僕の可愛いお嬢様が魔法学校へ入学するようです

つかさ

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浮遊島

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浮遊感。間延びして世界が見えて、次の瞬間にはどこまでも薄く圧縮されていく閉塞感。気づけばいつの間にか息を止めていて、息苦しさに呼吸を再開すると流れ込んでくるのは先程までとは違う冷えた空気です。
「ここは?」
思わず口にしていましたが、本当にどこでしょうかここは。屋外なのは確かです。
見回せば蒼穹が見えます。遮るもののない視界を埋める空。その下に広がる緑の大森林。ここがどこかの峰だと理解します。そして、大勢に気配にも。
「お嬢様は!」
「ここよ、マルク。すごいわね、次々転移してくるわ。向こうにいるのはノーチェの出身者かしらすごく派手ね。それに南部樹海の放浪民に極東のサムライ、それから彼……、メラグラーナの第一王子よね。すごいわ」
お嬢様は感嘆の声を上げます。生まれも国も地位も、何もかも雑多に無作為に100人ほどが集まっていました。
「これからどうするんでしょうね」
「ここで一晩なんてことはないと思いたいけど。ああ、大丈夫そうね。迎えが来たわ」
「え、どちらです?」
目を凝らしますが、こちらへ近づいてくる人影などは見つけられません。
「あっち」
顎に指を添えられ上へ視線を移動させられました。あの、お嬢様恥ずかしいんですけど?
蒼の中に黒い点が見えました。徐々に大きくなっていきます。爪程から握りこぶし位、さらに大きく、つまり近づいてきています。
ちょっと信じがたいものが見えてきました。自治区がすっぽり入るくらいには巨大な島です。剥き出しの岩盤の上には木興が生い茂り森を作っています。その向こうに見えるのは学園の塔でしょうか。
ゆっくりと近づいてくる浮遊島の先端に人影が見えました。軽く一跨ぎ位の距離で浮遊島が止まります。
「ようこそ、ウィルクヴィスト魔法学院へ。諸君らの入学を歓迎しよう」
よく通る声が出迎えてくれます。
「行きましょうか、マルク♪」
「はいお嬢様」
かくして僕たちはウィルクヴィスト魔法学院の門を潜ったのです。


こんな感じで、入学まで来たのですが、この先はどうしますかねと。
この先の話を軽く。

魔力とは転生者が持ち込んだものであり、魔術が使えるのは転生者の血を引くもののみです。ま、僅かでも血を引いていればなのでかなりの人数が素養はある筈ですが。理由はよく分かりませんが魔力は10代後半より大きく内包されていきます。一説には自我の確立と関係があるとも言われますが実のところ不明です。
魔力さえあれば使えるのが魔術、転生者、異世界の魂を持つ者しか使えないのが魔法といった所です。
で、魔術学院は一定以上の素養を持つ者を保護する意図を持っています。
まれに入学を拒否したものがいなくなるのはそれに拉致られているからですが、犯人は大昔の転生者です。実の所緩衝地帯はその知識の奪い合いから生じたのではなく、その転生者から塔を守るための戦いから起きました。
苛烈な大戦ともいえる戦いの結果、その転生者は力の殆どを失い何処かへと消えました。今も魔力を持つ者を襲い力を蓄えている訳ですが、回復にはある程度のまとまった魔力が必要であり、それだけの素養を持ったものは己で身を守れるようになるまで学園で保護されるという仕組みです。
このような背景の中、マルクたちは箱庭な学園の中で友情を結び経験を積み、やがてかの転生者と対立することとなるのです。
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