2 / 30
2-私の番に婚約者がいる?
しおりを挟む
「あれは……」
美しい声でキャラキャラと笑う。私の番へとふらふらと吸い寄せられていく。
私の細い声を聞き取った猪瀬が答える。
「青島陸です。経済学部一年」
「陸……」
ああ何て君にふさわしい名前だ。 大らかで寛大な心を持つものになってほしいという親の想い、だから君は私を癒してくれたのか。だから君は私を癒せるのか
私の声に番が振り向いた。驚いたその顔も愛らしい。そのまま手を伸ばそうとして猪瀬が邪魔をした。
「貴嗣様!」
はっとする。そうだね。私は君が私の運命だとわかっているけれど、君はまだ気がついていないようだ。すこし寂しいけれど、君の速度に合わせてあげる。
「青島陸さん、今、私達は仕事の補佐をしてくれる人を求めています。あなたをリクルートしにきました」
猪瀬が周囲に聞こえるように声をはらして言う。
番の顔が曇る。なぜ?私のそばにいたいと思わないの?仕事の依頼と言ったから?番と言えばよかったのか?
「俺……私程度の能力では皆様にご迷惑をかけてしまうのがオチかと。どのような経緯かは存じませんが、もっと相応しい方にご依頼されては?」
陸は私が運命だと気が付いていない。それどころか、私から離れたいと言っている。なぜ?いや、今はそんなことを言っている場合ではない。陸をなんとか引き留めなくてはいけない。
「辞退されるのは珍しくて、余計に陸にお願いしたくなったな。」
番がピクリと震えた。
「光栄です。お…私でお役に立つならば……」
なんだ。やはり私のそばにいたいのではないか?陸は小悪魔だな。私を翻弄するのだから
「陸のこの後の予定は?」
「このままここでフランス語の受講ですね」
私の傍にいたがってくれた陸のために、私もフランス語の講義を受けるとしようか。
「そう、では私も受けていこう」
「貴嗣様。それは…」
猪瀬がまた私を止めた。ため息をつきたくなる。お前はまだ運命に出会ってないから、だからそんな風に止めてくるのだ。
それでも猪瀬が目で訴えてくる。今はおやめくださいと。
猪瀬は常に私の利益を考える。私を止めるなら何かがあるのだろう。仕方がない。ため息が出た。
「分かった。陸、授業が終ったらA1においで。それとそこの……」
「はいっ西野と申します!」
先ほどまで私の番の笑顔独占していたオス。私の番に対して好意を示している憎らしいオス、私よりも長く陸と過ごしてきたオス
「西野は陸と親しいのか」
そう問い質すと西野が答えた。
「陸とは…いえ、青島とは友人として親しくしております。学内では現時点では私が一番親しいかと」
友人としてを強調してくるか?私のライバルではないと言いたいのだな。まあ当然だ。私の番がこのような男に興味を示すはずがない。とは言え私よりもこの男のほうが私の番に詳しいのは確かだ。仕方あるまい。
「西野は授業はないな。このまま私達と……その弁当を食べ終えたら、私達が借り上げているA1に来なさい」
「はいっ」
借り上げているA1に戻ると猪瀬が陸についての情報を報告してきた。
「まだ多くは分かっておりませんが。現在一人暮らし。両親は存命ですが、離婚し、母方に引き取られました。現在、その母は再婚をしておりますが、青島は旧姓…実父の姓を名乗っています。5歳差の兄が一人います。両親兄義父共にβです。兄の青島累はβですが、鷹司家の長男に番認定されているようです。現時点で判明していることは以上です。」
「そうか。ご苦労」
青島、は、旧姓か。実父に対して思い入れがあるのかもしれない。
数分して西野がやってきた。
「陸について教えてくれ。」
私の番について他の男から聞かねばならないのは癪ではある。しかし、これは必要なことなのだ。屈辱感はあるが、致し方あるまい。今後巻き返せばいいのだ。
陸、待たせてしまった私を許してくれるよね?
「青島は現在一人暮らしです。母親と義理の父の話は時々出るので仲悪くないと思います。実父の話は一切聞いたことがありません。もしかしたら何がしかの軋轢があるのかもしれません。」
しかし、陸は実父と何があったのだろう。わざわざ旧姓を名乗り続けているのに…
なんてかわいそうなんだ。あんなに柔らかい笑顔を浮かべる子に。
「それと、り、青島には婚約者がいるみたいです。」
「私の番に婚約者だと!?政略結婚か!?」
ならば陸の親とはいえ許しはしない
「いいえ、違うようです。青島がその婚約者に惚れていて将来を誓い合っているようです。」
ぐ…苦しげな声が聞こえた。西野と猪瀬が床に伏している。私が咄嗟に怒りのあまりに威圧を放ってしまった為だ。
私の番が私以外の者と婚約している。さらに私の番がソレに惚れている、だと?
