笑う死霊家臣団 (別名義、別作品で時代小説新人賞最終選考落選歴あり)

牛馬走

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チャプタ―94

チャプタ―94

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「それは失礼いたした」
 やや声を上ずらせながら市右衛門は非礼をわびる。
 そんなこちらを、笑顔を浮かべながらも自称軍神は真剣な色を瞳に宿して凝(じ)っとこちらを見つめた。そしておもむろに、
「面白き相をしておるな、おこと」と言い放つ。
 目にのぞいていた真摯な色は、笑みに取って代わられていた。
「家臣の霊をとり憑かせた人間を従えているだけでも興味深いが、おことは将来、天下分け目の戦で前代未聞の一事を為す大きな力となるであろう」
 と、それで満足したのか、瞬時にその姿が視界から消える。
 姿だけでなく、気配までも消失した。
「……っ」市右衛門は思わずよろめく。
「道明――」そういえば、あやつはどうしたと脇を見ると、
「し、死ぬかと思った……」
 顔面を蒼白にして、道明はその場に座り込んでいた。
 ……その様子から、市右衛門は己が相当危うい立場にいたことを察して改めて首筋に寒気をおぼえる。
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