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続・バストストーリー

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「とまあ、これが俺と春奈のバストストーリーの初まりとなったわけだ」
「……、へぇー……」

 放課後の文芸部の部室にて。俺は中学1年のときの夏の思い出をしみじみと語っていた。
 懐かしいなぁ、もうあれから4年くらいたっているのか。輝かしい、我が青春の1ページ……。

 静かになった部室にて、物思いにふけっていたら、ふと蝉の鳴き声が窓の外から聞こえた。

 そういうやあの頃も、こんな暑い夏のときだったっけ。

 窓の外に目を向けると、明るい夏の太陽光が、サッカーや野球などで汗を流している生徒にこれでもかと降り注いでいる。
 
 ご苦労なこったなあ~、俺は絶対無理。野郎どもの汗臭いフィールドで、暑い放課後を過ごすなんてナンセンスだ。それだったら、あっちの女子テニス部のフィールドで過ごしたい。

 夏仕様のジャージを着ながら可愛い系の中学生や高校生の女子部員達がソフトテニスを楽しんでいる。短パンに、上着は暑いから着ていなくて、白のTシャツというラフな服装だ。

 うむ、とても良い光景だ。夏の暑さを忘れさせてくれるような爽やかさを感じる。これであと、バストがポインポインと揺れてたりしてたらパーフェクトなんだけどなあ……。春奈みたいな立派なバストを持っている子はそういない。

 そう思うと、4年前の春奈のバストは偉大だ。いやほんと中学1年であんなポインなバストはけしからんよ? 小走りで揺れるし。そして俺と同じ高校2年になった春奈は、もうポインでは収まりきらず、ポヨンポヨンと、

「ふぁ~……」
「んっ?」

 俺が高尚な思考をしていると、横に座っていた美少女が眠たげに目をこすっていた。

「んんっ~……」

 今度は眠気覚しと言わんばかりに、軽く腕とか伸ばしてるし……。俺と春奈のバストストーリーを聞きたい、と言ってきたのはそっちなのになぁ……。

 俺は文芸部の可愛い後輩に、不満気な目を向けた。すると、双葉結衣《ふたばゆい》は少し慌てながら目をぱっちりと見開いた。

「あははっ、意外と長かったんで~。えへへっ、でもなかなか面白かったですよ。……、ふぁ~……」
「言ってることと態度が違いすぎるぞ……」

 たく……、これだから最近の若者(美少女)は。

 俺は横に座っている可愛い後輩を眺める。

 明るい栗色の髪に、小さな顔立ちに映えるボブカットの彼女。くりっとした可愛い目つきはどこかキラキラしていて、いつも面白いことを探している好奇心に満ちている。

 この子にターゲットにされた獲物(男子)はことごとく彼女の魔の手に落ちていく(勝手に惚れて、告白して、無惨に振られる)と聞いている。

 ぱっと見は明るくてフランクな女子、だがその裏の顔は小悪魔系なのだ。

「爽太せーんぱい、眠そうにしてごめんなさぁい♪ 許して、ねっ?」
「許す」

 即答だった。迷いゼロ。考えるよりも口が先に動いちまったぜ……。

「えへへっ♪ 優しい先輩、結衣は大好きですっ♪」

 ニコッと嬉しそうに笑う。やば、可愛すぎる……! バストの次くらいに、俺の心を惹きつける力がある! 

「せーんぱい? どうしましたぁ?」
「むっ、いやなんでもない」
「え~? なんでもないなら結衣に教えても良いじゃないですかぁ」

 と、俺との距離を少し詰めてくる。

 ち、近い近い! たく、まだ中学1年なのに恐ろしい子だ。春奈のバストとはまた違う、男どもを魅了する力を持っている。これでバストも大きかったら……、俺も彼女の魔の手に落ちていたかもしれん。うん……、控えめなサイズで良かったぜ……。ビバ、Sサイズ。

「あっ、爽太せんぱい、バストを見ている目つきになってますよ? 春奈先輩以外にやるのは犯罪です、訴えていいですか? はい、ありがとうです、おまわりさんに通報しますね♪」
「待て待てっ!? 結衣ちゃんのなかで勝手に完結しないでっ!? スマホをしまって!! 警察に通報だめ! てか警察に何ていうの!?」
「せんぱいがバストを見る目つきをしている、って言いますけど」
「そんな理由で警察はこないからねっ!?」
「大丈夫です! 結衣がウソ泣き声で必死に言えば、絶対来てくれます! 安心してください!」
「そんな安心いらないから!! ウソ泣きで訴えるの止めて!? まじっぽくなるでしょ!! って、なにがマジっぽいだよ!! 俺、何も悪いことしてねぇっ!!」

