認知症の連れ合いとの老後 (失禁対策や介護費用対策も)

認認家族

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確かにね

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夫のショートステイ中に鎌倉と茅ヶ崎の友人三人で伊豆に行った。
八十九歳の鎌倉の彼女を筆頭に、八十四歳、そして私の順で、まさに老婆トリオ。人生百年と言われ出したときは他人事のように思えたが、今やしみじみ実感中。日帰りにしろ、泊りにしろ、計画を立てて軍配を振るのはいつも鎌倉の彼女。
藤沢集合。東海道線で熱海まで。グリーン車はいつも乗客がまばらなのに、今回は日曜日とあってか殆どが埋まっていて驚きだった。
熱海では
「伊東線への乗り換えが5分しかないから、一旦ここで降りて、いつものところでお昼を食べてからしましょう」
お昼を食べてからしましょ。う」
今までは5分しかないから_____ではなく、5分あるからと乗り換えたものなのに……。改めて、みんな年を取ったんだよなぁ!。と妙に感じ入ってしまった。
駅のタクシー乗り場が外国人観光客で長蛇の列だった「わ、すごい、なんで?」と思わず言ってしまったら「円安だからね。でも、伊東は少ない筈」と、返ってきた。
伊東線、逗子行き"黒船"は外の景色が見えるように窓側に向かって座席が並んで配置されていた。でも乗客はポツンポツンで、東海道線とはえらい違いだった。
小室山のつつじ園をリフトで往復したが、十万本のツツジが植えられているそうだが、この時は四月初旬でちらほら咲いてはいるものの、大半がまだ蕾の状態だった。
昭和レトロなたたずまいの東海館、望楼からの展望は素晴らしかったが、階段は上ったら下降りなければならないのだ。手すりにつかまりながら、滑らないように、転ばないようにと必死だった。なにせ八十代トリオなのだから。
たったの一泊だったけれど、心底ゆったりできた。
これでしばらくは認知症の夫にも大らかになれると思った。
一週間のショートステイから戻ってきた夫が、ボソッと
「ショートは一週間が限界だな。それ以上だときついな」
確かにそうだろうなぁと思ったけれど、私は聞こえてないふりをしてしまった。
だってもう少し長ければ、こちらももう少し長く命の洗濯ができるかもしれないから。

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