「婚約者についての情報は?」
「それが青島は…それについては答えてくれないんです。他のことに関しては結構答えてくれるのですが。」
「西野は陸について調べているのか?」
「一般的にな範囲までです。」
「そうか」
その一言で少し安堵した。西野は陸に邪な思いをいだいてはいない。地位を有するαは友人となるものの身辺調査はするが、利害関係の有無を調べる程度で深堀はしない。ただ番となるものに対しては別だ。番をすべての脅威から守るために周囲の人物の過去まで調べるのがアルファだ。『もしかしたら何がしかの軋轢が…』その程度で留めて調べていないのであれば西野にとって陸は本当に単なる友達なのだ。
「ただ、あまりにもコンちゃんに関しては情報婚約者に関してはあまりにも情報をくれないので、興味本位で調べようとしたことがあります。ですが、全く痕跡がつかめなかった。」
西野建設の長男。それなりには知られている会社。それが興味本位とはいえ調べても何も出なかった相手…。
「そうか。報告、感謝する。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ただし、イケメンに限る!
この言葉は真実だ!
ふつ~に考えて、初対面の人に勝手に付き合ってる設定?(番認識とはそういう意味になります)されたら怖い……し、キモい。
陸はふつ~にガハハと笑っていたのにフィルターがかかって可憐に笑っているになる。
……やべーヤツ
が京極様は最上位α、眉目秀麗、文武両道の上流階級
『ただし、イケメンに限る!』
世の真理なり……
美しい声でキャラキャラと笑う。私の番へとふらふらと吸い寄せられていく。
私の細い声を聞き取った猪瀬が答える。
「青島陸です。経済学部一年」
「陸……」
ああ何て君にふさわしい名前だ。 大らかで寛大な心を持つものになってほしいという親の想い、だから君は私を癒してくれたのか。だから君は私を癒せるのか
私の声に番が振り向いた。驚いたその顔も愛らしい。そのまま手を伸ばそうとして猪瀬が邪魔をした。
「貴嗣様!」
はっとする。そうだね。私は君が私の運命だとわかっているけれど、君はまだ気がついていないようだ。すこし寂しいけれど、君の速度に合わせてあげる。
「青島陸さん、今、私達は仕事の補佐をしてくれる人を求めています。あなたをリクルートしにきました」
猪瀬が周囲に聞こえるように声をはらして言う。
番の顔が曇る。なぜ?私のそばにいたいと思わないの?仕事の依頼と言ったから?番と言えばよかったのか?
「俺……私程度の能力では皆様にご迷惑をかけてしまうのがオチかと。どのような経緯かは存じませんが、もっと相応しい方にご依頼されては?」
陸は私が運命だと気が付いていない。それどころか、私から離れたいと言っている。なぜ?いや、今はそんなことを言っている場合ではない。陸をなんとか引き留めなくてはいけない。
「辞退されるのは珍しくて、余計に陸にお願いしたくなったな。」
番がピクリと震えた。
「光栄です。お…私でお役に立つならば……」
なんだ。やはり私のそばにいたいのではないか?陸は小悪魔だな。私を翻弄するのだから
「陸のこの後の予定は?」
「このままここでフランス語の受講ですね」
私の傍にいたがってくれた陸のために、私もフランス語の講義を受けるとしようか。
「そう、では私も受けていこう」
「貴嗣様。それは…」
猪瀬がまた私を止めた。ため息をつきたくなる。お前はまだ運命に出会ってないから、だからそんな風に止めてくるのだ。
それでも猪瀬が目で訴えてくる。今はおやめくださいと。
猪瀬は常に私の利益を考える。私を止めるなら何かがあるのだろう。仕方がない。ため息が出た。
「分かった。陸、授業が終ったらA1においで。それとそこの……」
「はいっ西野と申します!」
先ほどまで私の番の笑顔独占していたオス。私の番に対して好意を示している憎らしいオス、私よりも長く陸と過ごしてきたオス
「西野は陸と親しいのか」
そう問い質すと西野が答えた。
「陸とは…いえ、青島とは友人として親しくしております。学内では現時点では私が一番親しいかと」
友人としてを強調してくるか?私のライバルではないと言いたいのだな。まあ当然だ。私の番がこのような男に興味を示すはずがない。とは言え私よりもこの男のほうが私の番に詳しいのは確かだ。仕方あるまい。
「西野は授業はないな。このまま私達と……その弁当を食べ終えたら、私達が借り上げているA1に来なさい」
「はいっ」
借り上げているA1に戻ると猪瀬が陸についての情報を報告してきた。
「まだ多くは分かっておりませんが。現在一人暮らし。両親は存命ですが、離婚し、母方に引き取られました。現在、その母は再婚をしておりますが、青島は旧姓…実父の姓を名乗っています。5歳差の兄が一人います。両親兄義父共にβです。兄の青島累はβですが、鷹司家の長男に番認定されているようです。現時点で判明していることは以上です。」
「そうか。ご苦労」
青島、は、旧姓か。実父に対して思い入れがあるのかもしれない。
数分して西野がやってきた。
「陸について教えてくれ。」
私の番について他の男から聞かねばならないのは癪ではある。しかし、これは必要なことなのだ。屈辱感はあるが、致し方あるまい。今後巻き返せばいいのだ。
陸、待たせてしまった私を許してくれるよね?
