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なんでも、次郎丸の同行を巡る話のときにアルメイダが告げたところによると、
「鉄砲の遠当てには地面の一町の遠さが見ただけでわかるように調練する必要がある」
ということでそれを教えてあるということだ。
「五町まではふたつの場所に一町がいくつあるかで判断します。五町を越える場合は、目当ての場所にいたる遠さの半分に一町がいくつあるか数え、それを倍にする」
それらの技倆はアルメイダが独自に割り出したものらしい。
「さような業、いずこで身につけなされた」
と至極当然の疑問を了斎は口にしたがアルメイダは、
「神の贈り物といったところでしょうか」
といってあとは曖昧に笑うだけだった。
一刻も蚊に食われるのに耐えていると、ついに彼らが望む山道に影が現われる。騎馬が三つと徒歩(かち)が六つからなる集団だ。
中央の騎馬の腕に猛禽の姿があるのを元透波の了斎のすぐれた視覚はとらえる。
されど――了斎は思わず脇のアルメイダへと視線を向けた。
城主一行との距離は数町を隔てている。鷹が偶然にこちらに飛翔したとしても、二、三町の場所を狙うことは覚悟しなければならない。
この旅に出るときに了斎が発した「司祭(パードレ)は御身を守る術をお持ちか」という問いかけに、「手前は鉄砲の上手ですよ」と笑いながら告げていた。確かに短筒の腕前は確かなものだ。しかし、鉄砲の方の技倆については目の当たりにしていないために泰然とはしていられない。まさか、こんな危険な策戦に生半可な腕前で挑むとは思わないがやはり懸念はつきまとう。
アルメイダの不安をよそに、山道で足を止めた城主一行のほうで動きがあった。
孤影が空へと急速に舞い上がる。解き放たれた、その形容が似合う迅速さでもって鷹は飛翔した。
来る、と了斎は胸のうちで思わず声をあげる。
「鉄砲の遠当てには地面の一町の遠さが見ただけでわかるように調練する必要がある」
ということでそれを教えてあるということだ。
「五町まではふたつの場所に一町がいくつあるかで判断します。五町を越える場合は、目当ての場所にいたる遠さの半分に一町がいくつあるか数え、それを倍にする」
それらの技倆はアルメイダが独自に割り出したものらしい。
「さような業、いずこで身につけなされた」
と至極当然の疑問を了斎は口にしたがアルメイダは、
「神の贈り物といったところでしょうか」
といってあとは曖昧に笑うだけだった。
一刻も蚊に食われるのに耐えていると、ついに彼らが望む山道に影が現われる。騎馬が三つと徒歩(かち)が六つからなる集団だ。
中央の騎馬の腕に猛禽の姿があるのを元透波の了斎のすぐれた視覚はとらえる。
されど――了斎は思わず脇のアルメイダへと視線を向けた。
城主一行との距離は数町を隔てている。鷹が偶然にこちらに飛翔したとしても、二、三町の場所を狙うことは覚悟しなければならない。
この旅に出るときに了斎が発した「司祭(パードレ)は御身を守る術をお持ちか」という問いかけに、「手前は鉄砲の上手ですよ」と笑いながら告げていた。確かに短筒の腕前は確かなものだ。しかし、鉄砲の方の技倆については目の当たりにしていないために泰然とはしていられない。まさか、こんな危険な策戦に生半可な腕前で挑むとは思わないがやはり懸念はつきまとう。
アルメイダの不安をよそに、山道で足を止めた城主一行のほうで動きがあった。
孤影が空へと急速に舞い上がる。解き放たれた、その形容が似合う迅速さでもって鷹は飛翔した。
来る、と了斎は胸のうちで思わず声をあげる。
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