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SIDE クレア
馬鹿げた慣習
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この世界には魔物がいる。
この世界には極稀に稀有な属性魔法が使える人間が生まれる。
人口の男女比のバランスが悪い国が多い世界。
クレアが生まれたのは、カレスティアナ王国。
男より女の方が、圧倒的に多い国だった。
一夫多妻制であるこの国では、王族特有の馬鹿げた慣習がある。
王子が生まれると、王妃も側妃も自分の子どもを王太子にするために、実家の権力を使って、有力貴族の令嬢と仮婚約を結ばせる。
人数に制限はない。
仮婚約期間に令嬢たちは王子妃教育を受け、王太子となった王子の仮婚約者で最も優秀な令嬢か、最も王子の寵愛を受けている令嬢が正妃となり、他の仮婚約者達は全員側妃となる。
選ばれた瞬間に一生が決まってしまうこの仮婚約は、王族に指名されれば逃れる術はなく、令嬢がいくら望んでも、仮婚約者から逃れることはできない。
令嬢の生家の財力や権力や人脈が次代の国王になるために必要だと判断されて、確保された令嬢たちであるからだ。
王太子になれなかった王子たちは、全員と婚姻を結ぶこともできるが、婚姻する令嬢の数を1~3人に絞ることが多い。
仮婚約者たちが開放される時期は、様々だ。
ほとんどの王子は、婚姻後も仮婚約状態を継続して、仮婚約者の生家を利用し続ける。
仮婚約が解消されるのは死んでから、ということも珍しくない。
いずれにしろ、仮婚約を結ばされる令嬢たちの多くは、生まれてすぐに一生を決められてしまう。
仮婚約を破棄できるのは、王族側だけ。
仮婚約者有責での仮婚約破棄には、法外な慰謝料が要求される。
それこそ、爵位も領土もすべて捧げさせられ、一族郎党奴隷として他国に売られることも珍しくなかった。
僅かな救いは、一貴族から王家に嫁げるのは一人だけ、という決まりだけ。
こんな馬鹿げた王家の慣習に不満を抱いている貴族は少なくなかった。
王族だけでなく、正妃や正妻の負担は大きく、その国や家を支えていかなければならない責務を負う。
たとえ夫となる王太子や貴族家当主がなにもしない、なにもできない無能な輩であったとしても、それを支えて国を、家を存続させていくのが、正妃、正妻の役目とされていた。
しかし、側妃や第二婦人以下は、子供を産むことを強制されることすらほとんどなく、地位の高い貴族や裕福な家に嫁げば贅沢三昧な上に、自分の実家の格も上がってと、良いこと尽くめになるという面もある。
仮婚約者に選ばれてしまった令嬢たちは、正妃や正妻は回避しようとする。
女たちは「仮婚約」者となった男の家に、教育を受けるために通う。
ここで、夫となる男との親睦を深めながら、品定めをされることになる。
王族や貴族の仮婚約者の女性たちは、仮婚約者の男に会う前に、まず湯浴みをすることを強要されること多い。
王族や高位貴族の場合は、必ず行われる。
湯浴みという名の、体に他の男の痕跡がないかの、執拗な検査だ。
中位貴族以下の家格の仮婚約者は、ここで弾かれることが少なからずある。
仮婚約者有責で仮婚約破棄になり、法外な慰謝料が要求されてもいいから、相手の家と縁を切りたい。
こんな理不尽な婚約を容認した家族はどうなろうと構わないから、自由になりたい。
好きな人と一緒になりたい。
理由は様々だが、自分から婚約破棄の証拠を作る者がいる一方、ただの虫刺されを理由に、仮婚約を破棄されてしまうこともあった。
過去、王族の仮婚約者となり王太子妃、王妃教育まで受け続けたものの、正妃になれなかった知り過ぎたご令嬢たちの扱いに困り果てた経験から、現在婚姻前に受ける王妃教育は、どの国の王族に嫁ぐことになっても差支えのない程度の教育に抑えられている。
