62 / 137
62
しおりを挟む
「それにしても、栄助以外が鉄砲を撃つのが心配ね」
「これはばっかりはやってみねえとな」
お菊の心配に、助左衛門が肩をそびやかした。
「攪乱のほうは伊平治殿に任せたでござる、上手くやってくれないと困る」
「任せな、足跡を自在に操って相手を惑わせてやるよ」
小次郎の言葉に伊平治が任せろと胸を叩いた。
大名行列の追跡を初めてからこっち、渡世人とは思えない規則正しい生活を栄助たちは送っていた。
まず、渡世人だが酒は飲まない。そして就寝、起床時間が早かった。
この日も酒精は口にせず、栄助たちは早々に眠りにつく。
翌日、栄助たちは大名行列に先行して動いた。
街道の脇に森が広がる場所を見つけて、ここに半町おきにひとりずつが隠れた。
みなには森の外れではなく少し手前に隠れるよう注意する。こうすることで身を隠すことができるのだ。
街道までの距離はやくざの親分を狙ったときとは違い、一町の隔たりがあった。
実は昨日、夜のうちに驟雨があった。
狙いが低くなる、それを思案のうちに入れなければならない。
四半刻ほど待っていると、大名行列の先頭が視界に入ってきた。
標的の大名家は石高五万石だと猪助から教えられていた。
駕籠が射程にまで来るまでにはそれなりの時間がかかる。だが、栄助は猟師の仕事を通して待つことには慣れていた。
だが、助左衛門たちはどうだ――心配だが、今はそれをつたえている場合ではない。
不安を押し殺しているうちに警固に囲まれた人影が視界に入ってくる。やがて、栄助にとって正面の位置にやって来た。
「これはばっかりはやってみねえとな」
お菊の心配に、助左衛門が肩をそびやかした。
「攪乱のほうは伊平治殿に任せたでござる、上手くやってくれないと困る」
「任せな、足跡を自在に操って相手を惑わせてやるよ」
小次郎の言葉に伊平治が任せろと胸を叩いた。
大名行列の追跡を初めてからこっち、渡世人とは思えない規則正しい生活を栄助たちは送っていた。
まず、渡世人だが酒は飲まない。そして就寝、起床時間が早かった。
この日も酒精は口にせず、栄助たちは早々に眠りにつく。
翌日、栄助たちは大名行列に先行して動いた。
街道の脇に森が広がる場所を見つけて、ここに半町おきにひとりずつが隠れた。
みなには森の外れではなく少し手前に隠れるよう注意する。こうすることで身を隠すことができるのだ。
街道までの距離はやくざの親分を狙ったときとは違い、一町の隔たりがあった。
実は昨日、夜のうちに驟雨があった。
狙いが低くなる、それを思案のうちに入れなければならない。
四半刻ほど待っていると、大名行列の先頭が視界に入ってきた。
標的の大名家は石高五万石だと猪助から教えられていた。
駕籠が射程にまで来るまでにはそれなりの時間がかかる。だが、栄助は猟師の仕事を通して待つことには慣れていた。
だが、助左衛門たちはどうだ――心配だが、今はそれをつたえている場合ではない。
不安を押し殺しているうちに警固に囲まれた人影が視界に入ってくる。やがて、栄助にとって正面の位置にやって来た。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる