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チャプタ―60
ダメな安倍晴明60
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だが、気分の高揚していた益材の気分を吹き飛ばす出来事が起こる。
雑人に酌をさせ、気分がよかったから相手にも酒を飲ませていたところ次第に饒舌になった彼が言ったのだ。
「晴明様が夜這いされたとのこと、いやはやさような齢になられたのでございますなあ」
反応が遅れた。一拍の間ののち、
「なんと?」
益材は高い声を発する。
それで雑人も自分が言うべきでないことを告げたことに気づいたらしく表情を強張らせた。
「そもじ、なんと申したでおじゃる」
益材の追及に雑人は伏せていた目線を上げた。
「それは」
「そもじ(お前)を責めてはおらぬから申すでおじゃる」
躊躇う雑人に益材は言葉をかさねた。
「最前(少し前に)、申した通りにございます」
観念した雑人が口を開いた。
「晴明が、夜這い。相手は?」
「はあ、賀茂家の雑人(家来)とか」
益材の問いかけに、後ろめたいからか曖昧な声で雑人は答える。
「なに、ぞこかの姫ではなく雑人と申すでおじゃるか」
益材の言葉に、雑人「そんなことを言われても」という表情を浮かべた。
これは捨て置けぬでおじゃる――益材は表情を険しくする。
雑人に酌をさせ、気分がよかったから相手にも酒を飲ませていたところ次第に饒舌になった彼が言ったのだ。
「晴明様が夜這いされたとのこと、いやはやさような齢になられたのでございますなあ」
反応が遅れた。一拍の間ののち、
「なんと?」
益材は高い声を発する。
それで雑人も自分が言うべきでないことを告げたことに気づいたらしく表情を強張らせた。
「そもじ、なんと申したでおじゃる」
益材の追及に雑人は伏せていた目線を上げた。
「それは」
「そもじ(お前)を責めてはおらぬから申すでおじゃる」
躊躇う雑人に益材は言葉をかさねた。
「最前(少し前に)、申した通りにございます」
観念した雑人が口を開いた。
「晴明が、夜這い。相手は?」
「はあ、賀茂家の雑人(家来)とか」
益材の問いかけに、後ろめたいからか曖昧な声で雑人は答える。
「なに、ぞこかの姫ではなく雑人と申すでおじゃるか」
益材の言葉に、雑人「そんなことを言われても」という表情を浮かべた。
これは捨て置けぬでおじゃる――益材は表情を険しくする。
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