20 / 24
ぬる暑い中庭にて② 我バストを想う
しおりを挟む
「今日も暑いですねっ」
小走りでこっちに来た結衣《ゆい》ちゃんは、少し息を乱しながら笑う。右手で胸元辺りの半袖の白シャツをつまみ、パタパタと風を送る仕草がなんともエロ可愛い。バストが小ぶりなのにこの破壊力。これで中一なのだから末恐ろしいぜ………。おっと、今はそんなことよりも。
「隣座る?」
俺がベンチの端によると、「どうもです」と結衣ちゃんは嬉しそうに隣に腰掛けた。
「ふぅー。ここ結構涼しいですねっ」
「そうそう、木陰で風もよく通るから」
結衣ちゃんの明るい栗色の髪がふわっとゆれる。
「あ~、確かに。でも、なまぬるい………」
「それが良いのよ」
「え~、なんでですか。涼しい方が良いですよ」
結衣ちゃんは可笑しそうに言うと、手に持っていた紙パックのジュースにストローを刺した。い、いちご牛乳??
「どうしたんです??」
「あっ、いや、なんか珍しいの飲むなぁって」
「これですか?」
結衣ちゃんがいちご牛乳を見せてくれた。俺は頷き、「そうそう」と答える。
「甘さでよけいに喉乾かない?」
「う~ん、そうですね………、あっ、それが良いんですよ~」
「ええっー? なにそれ?」
俺の戸惑いに、結衣ちゃんはイタズラ気に笑う。
「飲んで、すぐ喉が乾いて、また飲んでの繰り返し。やめられない………、止められない………、いちご牛乳ですっ、ふふっ」
「こわ! いちご牛乳中毒!?」
「はい! 休日はスーパーやコンビニで買い占めします」
「狂気!!」
「結衣のお部屋は『いちご牛乳』の柄です」
「落ちつかない!!」
「ドアには『いちご牛乳』のネームプレートを付けています」
「もはや自分自身が!?」
恐ろしい、◯魂の銀さんよりも重症だ。『いちご牛乳』の掛け軸がまともにさえ思える。
「結衣ちゃんも、いちごギューニャーだったんだな………」
「えっ? なんですそれ? きみ悪いんで通報しますね」
「待て待て! 最後にその仕打ちはないだろ!」
ここにきてまさかの裏切りだった。恐ろしい娘!
「ぷふっ、冗談ですよ、冗談。アニメオリジナルのやつですよね、それ。ふふっ」
おっ、知っていたか。銀さんの意味不明な屁理屈が良い味だしてんだよね。また見たくなってくるぜ。
「あっ、それと、さっき私が言ったのも冗談ですからねっ」
と、結衣ちゃんは楽しそうに笑いながらストローを勢いよく吸い込んだ。
「うーん! 甘くて美味しいっ。ふぅー」
「でも好きなんだねぇ、いちご牛乳」
「はいっ、自販機やコンビニで見かけたらつい買っちゃいます。せんぱいはオレンジが好きなんですか?」
「ん? ん~、ほんとは炭酸系の飲み物が好きなんだけど、学校の自販機に無いからさ。なんとなく、オレンジばっか選んじゃうんだよね」
そう言って、俺はオレンジジュースを眺める。まあ、美味しいから良いんだけどさ。
「ふーん、じゃあ、いちご牛乳はどうですか?」
「ははっ、それは無い無い。あっ」
結衣ちゃんの不意な提案に、素直な声が出てしまった。まずいことしたかな………?
「い、今のはなんというか冗談で」
「ウソです。結衣には分かります。ふーん、そうですか、そんなに嫌ですか」
むくーっ、と両頬をふくらませていた。とても不満気な表情だ。うむ………、どうしたものか。可愛い顔が台無しだぜぇ、と言ってみる? いや、余計に怒られるな。
「なんで嫌なんですかッ?」
「あ~………、いや、その、甘すぎてさ、余計に喉渇くから………」
「その甘さが良いんですよッ! 渇きとか気にならないですッ! それにいちご味なのでわりとスッキリした後味ですよ」
「そ、そうかなぁ」
「ですです、なんで交換しましょうよ」
結衣ちゃんが、俺にいちご牛乳を差し出した。
「えっ? オレンジジュースと?」
「はい、それしかないじゃないですか」
グイグイと、俺が持っているオレンジジュースにいちご牛乳を押しつける結衣ちゃん。ちょ、ちょいちょい、そんな無理やりだとさらに飲む気がなくなる。人の嫌がるものを押し付けてはダメだぞ、とは言いにくい。さて、どう断ったら………、ん?
