ドクハラとセカンドオピニオン

認認家族

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軽いな…!

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娘は事後報告が多い。
それで毎回驚かされる。


「××さんのお母さんでしょうか?こちら救急の者ですが、娘さんが駅で喘息発作を起こし救急車で〇×病院へ運ばれました」
救急車?
娘は喘息持ちだが、今まで救急車が出動するようなことはなかった。慌てて病院に向かえばベンチにチョコンと座って漫画をよんでいる娘がいた。
安堵し不安が無くなると呑気なその姿に一気に怒りが込み上げてきた。
「どんだけ心配したと思ってんのよ!そんなピンピンとして!」
私の怒鳴り声に、医師が慌てて飛んできた
「お、お母さん、点滴2本打ってやっと落ち着いたところなんですよ。本当に大変な状況だったんですよ。これで収まらなければ入院でしたし、本来なら念のため入院すべき位なんですよ?ですが、ご本人が原因が分かっているから帰ると…」
医師にまぁまぁ…と宥められて、押し黙るしかなかった。ケロリとしている姿に喘息発作というものはそういうものなのですよ、と
医療費を払い、家に帰る。医師には容体が変化したらすぐ受診するようにとも言われたが、娘はへらへらしている。
……。
病院からバス停は離れていて、タクシーで帰ろうとしたら娘が「勿体ないから歩いていこう」と言った。
……元気だな。
救急隊の方からは、娘が駅のホームでぐったりしている所を乗客が通報してくれたと聞いている。到着した救急隊を娘が拒んだともきいた。ただ、娘は言葉を発せられる状況ですらなかったので救急隊の判断で病院に搬送したと。
言葉すらと聞いて恐怖を覚えて病院に駆け込んだのに…
「病院のベットで寝ててくれれば、あんなに怒鳴ったりしなかったのに」
思わず、恨み節が出る。
「え~?あんな状況で寝転がったら苦しくて死んじゃうよ~」
笑いながら言われた。
まったくもう…。
「なんだって発作なんか…」
「ん~、電車に乗り遅れるからバスの降車所から全速力で走ったんだよね~。結局乗り遅れたんだから走るんじゃなかったなぁ。勿体ない」
カラカラ笑いながらいう娘に呆れる一方だ。
家に着き、娘が汗かいたし着替えると言った。
この真冬に汗?
洗濯かごに放り込まれた服はびっしょりと濡れていて、尋常じゃなかった。医師は娘の状態を過剰に言っていたわけではなかったのかもしれない
「これ…」
「うん、かなり汗かいたから痩せてるかなぁ?でも水分取ったら点滴されちゃったから同じか。ちぇ~」
……軽っ!
娘の呑気な姿に怒鳴った私も悪い。が、一方的に私が悪いのか?娘が軽すぎるのも原因だと思う。思わずため息がでる
まったく…
数年後、新聞を読んでいたら、『喘息の死亡患者、年間6000人。特に思春期の死亡傾向は一時間以内に急速に気管支が狭窄する急速進行型。』と掲載されていた。発作中、横になることは厳禁だとも。
「ねぇ、新聞にこんな事が書かれていたんだけど。前に救急車で運ばれた時はどうだったの?」
「あ~、あの時のあの時の屈辱は忘れない。ホームで発作を起こして座り込んでいたんだけど。放置してくれてればいいのに、乗客の人が駅員さん呼んじゃってさ。駅員さんが救急車呼びますか?って聞くから断ったんだけど、もう言葉しゃべれないし、首振るので精一杯だったけど、汗がポタポタポタポタ落ちてさあ。床の汗の量も半端ないから救急者呼ばれちゃって。救急隊員に強引に運ばれるし。寝転がらせると窒息するからストレッチャーには載せらんないしってことで、まさかのおんぶ!体重50キロあったんだよ!しかもミニスカートでおんぶ!大股開きで酸素マスクつけられて指に変なのつけられて。50キロ背負って階段降りるんだよ!?ぶっとい太もも丸出しで。恥ずかしいし、救急隊員も重たいだろうし申し訳ないしで…。二度と体験したくない」
……。
『え~?あんな状況で寝転がったら苦しくて死んじゃうよ~』
『娘さんの発作は点滴で落ち着かせただけです。悪化したら迷わず救急車を呼んでください』
娘から聞くに、駅のホームの状況はかなり危機的容体だったのだろう。……本人にその自覚がなさすぎるだけで!
軽すぎる!

娘は万事か万事、そんな感じなまま数十年がたった

「お母さん、ちゃんと漢方飲んでる?」
夫の介護疲れか、最近イライラすることが多くて医者に「夜眠れる不安症を解消する漢方」とやらを処方されていた。
精神安定という響きに嫌悪感があって、その漢方は飲んでいなかった。
娘がいう。
「飲むとね、意外と楽になるよ~。漢方だから即効性はないけれど何となく楽になった気がする?って感じで~」
「あら、あなたも飲んでいるの?」
意外だ。娘はあまりイライラするタイプではない。
「私は、更年期障害のお薬だけどね~」
そういえば、娘は最近汗っかきになった。タオルハンカチとハンディファンを手放さない。ク-ラー聞いた部屋でもの突然スイッチをONにしていたりしていた。ホットフラッシュだったのか。
「ホットフラッシュは変わらないいんだけど、気分が楽になったんだ~。その効果はないって書かれてはいたけど漢方って体を整えるって感じだから、影響あったのかも。漢方以外にも出されたけど、そっちは飲んでないけどね」
カラカラと笑っていう。
「効いているならもう一つのお薬も飲めばいいのに」
「ん~、なんか薬局の薬剤師の人に、これ緑内障ある人には出したらいけないお薬なんですけど、お医者さんの方から何か支持受けてますか?って聞かれてさ。だったら飲まなくていいやって。次、病院行った時に聞いてみよって思って」
…娘は生まれつきド近眼だ。ド近眼は緑内障になりやすい。そして緑内障は他のお薬が制限される。
「そっか、まぁ、私も飲んでみるかなぁ…」
飲み始めると、夜眠れるようになった。認知症なのに達者な口でいろいろ指摘してくる夫にもまぁまぁ前向きに対応できるようになった
「あなたはどう?私はよかったわよ」
そう尋ねると、娘はカラカラ笑っていった。
「通ってるよ~。なんかね、漢方の辞め時ってお薬の存在すら忘れたときなんだって。だから追加してもらった。それ聞いただけでも今のところ行ってる意味あったわ~」
「……もう一つのお薬の件は聞いたの?」
「うん、『あら~、問診票見落としてたわ。緑内障あったのね』って言いながら、薬科辞典見てたよ。『緑内障あるとダメなお薬あって大変ね~』って」
「……そう」
それでいいのか、医者?
「なんか今まで医薬分業のシステムって、風邪ひいたときとか何のためにあるんだよっこちらとやら熱でヤバくてさっさと帰りたいのにって思って思っていたけどさ、意味あったんだね~って診察室出るとき思ったよ」
「?診察室出るとき?」
「うん、帰ろうとしたら『失明しちゃうところだったわね、ごめんなさいね~』っていわれたからさ。」
失明!?
「うん、だって眼圧上がっちゃうし~?」
「い、いや、そうじゃなくて。もっと他に、さ…」
「ああ、うん。薬代勿体ないよね、700円したんだよ!?」
……軽いな!
私には重大な事にしか思えないのに、娘は返金されなかった~と叫んでいる。
未然に防がれたから?
それにしたって…
軽すぎるのよ、貴方は!

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