マリスセイバー ー精神の行き着く先にー

丘の山小次郎

文字の大きさ
1 / 32

プロローグ─旅立ち─

しおりを挟む
 ──目が覚めた── 私は愚かだ…そう、とても世間では考えられないことをやってしまった… 今、隣で寝ている男は、明日、共にとある目的のために一緒に行動を共にしていた大事な相棒だ。 しかし、何故、この男が生きているのか。隣で寝ているなんて…この男は3日前に、私が…殺めた…のに、そう、ありえないことなのだ。

 朝の日差しがが、窓の外から照らし出されてきた。頭が混乱している中、あまりの暑さに呼吸困難にでもなりそうな感覚に襲われ、必死で失神しないよう頭を振って何とか立ち上がり、空気を求めた。 近くにコップに入った水があってすぐさま口に入れた。 助かった気分だ。 気温は四一度くらいか、朦朧とする意識の中、窓を開けて酸素を取り入れた。空腹の中、精神が弱っている感覚、情緒不安定…これから相棒を起こして、どうやってここに来たのか聞かなければならない。

「おい…カーオル…」
 
「ん…おう!お早う!ターケンちゃん!気合入ってるみたいだな!」

 身長、約185㎝、ガタイが良く、髪型は金髪短髪、目は切れ長の目、ひょうきんな性格の、しかし真面目で信用に値する男。それがこの寝ていた男カーオルだ。 カーオルとは半年くらい前に旅先で出会った。 今から向かう街プワラから命からがら脱出したのだと。 しかし3日前に、あんなことが起こってしまって…いや私の感情の問題が一番でかかったんだが、にもかかわらず、目を覚ましたら隣で寝ていた。ありえない。ただでさえ   
今から意を決して町長を倒しに行くのに、気が狂いそうだ、が、一人よりは、いいのか…正義感だけが私の心の正気を保つ軸となっている…そして聞いてみる。3日前にあのような事をしてしまって…何故生きているのか。

「なあ、カーオル(単刀直入に聞くしかない)私は君の後頭部に、そう。生きてい…!!」

「あ~? 何だターケンちゃん。後頭部て、何?」

「え、覚えてないのか。私は君の後頭部に、や、槍を…」

「槍~…? だから、何のことだ。3日前は隣町のヤオピンの市場で採れたてのパイナップル食べてばかりいたでしょ?おいしい記憶しかないぜ? そんなことより向かおうぜ。町長の館に、よ。もう町長のやり方にはうんざりだ。結局奴は町民のことなんて考えちゃいねえ!!結局、街をよくしたいだなんてぬかしてるが、てめえの自己満足に酔いしれて、周りに自分をすごいと思わせようとして尚且つ色んな街々等、世間体を意識してるだけだろ!自分がよけりゃいいんだ!あの野郎!今の代のボンタ町長になってからさらにタチが悪くなってしまったぜ。先代も、はっきりしない人だったが、息子のボンタが可愛いのか何も言わない見て見ぬ振り…のとこは先代にも責任があるぜ!!行こうぜ!ターケン!!」
  
 ゆっくりと、カーオルの後頭部を見てみたら、デカデカとったようなあとがある。やはり、いや当然と言うべきか、事実は事実だった… 記憶がないのか? 今は…今日は一世一代の目的がある。真実はあとで話そう…

外にでた…周りは砂漠に覆われ、オアシスらしき目の保養もない。しかし街に向かって見える並木通りは、唯一の癒しにも見える…しかし町長の街の風景ということで複雑な感情、(一瞬、怒りに任せて一本一本引っこ抜く自分を想像してしまった。)町長からは、街の人々は圧制を強いられ、人が人らしく生きる…自分の想いや、やりたいこと、意見も言えない、そんな自分自身の利益だけのため、街の人々を心を支配してきた町長を許すわけにはいかない。人々には生活がかかっている。誰もむやみに逆えるわけにはいかない。街ごとに文化が違い思想も違う。基本、生まれた街の習わしにのっとって生きる。隣街に引っ越すという行為も、何と、許可や条件次第という暴君ぶりだ。
 
しかし、もはや後戻りは出来ない。失うものは何もない意思の下で突き進む。これから、邪悪な権力で支配されたこの街を救いに。そして悪行の数々を行ってきた町長を倒すため…ミッションをクリアする!!

  
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...