【完結】±Days

空月

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EXTRA(番外編)

【季節ネタ】トリック・オア・トリート! 4人目

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 「夜遅くにごめんね。ってことで、Trick or Treat?」

 「はいお菓子」

 「……こう、もうちょっと駆け引きとか間とかないの?」

 「そんなサービスはない」

 「冷たいなぁ。そんな素っ気ないとイタズラするよ?」

 「お菓子やったんだからそれで満足しなよヴァンパイア。っていうか初めてコスプレ被ったね」

 「え、被った? 誰と?」

 「ミスミと。あっちはずっと吸血鬼だったけど」

 「……あー、ミスミか。メジャーだし誰かと被るかなとは思ったんだよね」

 「まあ今まで被らなかったのが不思議だけど。毎年全然違うのに変えるのはあんただけだったけど、ミスミ以外はちょこちょこマイナーチェンジしてたし」

 「そうだったんだ? 最近全然示し合わせて来ないから知らなかったよ」

 「あんたは特に遅く来るから他の奴らと鉢合わせないしね」

 「今年もなんとか日付変わる前に来れてよかったよ」

 「忙しいなら無理して来なくてもいいと思うんだけど」

 「来たいから来てるんだよ。こういう息抜きでもないとやってられない」

 「好きでやってるくせに」

 「まあ、そうだけど。それでもあんまり続くと疲れるし飽きるものだと思わない?」

 「否定はしないけどね」

 「今年はかぼちゃのパウンドケーキ? 美味しそうだね」

 「切り分けてるし日持ちもするから夜食にでもすれば?」

 「……ありがとう」

 「礼を言うのはまだ早いと思うけど」

 「――ってことは……恒例の?」

 「そう。何が仕掛けてあるか考えながら食べなよ」

 「今年はどんな手で来るか楽しみだよ。味わって食べさせてもらうね」

 「言っとくけど基本材料安いから。あんたらの普段食べてるようなものに使われる高級食材とか原料使ってないから」

 「そんなの今更だよ。今までだって食べさせてもらってきたんだし。それに、君のお菓子美味しいよ?」

 「一流パティシエの作るお菓子が標準なお前らに言われてもな……お世辞としか思えないっての。まあいいけど。お前らに合わせて馬鹿高い材料そろえる気もないし」

 「だからその必要はないんだって。君が僕たちのために作ってくれたってだけで十分だから」

 「……。何そのサムイ台詞」

 「寒いだなんて。本気で言ってるし、他のみんなも同じように思ってると思うけど」

 「本気なら尚更寒いし、そもそも言う相手間違ってるよね」

 「言う相手?」

 「そういうのは好きな子とか恋人とかそういう子にいう台詞じゃないの」

 「そんな世間一般の認識はどうでもいいし、そう思ったから言ったまでだよ」

 「……。……うん、わかったもう何も言わないでおく」

 「……なんか投げられた気がするんだけど」

 「実際投げたし。どうにも思考回路が違うから仕方ない。相互理解が難しいのは当然だしね」

 「とか言って、単に面倒になっただけだよね?」

 「そうとも言う」

 「……そういう正直さは君の美徳だけど、もうちょっと僕たちに優しくしてくれてもいいと思うんだ」

 「優しくすると調子のるから嫌だ」

 「……まあ、そういうところが好きでもあるわけだけど」

 「マゾ発言?」

 「どうしてそっちにとるかな……」

 「真面目にとる気がないからね。ほら、どうせ明日も明後日も忙しいんでしょう。とっとと帰って寝なよ」

 「……うん、そうするよ。じゃあ、これはありがたくもらって帰るね。――おやすみ」

 「はい、おやすみー。……。あーあ、この短い距離でよろけてるよ。無理してるなー。いや、気が抜けたのかな。今日くらいゆっくり寝るかな? ……無理か、あの様子じゃ。早速ケーキが活躍しそうだ。いつもと方向性の違うイタズラだし、ちょっとは気が抜けるといいけど――さて、どうなるやら」

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