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9章:「想い(※ひかる目線)」
9話-④
「それならよかった…」
もう悟はいないけれど、裕樹が心の寂しさを埋めてくれるかもしれないと思えた。
「ひかる、俺はひかるが好きだ…」
初体験を終えたばかりなので、普通なら先程の情事の余韻に浸るはず…。
しかし、裕樹は余韻には浸らず、私に想いをぶつけてくれた。
「ごめんなさい。まだ失恋したばかりで、好きな人を忘れられないの。だから裕樹とはお付き合いすることはできない」
はっきりと断った。それが裕樹への優しさだった。これからも彼と友達でいたいから。
「そっか。分かった。ありがとう…」
「でもこれからも裕樹とは友達でいたい。たまにでいいから、私とまた寝てほしい…」
私は最低な人間だ。自分の寂しさを利用しようとしている。
「いいよ。俺としては願ってもないチャンスだから。まだ諦めない。俺がひかるを好きでいることを許してほしい」
裕樹の気持ちは裕樹自身が決めることであって、裕樹の気持ちを私に咎めることはできない。
「裕樹の気持ちは裕樹の自由だから。好きでいるのに、私の許可なんて気にしなくていいよ」
裕樹に言っているようで、自分に言い聞かせているような気がした。
私の方こそいい加減、悟のことを忘れないといけない。このままずっと悟のことを想い続けても、この想いが報われることはないのだから。
「ありがとう、そう言ってくれて…」
私にそう言ってもらえて、裕樹は安心したみたいだ。
でも私の心の中はざわついていた。寂しさを埋めたつもりが、全然埋まっていないことに気づいてしまった。
「…裕樹、もう一回したい」
早く忘れたい。身体を重ねている間は寂しさを忘れることができるから。
「いいよ。もう一回しよっか」
お互いの意思を確認することができたので、そのまま流れるように唇を重ねた。もう遠慮なんてせずに、いきなり激しいキスを…。
キスの激しさと共に、どんどん好意が激しくなっていき、何度もお互いに求め合い、身体を重ねた。
「裕樹、ありがとう。私の我儘に付き合ってくれて…」
裕樹の気持ちには応えられないのに、私の身勝手な我儘に付き合わせてしまい、申し訳ない気持ちになった。
まだ心の奥底には悟への想いが残っていて。忘れたくても忘れられない気持ちが、私の心を蝕んだ。
「いいよ。これからも俺を頼ってくれたら嬉しい」
悟を失った今、裕樹の言葉が、今の私の心の支えだった。
「お言葉に甘えて、遠慮なく甘えさせてもらうね」
この日をきっかけに、私は裕樹と定期的に身体を重ねる関係になった。
裕樹の気持ちを知りながら利用することに、最初は罪悪感を感じていたが、次第に罪悪感も感じなくなっていた。
私の寂しさは裕樹の気持ちを利用するだけでは足りず、別の男性にも手を伸ばすようになった。
高校に入学してから、男子に告白される機会が増えた。そこで初めて自分が可愛いということに気づいた。
これまでの私なら、悟が好きだから告白をお断りしていたのだが、悟を失って理性を失った私は、告白してくれた男子の気持ちを利用し、色んな男性と身体の関係を持つようになった。
一度だけの人もいれば、何度も身体の関係を持つ人もいたりして。どんどんセフレが増えていった。
最初は好きな男性以外と身体の関係を持つことに躊躇いがあったのに、一度手を伸ばしてしまったら躊躇いなんてなくなった。
裕樹はそんな私を知っても、幻滅せずにずっと傍に居てくれた。
裕樹に幻滅されたら、私はもう生きていけない。裕樹の優しさに、私は依存していた。
「ひかる、俺じゃダメ…?」
裕樹は諦めずにずっと私を好きでいてくれた。何度も告白してくれた。
でも…。
「ダメじゃない。ダメじゃないのに…、どうしてだろう。心の奥底にまだ忘れられない自分がいて。今すぐ裕樹の気持ちに応えたいのに、応えられないの……」
ずるいことは分かっている。分かっているのに、いつまで経っても私の心は悟への想いで溢れていた。
「そっか。まだダメか。でもいくらでも待つ。ひかるが俺に振り向いてくれるまで」
裕樹はどうして、私のことが好きなんだろう。そう思わずにはいられないぐらい、今の私は裕樹に好きでいてもらえるような人間ではない。
それでも裕樹の気持ちが私に向いているうちは、甘えられる背中があるので、まだ大丈夫そうだ。
「いいの?裕樹の気持ちを利用しても…」
「いいよ。好きな女に利用されるなら本望だもん」
私には見せないだけで、裕樹の心は傷ついているはず。
傷ついても尚、傍に居たいと思うのが恋愛で。悟のセフレをしていた時の自分と重ね合わせてしまった。