後顧の憂いなく仮婚約から逃れる方法はただ一つ。
王族側から「婚約破棄」を言い渡されることだけ。
この世界には極稀に稀有な属性魔法が使える人間が生まれる。
人口の男女比のバランスが悪い国が多い世界。
クレアが生まれたのは、カレスティアナ王国。
男より女の方が、圧倒的に多い国だった。
一夫多妻制であるこの国では、王族特有の馬鹿げた慣習がある。
王子が生まれると、王妃も側妃も自分の子どもを王太子にするために、実家の権力を使って、有力貴族の令嬢と仮婚約を結ばせる。
人数に制限はない。
仮婚約期間に令嬢たちは王子妃教育を受け、王太子となった王子の仮婚約者で最も優秀な令嬢か、最も王子の寵愛を受けている令嬢が正妃となり、他の仮婚約者達は全員側妃となる。
選ばれた瞬間に一生が決まってしまうこの仮婚約は、王族に指名されれば逃れる術はなく、令嬢がいくら望んでも、仮婚約者から逃れることはできない。
令嬢の生家の財力や権力や人脈が次代の国王になるために必要だと判断されて、確保された令嬢たちであるからだ。
王太子になれなかった王子たちは、全員と婚姻を結ぶこともできるが、婚姻する令嬢の数を1~3人に絞ることが多い。
仮婚約者たちが開放される時期は、様々だ。
ほとんどの王子は、婚姻後も仮婚約状態を継続して、仮婚約者の生家を利用し続ける。
仮婚約が解消されるのは死んでから、ということも珍しくない。
いずれにしろ、仮婚約を結ばされる令嬢たちの多くは、生まれてすぐに一生を決められてしまう。
仮婚約を破棄できるのは、王族側だけ。
仮婚約者有責での仮婚約破棄には、法外な慰謝料が要求される。
それこそ、爵位も領土もすべて捧げさせられ、一族郎党奴隷として他国に売られることも珍しくなかった。
僅かな救いは、一貴族から王家に嫁げるのは一人だけ、という決まりだけ。
こんな馬鹿げた王家の慣習に不満を抱いている貴族は少なくなかった。
王族だけでなく、正妃や正妻の負担は大きく、その国や家を支えていかなければならない責務を負う。
たとえ夫となる王太子や貴族家当主がなにもしない、なにもできない無能な輩であったとしても、それを支えて国を、家を存続させていくのが、正妃、正妻の役目とされていた。
しかし、側妃や第二婦人以下は、子供を産むことを強制されることすらほとんどなく、地位の高い貴族や裕福な家に嫁げば贅沢三昧な上に、自分の実家の格も上がってと、良いこと尽くめになるという面もある。
仮婚約者に選ばれてしまった令嬢たちは、正妃や正妻は回避しようとする。
女たちは「仮婚約」者となった男の家に、教育を受けるために通う。
ここで、夫となる男との親睦を深めながら、品定めをされることになる。
王族や貴族の仮婚約者の女性たちは、仮婚約者の男に会う前に、まず湯浴みをすることを強要されること多い。
王族や高位貴族の場合は、必ず行われる。
湯浴みという名の、体に他の男の痕跡がないかの、執拗な検査だ。
中位貴族以下の家格の仮婚約者は、ここで弾かれることが少なからずある。
仮婚約者有責で仮婚約破棄になり、法外な慰謝料が要求されてもいいから、相手の家と縁を切りたい。
こんな理不尽な婚約を容認した家族はどうなろうと構わないから、自由になりたい。
好きな人と一緒になりたい。
理由は様々だが、自分から婚約破棄の証拠を作る者がいる一方、ただの虫刺されを理由に、仮婚約を破棄されてしまうこともあった。
過去、王族の仮婚約者となり王太子妃、王妃教育まで受け続けたものの、正妃になれなかった知り過ぎたご令嬢たちの扱いに困り果てた経験から、現在婚姻前に受ける王妃教育は、どの国の王族に嫁ぐことになっても差支えのない程度の教育に抑えられている。
後顧の憂いなく仮婚約から逃れる方法はただ一つ。
王族側から「婚約破棄」を言い渡されることだけ。
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