悪役令嬢とヒロインが王子を取りあっている

ひなた

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悪役令嬢とヒロイン

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 今日、学園を卒業する3年生が大人になった証として、卒業パーティーが王城で開催される。参加資格は今回学園を卒業された方とその両親、就職先の上司などなど基本成人した紳士・淑女が招待される。例外として未成年者の参加が認められるのは卒業生のパートナーのみとされ、勝手に紛れ込むとか無理なんですが…
 
 会場前の広場は、馬車から降りた参加者達が会場へ向かう途中にあります。そんな場所で公爵令嬢レティシア嬢と男爵令嬢のパメルさんが何やら揉めています。二人とも大きな声で言い合いをしているので周りの人達は顔をしかめていて・・・そもそも二人ともまだ2年生でパートナーが居ない場合は会場入り出来ないのですが、お相手の方と思わしき人影は見当たりません。婚約者が卒業生にいるというお話も聞いたことがありませんし、何をしにいらっしゃったのでしょう・・・

レティシア嬢は閉じた扇の先で口元を隠しながら相手を睨みつけ
「なぜ、あなたのような下賤な人間が由緒ある学園の卒業パーティーに参加しようとしているのかしら。お勉強が出来なさ過ぎて、パートナーが居ないと参加出来ないことを御存知ないのかしら。」
ふんっ!とさげずむような笑いを漏らすと、パメルさんがニコニコ顔で言い返す。
「レティシア様こそ相手がいないみたいじゃないですかぁ、何しにここへ来たんですかぁ?用事がないなら帰ったらいかがですかぁ~。」
独特なしゃべり方はレティシア嬢でなくともイラッとくる。
「わたくしはこちらで迎えに来ていただけるのをお待ちしているだけですわ。貴方のお相手こそどちらにいらっしゃるのかしら。まぁ、今着ているドレスの質からして大した方ではないということは良くわかりますが。」
ニヤニヤしながら下げずむ目線は、高位貴族としてはいただけません。
「こ、この色をまとうことに、い、意味があってですね、き、生地とかそんなのレティシア様にはどうだって良いでしょ!」
パメルさんが噛み噛みで反論していますが、何を主張されてるのかよくわかりません。

 そう言えばお二人共色や形がよく似たドレスをおめしです。レティシア嬢のご指摘通り生地の良し悪しはありますが、デザインがとてもよく似た形。いえ、ほぼ一緒です。全体の色合いはシャンパンゴールドで、レースをふんだんに使用したプリンセスラインのドレスです。仲良しの令嬢であれば似た雰囲気のドレスで合わせることもありますが、ここまでデザインが丸かぶりなのは聞いたこともありません。本当にそっくりなデザインです。
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