笑う死霊家臣団 (別名義、別作品で時代小説新人賞最終選考落選歴あり)

牛馬走

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チャプタ―217

チャプタ―217(終章2)

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 ――あれから、島津隊は数々の苦難をくぐり抜け、大阪で妻子を取り戻しさらに戦いを経ながらも薩摩へともどったのだ。
 なんと、島津隊の追撃に当たった井伊直政の取り成す形で――渠の性根からすると、島津家の将兵の勇猛さに心打たれたのかもしれない――処分は“お咎めなし”というものになった。
「――それは、平兵衛たちがこの世を去ったからか?」
「はい。『人は城』と、かの徳栄軒(とくえいけん)(武田信玄)様は申されたということでござるが、家臣のすべてを失った今、柏木家を再興する事由も失せ申しました」
 こちらの返答にも、維新公の表情は晴れない。
 だが、
「それがし、侍には向かぬ性根の持ち主でござる。内府殿が天下を統一されたとはいえ、いつなんどき、再び戦が起こるとも知れませぬ――もう、刀槍を振るうのはこりごりなのでござる」
 という一言には、
「主君を前にようも言う」
 と笑顔を見せた。
 維新公は隠居を決めて後進の指導に当たっている身だ。
 こののち、元和(げんな)四年、八十五歳で静かに息を引きとることになる。
 顔つきから察するに願い出が拒まれることはないだろう、と市右衛門は思う。
 ――ふと、平兵衛たちの最後を思い出した。
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