笑う死霊家臣団 (別名義、別作品で時代小説新人賞最終選考落選歴あり)

牛馬走

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チャプタ―219

チャプタ―219(終章・了)

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       ● ● ●

 ――今の市右衛門の側には、同じく鍬を持ち地下の衣装をまとった道明の姿がある。
 だが、こちらの表情は翳りを帯びていた……。
「どうした、奥?」
「……子を孕めずに、すまない」
 市右衛門の問いかけに、道明は上目がちにこちらを見る。
「つならぬことを気に病むな――それがしは、そなたがいればよいのだ」
 鍬を肩に担ぎ、市右衛門は彼女へと近寄った。
 躊躇の気配を見せる道明を、やや強引に抱き寄せて口を吸う。
 一度はすべてを失い、さらにこの世にもどってきた家臣も再び側から去ったに――それでも、今は道明が側にいる。
 かつて、柏木家の滅亡に接したときに感じた寒々しさからは考えられないほど、温かなものが胸のうちを満たしていた。
                                       了
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