「ありがとう。裕樹がいないと、私…もう無理……」
「俺もだよ。ひかるがいないと無理だもん」
裕樹だけだ。私を必要としてくれる人は…。
「裕樹、お願い…、私を抱いて……」
甘い視線を裕樹に向ける。すると裕樹は私の視線に応えてくれた。
そのままお互いに数十秒間見つめ合い、徐々にお互いの顔が近づいた。
唇が触れ合い、何度もキスを重ねたら、それがお互いに情事の合図だと受け取り、身体を重ねた。
「私ね、裕樹とするのが一番、心も身体も落ち着くの」
情事を終えた後、余韻に浸っている中で、自分の本音を裕樹にぶつけてみた。
どんなに色んな相手と身体を重ねても、裕樹以上に心の隙間を埋めてくれる人はいなかった。
「俺の気持ちがひかるに届いているのかもね。もっとひかるの心の奥深くに届くといいな…」
いつか悟を忘れて、裕樹の手を取る日が訪れるのだろうか。まだそんな未来が想像できない。
色んな男性に抱かれても、寂しさは消えない。それどころか悟への想いは募る一方だ。
「もうやめる。裕樹以外の男性と寝るの…」
私がそう伝えると、裕樹は優しく抱きしめてくれた。
「うん。それが一番いいと思う。俺だけにしてくれると俺も嬉しい…」
このまま裕樹とお付き合いを始めようかと、心が一瞬、揺らぎそうになった。
だけどまだダメだ。完全に悟への想いが断ち切れていないから。
「私、もう一度だけ失恋相手と話してみる。自分が前に進むためにも」
悟と会ってちゃんと話したい。自分の本当の気持ちを…。
「分かった。会ってちゃんと話せるといいね」
黙って背中を押してくれる。それが裕樹なりの私への愛情だ。
この優しさに応えるためにも、悟に会いに行こうと決心した。
「うん。ちゃんと話して、自分の気持ちに区切りをつけてくる」
これが今の私の裕樹への答えだった。少なからずとも裕樹に気持ちが傾いていることを、裕樹に伝えたかった。
「そうなるといいね。俺はずっと待ってるから」
裕樹は曖昧な私の態度に痺れを切らすことなく、当たり前のようにずっと待ってくれると約束を交わしてくれた。
待っていてくれている裕樹のためにも、前に進むために悟に会って、ちゃんと振ってもらおう。
悟が私に会ってくれるか分からないが、このままではまずい。だから私は変わりたいと思った。そう思った自分の気持ちを大事にすることにした。
「うん。裕樹に待っててほしい…」
裕樹と手と手を取って、共に歩む未来を想像しながら、悟への想いが断ち切れることを切に願った。
もう悟はいないけれど、裕樹が心の寂しさを埋めてくれるかもしれないと思えた。
「ひかる、俺はひかるが好きだ…」
初体験を終えたばかりなので、普通なら先程の情事の余韻に浸るはず…。
しかし、裕樹は余韻には浸らず、私に想いをぶつけてくれた。
「ごめんなさい。まだ失恋したばかりで、好きな人を忘れられないの。だから裕樹とはお付き合いすることはできない」
はっきりと断った。それが裕樹への優しさだった。これからも彼と友達でいたいから。
「そっか。分かった。ありがとう…」
「でもこれからも裕樹とは友達でいたい。たまにでいいから、私とまた寝てほしい…」
私は最低な人間だ。自分の寂しさを利用しようとしている。
「いいよ。俺としては願ってもないチャンスだから。まだ諦めない。俺がひかるを好きでいることを許してほしい」
裕樹の気持ちは裕樹自身が決めることであって、裕樹の気持ちを私に咎めることはできない。
「裕樹の気持ちは裕樹の自由だから。好きでいるのに、私の許可なんて気にしなくていいよ」
裕樹に言っているようで、自分に言い聞かせているような気がした。
私の方こそいい加減、悟のことを忘れないといけない。このままずっと悟のことを想い続けても、この想いが報われることはないのだから。
「ありがとう、そう言ってくれて…」
私にそう言ってもらえて、裕樹は安心したみたいだ。
でも私の心の中はざわついていた。寂しさを埋めたつもりが、全然埋まっていないことに気づいてしまった。
「…裕樹、もう一回したい」
早く忘れたい。身体を重ねている間は寂しさを忘れることができるから。
「いいよ。もう一回しよっか」
お互いの意思を確認することができたので、そのまま流れるように唇を重ねた。もう遠慮なんてせずに、いきなり激しいキスを…。
キスの激しさと共に、どんどん好意が激しくなっていき、何度もお互いに求め合い、身体を重ねた。
「裕樹、ありがとう。私の我儘に付き合ってくれて…」
裕樹の気持ちには応えられないのに、私の身勝手な我儘に付き合わせてしまい、申し訳ない気持ちになった。
まだ心の奥底には悟への想いが残っていて。忘れたくても忘れられない気持ちが、私の心を蝕んだ。
「いいよ。これからも俺を頼ってくれたら嬉しい」