「青島は現在一人暮らしです。母親と義理の父の話は時々出るので仲悪くないと思います。実父の話は一切聞いたことがありません。もしかしたら何がしかの軋轢があるのかもしれません。」
しかし、陸は実父と何があったのだろう。わざわざ旧姓を名乗り続けているのに…
なんてかわいそうなんだ。あんなに柔らかい笑顔を浮かべる子に。
「それと、り、青島には婚約者がいるみたいです。」
「私の番に婚約者だと!?政略結婚か!?」
ならば陸の親とはいえ許しはしない
「いいえ、違うようです。青島がその婚約者に惚れていて将来を誓い合っているようです。」
ぐ…苦しげな声が聞こえた。西野と猪瀬が床に伏している。私が咄嗟に怒りのあまりに威圧を放ってしまった為だ。
私の番が私以外の者と婚約している。さらに私の番がソレに惚れている、だと?
「婚約者についての情報は?」
「それが青島は…それについては答えてくれないんです。他のことに関しては結構答えてくれるのですが。」
「西野は陸について調べているのか?」
「一般的にな範囲までです。」
「そうか」
その一言で少し安堵した。西野は陸に邪な思いをいだいてはいない。地位を有するαは友人となるものの身辺調査はするが、利害関係の有無を調べる程度で深堀はしない。ただ番となるものに対しては別だ。番をすべての脅威から守るために周囲の人物の過去まで調べるのがアルファだ。『もしかしたら何がしかの軋轢が…』その程度で留めて調べていないのであれば西野にとって陸は本当に単なる友達なのだ。
「ただ、あまりにもコンちゃんに関しては情報婚約者に関してはあまりにも情報をくれないので、興味本位で調べようとしたことがあります。ですが、全く痕跡がつかめなかった。」
西野建設の長男。それなりには知られている会社。それが興味本位とはいえ調べても何も出なかった相手…。
「そうか。報告、感謝する。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ただし、イケメンに限る!
この言葉は真実だ!
ふつ~に考えて、初対面の人に勝手に付き合ってる設定?(番認識とはそういう意味になります)されたら怖い……し、キモい。
陸はふつ~にガハハと笑っていたのにフィルターがかかって可憐に笑っているになる。
……やべーヤツ
が京極様は最上位α、眉目秀麗、文武両道の上流階級
『ただし、イケメンに限る!』
世の真理なり……
217
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
巣作りΩと優しいα
伊達きよ
BL
αとΩの結婚が国によって推奨されている時代。Ωの進は自分の夢を叶えるために、流行りの「愛なしお見合い結婚」をする事にした。相手は、穏やかで優しい杵崎というαの男。好きになるつもりなんてなかったのに、気が付けば杵崎に惹かれていた進。しかし「愛なし結婚」ゆえにその気持ちを伝えられない。
そんなある日、Ωの本能行為である「巣作り」を杵崎に見られてしまい……
ヒートより厄介な恋をα後輩に教え込まれる
雪兎
BL
大学三年のΩ・篠宮湊は、何事も理屈で考えるタイプ。
ヒート管理も完璧で、恋愛とは距離を置いてきた。
「フェロモンに振り回されるのは非合理的」
そう思っていたのに――。
新学期、同じゼミに入ってきた後輩は、やたら距離の近いα・高瀬蒼。
人懐っこくて優秀、なのに湊にだけ妙に構ってくる。
「先輩って、恋したことないでしょ」
「……必要ないからな」
「じゃあ俺が教えますよ。ヒートより面倒なやつ」
余裕のあるα後輩と、恋に不慣れなΩ先輩。
からかわれているはずなのに、気づけば湊の心は少しずつ乱されていく。
これは、理屈ではどうにもならない
“ヒートより厄介な恋”を教え込まれる物語。
アルファのアイツが勃起不全だって言ったの誰だよ!?
モト
BL
中学の頃から一緒のアルファが勃起不全だと噂が流れた。おいおい。それって本当かよ。あんな完璧なアルファが勃起不全とかありえねぇって。
平凡モブのオメガが油断して美味しくいただかれる話。ラブコメ。
ムーンライトノベルズにも掲載しております。
被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。
かとらり。
BL
セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。
オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。
それは……重度の被虐趣味だ。
虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。
だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?
そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。
ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる