笑う死霊家臣団 (別名義、別作品で時代小説新人賞最終選考落選歴あり)

牛馬走

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チャプタ―110

チャプタ―110

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 この国の、透波という連中の戦いぶりを、森の中から少しの間観察していたが、中々のものだ。戦闘的な武術の類ではないが、そもそも戦いに卑怯などという言葉は本来ない。
 ゲオルギウスが騎士を代々輩出していた家系の裔として受け継いでいるのは、ただただ戦いに対する圧倒的な希求だけだ。騎士物語にあるような清廉潔白な魂など持ち合わせてなどいない。
 ――透波がすばやくこちらを振り向いた。
 こちらを静かに警戒しているのが、硬質化した気配からわかる。
 ゲオルギウスはにやりとなる。
 自分が殺気を隠すのが下手なのは自覚している――逆に、この島国の連中がどうしてああも気配を殺すのが得意なのか不思議でしょうがない。
 一歩一歩透波に近寄りながらも、ゲオルギウスは殺気を引っ込めなかった。
 殺すか、殺さないか――この段になっても、まだ渠は戦意を失っていない。むしろ、戦いたい気持ちは高まっていた。
 こちらの殺気を察知する鋭敏な感覚な持ち主と正面から斬り合う、考えるだけで興奮してくる。
 ――あと一歩で相手を刃圏内に捉える、そこまで近づいたところで、
「ゲオルギウス、残り少ない手勢を斬るのは止めてもらおうか?」
 背後から声が聞こえた。
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