俺は結衣ちゃんの持っているいちご牛乳を見る。
ストローがささっている。それは飲んだから。誰が? 結衣ちゃんしかいない。それを交換、それって………、間接キス!?
「せんぱい、早く交換してくださいよ」
「へっ!? いや、ちょっとマズいと思うのだが!?」
「マズくないですよッ!! 美味しいですッ!!」
「そ、そうじゃなくて………!?」
ご立腹な結衣ちゃんに、つい声が小さくなる。どうしよ、俺が気にしすぎているのか!? てか結衣ちゃん気づかないの!? もうここははっきりと、『俺と間接キスになるぜ、可愛いベイビー』と言うべきか、って言えるかぁ!!
「むむぅ、せんぱいは意地でも交換しないつもりですね………」
意地とかじゃなくて気まずいの!! はやく気づいて、間接キスに! 結衣ちゃん!!
「…………、あっ!!」
おっ!! 気づいてくれた! んん?
結衣ちゃんはなぜか俺の後ろを指差した。そして、
「春奈せんぱいです!」
「いいっ!? ま、まじで!?」
なんでこんなタイミングで!?
昨日のビンタされた恐怖も思い出しながら、俺は慌てて後ろを振り返った。そこに、春奈の姿はなかった。てか、誰もいない??
「すきあり!!」
結衣ちゃんのイタズラな声音と同時に、俺の片手が軽くなる。慌てて隣に視線を戻すと、結衣ちゃんはベンチから立ち上がって駆け出していた。
「ゆ、結衣ちゃん!!」
俺から少し離れてから、振り返った結衣ちゃん。小さな口元は楽しげに微笑んでいる。淡い唇がそっと開いた。
「いただきますねっ」
「えっ?? あっ!」
結衣ちゃんが片手に持っているオレンジジュース。お、俺の!!
「隣に置いときましたからー!」
一瞬なんのことかと思ったが、俺はハッとして、さっきまで結衣ちゃんが座っていたとこに目をやる。そこには、いちご牛乳が置かれていた。ま、まんまとしてやられた!
「爽太せんぱ~い!」
ぐぐっ、はいはい、なんでしょう。
俺は悔しく思いながらも、結衣ちゃんに目を向ける。
明るい栗色の髪に、小さな顔立ちに映えるボブカットの彼女。くりっとした可愛い目つきはどこかキラキラしていて、いつも面白いことを探している好奇心に満ちている。
この子にターゲットにされた獲物(男子)はことごとく彼女の魔の手に落ちていく(勝手に惚れて、告白して、無惨に振られる)と聞いている。
「ちゃんと、いちご牛乳飲んでくださいよっ! では、さらばですっ!」
そういって、駆け足で去っていく結衣ちゃん。ぱっと見は明るくてフランクな女子、だがその裏の顔は小悪魔系なのだ。
ほんと恐ろしくも超かわいい後輩だ。
結衣ちゃんが去った後の中庭は、ときおり吹く風に揺れる青葉の音が心地よく響いていた。俺の気持ちもなんだか落ち着く。
さて、どうしたものか。
俺はいちご牛乳を手に取る。ひんやりとまだ冷たい。飲むなら冷たいうちだ。
刺さったままのストローを見ると、じんわり変な焦りが込み上げてくる。こらこら、気にしすぎだ。放課後、部室で結衣ちゃんに感想を聞かれるかもしれないなら。
俺はストローを勢いよく吸い込んだ。
あっまい、すごく甘い。
ストローから口を離す。口のなかに広がる、牛乳といちごのやわらかな甘味が喉をせかす。
「またすぐ飲みたくなるなっ」
またストローをくわえて、あまあまの世界へ。うん、美味しい。たまには、いちご牛乳もありかもしれん。
夏の木漏れ日のなか、ひとり平和にのんびりと。いちご牛乳を片手に、ふと思った。今度は、一緒にいちご牛乳を飲むのも良いな。
いつになるかは、わからないけど。明日かも知れないし、1週間後か、はては1ヶ月後、もしかしたら1年後にとか。そのとき、ふと思った。
「1年後………、結衣ちゃん、バストアップしてんのかな」
いちご牛乳の効果を期待したい。がんばれ、結衣ちゃん!
昼休み終了前の予鈴が、中庭に響いた。おわっ!? ゆっくりしすぎた!
いちご牛乳を飲み干し、ゴミ箱へ。結衣ちゃんのバストに想いをはせつつ、自分の教室へ、クールに戻るぜっ!!