悟を失った今、裕樹の言葉が、今の私の心の支えだった。
「お言葉に甘えて、遠慮なく甘えさせてもらうね」
この日をきっかけに、私は裕樹と定期的に身体を重ねる関係になった。
裕樹の気持ちを知りながら利用することに、最初は罪悪感を感じていたが、次第に罪悪感も感じなくなっていた。
私の寂しさは裕樹の気持ちを利用するだけでは足りず、別の男性にも手を伸ばすようになった。
高校に入学してから、男子に告白される機会が増えた。そこで初めて自分が可愛いということに気づいた。
これまでの私なら、悟が好きだから告白をお断りしていたのだが、悟を失って理性を失った私は、告白してくれた男子の気持ちを利用し、色んな男性と身体の関係を持つようになった。
一度だけの人もいれば、何度も身体の関係を持つ人もいたりして。どんどんセフレが増えていった。
最初は好きな男性以外と身体の関係を持つことに躊躇いがあったのに、一度手を伸ばしてしまったら躊躇いなんてなくなった。
裕樹はそんな私を知っても、幻滅せずにずっと傍に居てくれた。
裕樹に幻滅されたら、私はもう生きていけない。裕樹の優しさに、私は依存していた。
「ひかる、俺じゃダメ…?」
裕樹は諦めずにずっと私を好きでいてくれた。何度も告白してくれた。
でも…。
「ダメじゃない。ダメじゃないのに…、どうしてだろう。心の奥底にまだ忘れられない自分がいて。今すぐ裕樹の気持ちに応えたいのに、応えられないの……」
ずるいことは分かっている。分かっているのに、いつまで経っても私の心は悟への想いで溢れていた。
「そっか。まだダメか。でもいくらでも待つ。ひかるが俺に振り向いてくれるまで」
裕樹はどうして、私のことが好きなんだろう。そう思わずにはいられないぐらい、今の私は裕樹に好きでいてもらえるような人間ではない。
それでも裕樹の気持ちが私に向いているうちは、甘えられる背中があるので、まだ大丈夫そうだ。
「いいの?裕樹の気持ちを利用しても…」
「いいよ。好きな女に利用されるなら本望だもん」
私には見せないだけで、裕樹の心は傷ついているはず。
傷ついても尚、傍に居たいと思うのが恋愛で。悟のセフレをしていた時の自分と重ね合わせてしまった。
「ありがとう。裕樹がいないと、私…もう無理……」
「俺もだよ。ひかるがいないと無理だもん」
裕樹だけだ。私を必要としてくれる人は…。
「裕樹、お願い…、私を抱いて……」
甘い視線を裕樹に向ける。すると裕樹は私の視線に応えてくれた。
そのままお互いに数十秒間見つめ合い、徐々にお互いの顔が近づいた。
唇が触れ合い、何度もキスを重ねたら、それがお互いに情事の合図だと受け取り、身体を重ねた。
「私ね、裕樹とするのが一番、心も身体も落ち着くの」
情事を終えた後、余韻に浸っている中で、自分の本音を裕樹にぶつけてみた。
どんなに色んな相手と身体を重ねても、裕樹以上に心の隙間を埋めてくれる人はいなかった。
「俺の気持ちがひかるに届いているのかもね。もっとひかるの心の奥深くに届くといいな…」
いつか悟を忘れて、裕樹の手を取る日が訪れるのだろうか。まだそんな未来が想像できない。
色んな男性に抱かれても、寂しさは消えない。それどころか悟への想いは募る一方だ。
「もうやめる。裕樹以外の男性と寝るの…」
私がそう伝えると、裕樹は優しく抱きしめてくれた。
「うん。それが一番いいと思う。俺だけにしてくれると俺も嬉しい…」
このまま裕樹とお付き合いを始めようかと、心が一瞬、揺らぎそうになった。
だけどまだダメだ。完全に悟への想いが断ち切れていないから。
「私、もう一度だけ失恋相手と話してみる。自分が前に進むためにも」
悟と会ってちゃんと話したい。自分の本当の気持ちを…。
「分かった。会ってちゃんと話せるといいね」
黙って背中を押してくれる。それが裕樹なりの私への愛情だ。
この優しさに応えるためにも、悟に会いに行こうと決心した。
「うん。ちゃんと話して、自分の気持ちに区切りをつけてくる」
これが今の私の裕樹への答えだった。少なからずとも裕樹に気持ちが傾いていることを、裕樹に伝えたかった。
「そうなるといいね。俺はずっと待ってるから」
裕樹は曖昧な私の態度に痺れを切らすことなく、当たり前のようにずっと待ってくれると約束を交わしてくれた。
待っていてくれている裕樹のためにも、前に進むために悟に会って、ちゃんと振ってもらおう。
悟が私に会ってくれるか分からないが、このままではまずい。だから私は変わりたいと思った。そう思った自分の気持ちを大事にすることにした。
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