからの情報と実際見た上での判断だけど――」
「……」
「――現時点で好意がまともに伝わってる確率自体低い。底辺。やたら溜息ついてた理由の八割あんたらの奇行が原因ってのが三笠さんの見解。いきなり猛勢かけたもんだから状況についていけてないっぽい」
「「「「…………」」」」
「三笠さんの見解の方は信じるも信じないも好きにすればいいけど、多少は信頼できると思ったから伝えとく。まあ人間観察が趣味とか公言してるし、意図的に間違いを言ってるんじゃなきゃ信憑性はあると思うけど」
「いや、いくら俺でもワザと嘘は言わないって」
「絶対にそうだと言えるほどにあなたを知らないので。お気を悪くしたらすみません」
「それ、あんまり心籠もってないよな? ……まあ、さっき知り合ったばかりじゃしょうがないか」
「……え、えっとー……?」
「思考を止めるな馬鹿ユズ。二度は言わないからな」
「つまり、私たちの行動は現状全くの無意味になっている、と?」
「全くとは言わない。ただ基本マイナスに働いてるだけで」
「……それ、いっそ無意味な方がマシだよね」
「だろうね、いろんな意味で。……正直、あんたらがここまで馬鹿というかガキというかいろんな意味でダメダメだと思ってなかったから、予定が狂った」
「予定?」
「さくっと現状把握、後にとりあえずの助言だけしてオサラバ」
「嬢さん、それつまりさっさと帰る気満々だったってことじゃ?」
「だってさっさと帰るつもりでしたから。そもそもなんで他人の恋路のために転校までしなきゃならないのかっていう……あ、思い出したらムカついてきた」
「薄々そうかなーと思ってたけど、嬢さんもしかしてそのためだけに転校してきたワケ?」
「相談受けてアドバイスしたら投げやりだとか不満言われて勝手に転入手続きされてたんですよ」
「……ごめんその繋がりがよくわかんないんだけど。なんでアドバイスから転入に流れてったんだ?」
「それは私でなくそこの四馬鹿に聞いてください」
「いや、君説明が面倒なだけだよね?」
「そうだけどそれが?」
「……。……ええと、簡単に言えば『もっときちんとしたアドバイスを継続して貰えたら嬉しいし、ついでに長く一緒に居られるから一石二鳥』みたいな流れで」
「これまでことごとく断られてきてたし、いっそ実力行使してみてもいいんじゃないかな、とか」
「……えっと、そんな感じ?」
「――なんつーか、聞けば聞くほどあんたら嬢さんのこと好きすぎねぇ?」
「…………」
「………………」
「……………………」
「…………あ、あはは?」
「え、ナニその反応」
「――深くつっこまないでやってください、三笠さん」
「は? ……。……まあ嬢さんがそう言うなら」
「で、話を戻しますが。思ってた以上にヒドイ現状だったから、ちょっと考えを改めることにした」
「え?」
「放っとくにはちょっと不安すぎる。あんたらが暴走したりいろんな意味で取り返しのつかない事態に陥ったら――というか陥らせたら目も当てられないし。相手の子に申し訳なさすぎる。ってことで、仕方ないからしばらくアドバイザーやることにしようかと」
「……それホント!?」
「こんなことで嘘言ってどうする」
「――つまり、このままこの学園に通ってくれるってことですか?」
「いやそれは未定」
「……!」
「そんなあからさまにショック受けた顔しなくても。別に積極的に拒否したいっていうわけじゃないから」
「じゃあなんで未定だなんて――、……もしかして」
「多分あんたが想像してる通り。すっかり忘れ去ってたってわけじゃないみたいだな。――さっきメールが来た。こっち向かってるって。……っていうかお前らがまさか何も言わずに転入手続きだのなんだのやったとは思わなかった」
「……一応、奏さんには了解を得たんだけど」
「いやそこは別物だから。そっちの了解が取れたからって関係ないから」
「……ですよね……」
「どうする?」
「どうしましょうね」
「え、どうするの!? っていうかどうすればいいの?!」
「無駄に騒がないでくれる? ユズ。鬱陶しい」
「なんか今日オレ暴言吐かれる率高くない!?」
「…………」
「レンリ、慰められると余計ショックなんだけど……! やっぱり気のせいじゃないってことだよね!? ショック……っ」
「なんか場がカオスになってきたけど、何があるっての?」
「あいつらが意図的に連絡を怠った人物が来るってだけです。まあその人物が問題というか曲者なんですが」
「へぇ? 俺も会ってみたいんだけど、いい?」
「別にいいですよ。ただあんまり口を挟まないでくだされば。これ以上事態をこじれさせたら本当にメンドいことになるんで」
「……嬢さんさぁ、俺を愉快犯かなんかだと思ってない?」
「すみません。よく似た人が事態を引っ掻き回してこじれさせる天才なので、つい」
「『みっちゃん』だっけか。知り合いでもなんでもねぇけど、恨み言の一つも言いたくなってきたな……」
「実際会っても言わないでくださいね。面白がられるだけなんで」
「…………了解」
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