「こらっー!! 廊下を走るなっ!」
「はうっ! す、すいませんっ!」
通りすがりの先生にめっちゃ怒られましたとさ。天罰かな、とほほ………泣(ノД`)。
小走りでこっちに来た結衣《ゆい》ちゃんは、少し息を乱しながら笑う。右手で胸元辺りの半袖の白シャツをつまみ、パタパタと風を送る仕草がなんともエロ可愛い。バストが小ぶりなのにこの破壊力。これで中一なのだから末恐ろしいぜ………。おっと、今はそんなことよりも。
「隣座る?」
俺がベンチの端によると、「どうもです」と結衣ちゃんは嬉しそうに隣に腰掛けた。
「ふぅー。ここ結構涼しいですねっ」
「そうそう、木陰で風もよく通るから」
結衣ちゃんの明るい栗色の髪がふわっとゆれる。
「あ~、確かに。でも、なまぬるい………」
「それが良いのよ」
「え~、なんでですか。涼しい方が良いですよ」
結衣ちゃんは可笑しそうに言うと、手に持っていた紙パックのジュースにストローを刺した。い、いちご牛乳??
「どうしたんです??」
「あっ、いや、なんか珍しいの飲むなぁって」
「これですか?」
結衣ちゃんがいちご牛乳を見せてくれた。俺は頷き、「そうそう」と答える。
「甘さでよけいに喉乾かない?」
「う~ん、そうですね………、あっ、それが良いんですよ~」
「ええっー? なにそれ?」
俺の戸惑いに、結衣ちゃんはイタズラ気に笑う。
「飲んで、すぐ喉が乾いて、また飲んでの繰り返し。やめられない………、止められない………、いちご牛乳ですっ、ふふっ」
「こわ! いちご牛乳中毒!?」
「はい! 休日はスーパーやコンビニで買い占めします」
「狂気!!」
「結衣のお部屋は『いちご牛乳』の柄です」
「落ちつかない!!」
「ドアには『いちご牛乳』のネームプレートを付けています」
「もはや自分自身が!?」
恐ろしい、◯魂の銀さんよりも重症だ。『いちご牛乳』の掛け軸がまともにさえ思える。
「結衣ちゃんも、いちごギューニャーだったんだな………」
「えっ? なんですそれ? きみ悪いんで通報しますね」
「待て待て! 最後にその仕打ちはないだろ!」
ここにきてまさかの裏切りだった。恐ろしい娘!
「ぷふっ、冗談ですよ、冗談。アニメオリジナルのやつですよね、それ。ふふっ」
おっ、知っていたか。銀さんの意味不明な屁理屈が良い味だしてんだよね。また見たくなってくるぜ。
「あっ、それと、さっき私が言ったのも冗談ですからねっ」
と、結衣ちゃんは楽しそうに笑いながらストローを勢いよく吸い込んだ。
「うーん! 甘くて美味しいっ。ふぅー」
「でも好きなんだねぇ、いちご牛乳」
「はいっ、自販機やコンビニで見かけたらつい買っちゃいます。せんぱいはオレンジが好きなんですか?」
「ん? ん~、ほんとは炭酸系の飲み物が好きなんだけど、学校の自販機に無いからさ。なんとなく、オレンジばっか選んじゃうんだよね」
そう言って、俺はオレンジジュースを眺める。まあ、美味しいから良いんだけどさ。
「ふーん、じゃあ、いちご牛乳はどうですか?」
「ははっ、それは無い無い。あっ」
結衣ちゃんの不意な提案に、素直な声が出てしまった。まずいことしたかな………?
「い、今のはなんというか冗談で」
「ウソです。結衣には分かります。ふーん、そうですか、そんなに嫌ですか」
むくーっ、と両頬をふくらませていた。とても不満気な表情だ。うむ………、どうしたものか。可愛い顔が台無しだぜぇ、と言ってみる? いや、余計に怒られるな。
「なんで嫌なんですかッ?」
「あ~………、いや、その、甘すぎてさ、余計に喉渇くから………」
「その甘さが良いんですよッ! 渇きとか気にならないですッ! それにいちご味なのでわりとスッキリした後味ですよ」
「そ、そうかなぁ」
「ですです、なんで交換しましょうよ」
結衣ちゃんが、俺にいちご牛乳を差し出した。
「えっ? オレンジジュースと?」
「はい、それしかないじゃないですか」
グイグイと、俺が持っているオレンジジュースにいちご牛乳を押しつける結衣ちゃん。ちょ、ちょいちょい、そんな無理やりだとさらに飲む気がなくなる。人の嫌がるものを押し付けてはダメだぞ、とは言いにくい。さて、どう断ったら………、ん?
