やつは三藤さん

なかの

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三藤さんと僕の朝。

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「バーロー」
隣の席の三藤さんの挨拶だ。

あの有名な名探偵ではない。

「なんやて工藤」
僕はいつもこのように答えなければいけないのだ。

これを言わなければ殺されるということではないが、1度これを

言わなかった一日はかなりキツかった。三藤さんが何をしてく

るというわけでわないが三藤さんは一日中僕を見つめてきた。

普通に見つめられるのならいいが、三藤さんは5年間連れ添って 

きた彼氏に別れを切り出された少女のような潤んだ瞳でHRも授 

業中も僕を見つめてきた。それ以来僕はいつもこのように三藤 

に答えている。

こんな長い回想をしてる間も三藤さんは席に着かない。

わかった。ここはギャグでもかまして三藤さんを喜ばせよう。
  
僕はあの有名なギャグを披露した。

「ゲッツ」

決まった。そう思ったのもつかの間であった。三藤さんは真顔 

でこちらを見ている。やっちまったようだ。

不意に三藤さんが僕に笑顔で

「ぽにゅぽにゅ」

という謎の言葉を発した。僕はぽにゅぽにゅという言葉を今

生まれて初めて聞いた。それに感動しているとHRの鐘がなる。


キーンコーンカーンコーン――――

今日 僕と三藤さんは日直だ。

号令は私に任せて!と昨日いってきたので三藤さんに任せる

ことに…。


「けつ!」 ザッ

皆が一斉に立ち上がる。

けつ?尻っていったよね。まちがいなく。え?僕だけ?この違

和感。皆?この人尻っていったよ?ねぇなんで起立した 

の??そう心の中で突っ込んでいる合間に三藤さんは次の号令

をいった。

「れみ」

れみ。これを聞いて突っ込みたくなるのは僕だけだ。れみとは

僕の元カノだ。それをどこで調べたのか知らないが三藤さんは

僕の元カノ全て名前を知っている。怖すぎる。

もはやそんなことどうでもいい。

次の着席でなにを言うのか僕は心がライオンに襲われそうな

気分でまっていた。

「パピコ」

今日もHRの終わりとともに僕のツッコミが響き渡る。
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