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バッド・スマート&エレガント(バスト的な意味で)

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 春奈が上級生に絡まれているところを、スマート&エレガントに救出しようとした俺だったが、

・テンパって、会話を噛みまくる。
・上級生に右腕の関節をとられて、痛くて泣きそうになる。
・上級生に胸ぐら掴まれて、殴られそうになり、超ビビる。

 なんともバッドエレガントで、すげえカッコ悪い俺しかなかった。で、俺らのピンチを救ってくれたのは担任(本運びの罰を俺に課した憎き敵)だった。今はもう廊下にはいない。仕事があるとかで、職員室に戻っていった。

 情けねえな、俺……。先生がこなきゃ……、上級生にボコられていたかもしれない。そう思うと身震いする。 

「はあ~……」

 そう上手くいかないな……、なんとも、やるせない気分だ。俺は、春奈を助けてあげれなかった……。春奈に……、申し訳ない。

「爽太ぁ?」
「いいっ!?」

 し、しまった!? まだ廊下には春奈がいたんだった!? たそがれている場合ではなかった。

「お、おう……! な、なんだ?」

 そばにいた春奈に声をかけると、心配げな表情をしていた。

「ため息……、大丈夫? 気分とか悪い?」
「あっ、いや、大丈夫……」
「そう……、じゃあ、ケガして痛い?」
「いや、それも、大丈夫……」

 それよりも、ハートがすごく傷ついたかな……。男としてのプライドがさ……、って、そんなこと恥ずかしくて言えんけどねっ……!! 

「そっか……なら、良いんだけど……、でも」
「ん? どした?」
「右肘……、痛かったよね?」

 ぴとっ。

 っと、不意打ちだった。

 春奈の白くて綺麗な手のひらが、俺の右肘ににそっと触れていた。

 なっ……!?!? いや、ちょっと!? 

 春奈の細身の指先から、人肌の体温がじんわり伝わる。それに、どこか柔らかくて、なめらかな指先の感触に、俺の右腕が、ぞわぞわっと、むず痒い感覚に包まれる。てか、頭のてっぺんまで、む、むず痒い!!

「あわわっ……!?」
「えっ!? そ、爽太どうしたの?」
「あ、いや、あの……!?」
「あっ! も、もしかして、肘さわって痛かった!? ご、ごめん! 大丈夫っ!?」

 春奈が、俺のそばに近づく。おいおい!? ち、近いって!? 

 俺の鼻が、シャンプーのような甘い香りを敏感に嗅ぎ取る。や、やばい! 顔がにやけてしまう!! 気をしっかり持て!! 

 と、鼓舞するが、俺の視界があるものを捉えてしまった。

 鼓動が慌ただしくなる。

 お、おいおい、俺の右肘のそばに……、バ、バストが!! は、春奈のカッターシャツをイタズラに押し上げている、小悪魔なバストが、ちょ、超近いんですけど!?!?

 非常にまずい。これは、あれですよ、俺がチョンと、右肘をずらしたら、ポインっと、弾かれるワンタッチなスキンシップが出来てしまう……!!

(急な妄想のカットイン発生)
『ポインっと』
『やん♡、もう~、爽太のえっち♡』

 春奈……、もしかして、望んでいるっ?? …………、やるしかねえ。

「そんなわけあるか!?!?」

 俺のアホ!! バカバカ!!

「ひゃっ!? な、なに!? どうしたの爽太!?!?」
「あっ!? いやいや!?!? えっと、な、何でもないです!! み、右肘、痛くも何ともないから!! ほんと、右肘なんともないから!!」

 は、早く春奈から離れよう!! 

「は、春奈!」
「は、はい!」
「俺、もう行くわっ! この本の束、運ばないといけないしさ……!」

 俺は自分の責務を果たす!! そしてクールに去るぜ……!!

「じゃ、じゃあな……!」

 俺は春奈から離れ、廊下を進んでいく。

 ふぅ~……、危なかった。だが、もうこれで、春奈のことで(バストのことで)悩まずに済む、

「そ~うたぁ」
「いいっ!?」

 な、何で春奈がまだそばにいる!?!?

「は、春奈!? まだなんか用か!?」
「んん? ん~、えっとねっ」

 春奈はそう言いながら、

「爽太の持ってる本の束」
「お、おう?」
「それって、備品庫に運ぶもの?」
「えっ? あ、ああ。そうだけど?」
「そっか~! うんうん」
「な、なんだよ、嬉しそうに?」
「ううん。えっと……、私も備品庫に用事があるの」
「えっ? そうなの?」
「うん。だから、一緒にいこっ」

 春奈が楽しそうに笑って、俺の隣に近づく。

 お、おいおい、ち、近いってだから! な、なんで、そんなに近づく必要があんだよ。俺の右肘がワンタッチしたくてうずくだろうが!! は、春奈のバストが、気になって仕方ない!! だって、ポイン、ポイン、って、さっきから、小さな上下運動が素晴らしくて……、うへへへっ……、って、待て待て!! な、なんでそんなに動いている!? おかしいだろ!?
 
 俺は隣にいる春奈全体に目を向けた。

「なっ!? は、春奈!?」

 俺は驚愕した。だってさ、春奈の奴、俺の隣で、小さくスキップしているんだぜ!? しかもなんか嬉しそうだし!? なんか楽し気な感じだし!? 一体どういうことだってばよ!?!?

「ん? なぁに? 爽太ぁ?」
「あっ、いや!? その……」

 廊下で、スキップは止めなさい、と言うべきか。いやでも、それを言ったら俺は春奈に、怪しまれるのでは……!?

(急な妄想のカットイン発生)
『スキップはおやめなさい』
『はあ? うわ……、爽太の、えっち……』

「爽太ぁ?」
「わわっ!? あ~、ごほん、ごほん……!」

 春奈が不思議そうに小首をかしげる。さらりと、黒髪が優しく揺れ、丸くてキレイな瞳が、俺の続きの言葉を待っていた。
 俺は……、なんとか喉から、声を振り絞った。

「こ、こけたりすんなよ……」

 それを聞いた春奈は、

「ぷふふっ、急になぁに? 変なの~、爽太ぁ」

 へ、変なのは、春奈のほうだろ……!

 春奈は何も気にせず、小さなスキップ(無自覚)をしながら俺の隣についてくる。俺は、そんな変な春奈の様子(主にバスト)を、横目で、チラチラ、見てました……。もうこれは仕方ないよね!? は、春奈が悪い!! そ、それに、これくらいのご、ご褒美があってもいいでしょ!? 俺、カッコ悪かったけど、頑張ったし!!

 と、内心あたふたしながら、俺らは備品庫に向かった。
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