俺は結衣ちゃんの持っているいちご牛乳を見る。
ストローがささっている。それは飲んだから。誰が? 結衣ちゃんしかいない。それを交換、それって………、間接キス!?
「せんぱい、早く交換してくださいよ」
「へっ!? いや、ちょっとマズいと思うのだが!?」
「マズくないですよッ!! 美味しいですッ!!」
「そ、そうじゃなくて………!?」
ご立腹な結衣ちゃんに、つい声が小さくなる。どうしよ、俺が気にしすぎているのか!? てか結衣ちゃん気づかないの!? もうここははっきりと、『俺と間接キスになるぜ、可愛いベイビー』と言うべきか、って言えるかぁ!!
「むむぅ、せんぱいは意地でも交換しないつもりですね………」
意地とかじゃなくて気まずいの!! はやく気づいて、間接キスに! 結衣ちゃん!!
「…………、あっ!!」
おっ!! 気づいてくれた! んん?
結衣ちゃんはなぜか俺の後ろを指差した。そして、
「春奈せんぱいです!」
「いいっ!? ま、まじで!?」
なんでこんなタイミングで!?
昨日のビンタされた恐怖も思い出しながら、俺は慌てて後ろを振り返った。そこに、春奈の姿はなかった。てか、誰もいない??
「すきあり!!」
結衣ちゃんのイタズラな声音と同時に、俺の片手が軽くなる。慌てて隣に視線を戻すと、結衣ちゃんはベンチから立ち上がって駆け出していた。
「ゆ、結衣ちゃん!!」
俺から少し離れてから、振り返った結衣ちゃん。小さな口元は楽しげに微笑んでいる。淡い唇がそっと開いた。
「いただきますねっ」
「えっ?? あっ!」
結衣ちゃんが片手に持っているオレンジジュース。お、俺の!!
「隣に置いときましたからー!」
一瞬なんのことかと思ったが、俺はハッとして、さっきまで結衣ちゃんが座っていたとこに目をやる。そこには、いちご牛乳が置かれていた。ま、まんまとしてやられた!
「爽太せんぱ~い!」
ぐぐっ、はいはい、なんでしょう。
俺は悔しく思いながらも、結衣ちゃんに目を向ける。
明るい栗色の髪に、小さな顔立ちに映えるボブカットの彼女。くりっとした可愛い目つきはどこかキラキラしていて、いつも面白いことを探している好奇心に満ちている。
この子にターゲットにされた獲物(男子)はことごとく彼女の魔の手に落ちていく(勝手に惚れて、告白して、無惨に振られる)と聞いている。
「ちゃんと、いちご牛乳飲んでくださいよっ! では、さらばですっ!」
そういって、駆け足で去っていく結衣ちゃん。ぱっと見は明るくてフランクな女子、だがその裏の顔は小悪魔系なのだ。
ほんと恐ろしくも超かわいい後輩だ。
結衣ちゃんが去った後の中庭は、ときおり吹く風に揺れる青葉の音が心地よく響いていた。俺の気持ちもなんだか落ち着く。
さて、どうしたものか。
俺はいちご牛乳を手に取る。ひんやりとまだ冷たい。飲むなら冷たいうちだ。
刺さったままのストローを見ると、じんわり変な焦りが込み上げてくる。こらこら、気にしすぎだ。放課後、部室で結衣ちゃんに感想を聞かれるかもしれないなら。
俺はストローを勢いよく吸い込んだ。
あっまい、すごく甘い。
ストローから口を離す。口のなかに広がる、牛乳といちごのやわらかな甘味が喉をせかす。
「またすぐ飲みたくなるなっ」
またストローをくわえて、あまあまの世界へ。うん、美味しい。たまには、いちご牛乳もありかもしれん。
夏の木漏れ日のなか、ひとり平和にのんびりと。いちご牛乳を片手に、ふと思った。今度は、一緒にいちご牛乳を飲むのも良いな。
いつになるかは、わからないけど。明日かも知れないし、1週間後か、はては1ヶ月後、もしかしたら1年後にとか。そのとき、ふと思った。
「1年後………、結衣ちゃん、バストアップしてんのかな」
いちご牛乳の効果を期待したい。がんばれ、結衣ちゃん!
昼休み終了前の予鈴が、中庭に響いた。おわっ!? ゆっくりしすぎた!
いちご牛乳を飲み干し、ゴミ箱へ。結衣ちゃんのバストに想いをはせつつ、自分の教室へ、クールに戻るぜっ!!
「こらっー!! 廊下を走るなっ!」
「はうっ! す、すいませんっ!」
通りすがりの先生にめっちゃ怒られましたとさ。天罰かな、とほほ………泣(ノД`)。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる