笑う死霊家臣団 (別名義、別作品で時代小説新人賞最終選考落選歴あり)

牛馬走

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チャプタ―176

チャプタ―176

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 島津の軍勢は、井伊隊と干戈を交えている――。
 といっても、直接、刀槍を叩きつけるという局面には至っていない。
 島津方は『取り次ぎ』で応じているのだ。
 これは、数人が一組となり、先頭の者が射手となり、残りの者が濡れ手ぬぐいで銃身を冷やす、銃身内部の残り滓を掃除する、火薬を銃身に入れる、弾丸を装填する、込め矢で搗き固める、といった具合に役割分担をというものだ。
 最後尾から射手に向かって鉄炮が移動していく極めて合理的な速射戦術だった。
 これなら、仮に敵が横一並びに突貫してこずとも、弾丸を無駄にせずに連続射撃が可能となる――三段撃ちよりも有用だ。
 ……切れ間なく飛電と化す銃丸。
 この攻撃の前に、井伊隊は攻めあぐねていた。
 騎馬だろうが、徒士だろうが、足軽だろうが、身分の別なく一片の慈悲もない機械的な射撃が渠らを、屠る、屠る、屠る、屠るッ。
 散発的な鉄炮での応戦などほとんど効果がない。
 射手が銃丸に倒れても――すっ、と後ろの者が鉄炮を拾うやその役割を果たすのだ。
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