 双葉結衣《ふたばゆい》は目を細めた。

「へぇー……、じゃあ爽太せんぱいは、女の子にいやらしい目を向けるのは悪いことじゃないって言えるんですね?」
「えっ!? あっいや、そ、それは……!?」

 こ、答えづれぇ!! いやらしい目、は悪いことだとお、思う! あ、相手を不快な気分にさせるからな! で、でも今の俺の目はそうじゃないんだよ! その、なんていうの? 憧れというか、尊敬、リスペクト? みたいな、なんかこう壮大な愛に満ちた目でおバスト様を見てるわけですよ。んで気持ち穏やかになって、『ふぅー』と悟りを開いたような賢者の瞳で、結衣ちゃんのおバスト様をちょーっと見つめていただけで、決して、いやらしい目つきなんかしてなーーー、

「ぐすっ、はい、爽太せんぱいが、ゆ、結衣をいやらしい目つきで見つめてくるんですぅ……」
「おおおおおいいいっ!? 結衣ちゃんどこに電話してんの!? ポリス!? ポリスなの!?」

 しまった! 結衣ちゃんに電話する時間を与えてしまった!! スマホ取り上げとけばよかった!! 

 結衣ちゃんが満足げに電話を切った。

「ふぅー、もうすぐで着くそうですよ♪」
「まじで!? ポリスメン!?」
「いえっさ!」

 いい笑顔で言うなっての!! 

 結衣ちゃんが可笑しそうに口元を緩める。

 いやいや、待て待て!! 微笑むとこじゃないでしょ!? 俺の人生が詰む場面で笑みを浮かべるとか悪魔か! 小悪魔系の域を超えてるわ!!

 そのときだった。

 ガラガラガラ!!

 っと、激しく部室のドアが開く音が響いた。

 ひぃぃぃぃ!?!? ポリスメン!? ポリスメンがご到着なの!?!?

 涙目で俺は部室のドアへ顔を向けた、なんとそこには、

「は、春奈っ!?!?」
 
 俺の幼馴染である、大和撫子の春奈が仁王立していた。両腕を立派なバストの前に組んでいる。
 細身の腕に、たわわなおバスト様が重そうに乗っかっている。えっと、あれでしたら支えますよ?(紳士的な意味で)。

「あっ、春奈せんぱ~い♪ 」

 と、結衣ちゃんが嬉しそうに手を振って挨拶する。そして、俺を指差す。

 えっ? 結衣ちゃん? どういうこと? なんで俺を指さしてるの?

「爽太ッ!!」
「はうっ!? は、はい!?」

 春奈の方に目を向けると、仁王像みたいな怖い顔をしていた。覇気が発せられているのか俺は身動きが取れない。

 春奈がずしん、ずしんと足取り強く俺に迫ってくる、鬼のような形相で。

 やべぇ! こ、怖すぎる!! 

 俺は春奈から目をそらしたかった。でも、

 ぽよん、ぽよん♡。

 春奈の力強い足取りに合わせて、ずっしりしたバストが揺れてんだよ! やべぇ! み、見たすぎる!!

 怖いけど、見たい! そんなジレンマにとらわれていたら、

「よろしくお願いします♪」

 結衣ちゃんの可愛い声が聞こえた。

 えっ? それってどういうーーー、!?!?

 目の前まで来た春奈が、右腕を大きく後へ。そして、

「この変態ッー!!」
「ぶへらぁ!?!?」

 強烈なビンタを、左頬に打ち込まれた。座っていた椅子から落とされ、床に転がる俺。

「ほんとっ、女の子に最低なことしかしないんだからっ!! バカ、変態!! 結衣ちゃん、うちの爽太がごめんね~、大丈夫?」
「うぅ、春奈せんぱい! こわかったですぅ!」
「よしよ~し。もう大丈夫だからね」

 嘘泣きしてる結衣ちゃんが、春奈の胸元に顔を埋めていた。

 う、羨ましい!! お、俺もダメ? 

 強烈なビンタの痛みを耐えながら、春奈に目を向けたら、

「こっちみないでっ! 爽太のヘンタイッ!」 
「ううっ……! ぐすっ」

 俺、何も悪いことしてない、よね? うぅ、ぐす。

 俺は、春奈のLサイズなおバストに顔を埋めている結衣ちゃんを見つめながら、人生の不条理をなげいていた。

 ちなみに、結衣ちゃんの顔は今、とてもいやらしい顔つきになっていました。銀○の十○衛かよ……。ちくしょうが……!!
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