忍び切支丹ロレンソ了斎――大友宗麟VS毛利元就(時代小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品)

牛馬走

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「しゃあねえなあ。分け前をやるから、元気になれ」
 自分こそ、子供の乞食の身で余人のことかえりみる余裕などないはずだというのに、面倒見のよさを見せる。次郎丸よりもふたつ年下だというのに。そんな喜平太だからこそ、父母を失い、叔父に遺領を横領されて荒んでいた次郎丸は心を開いた。
 連れだってその場をはなれていく。
 が、そう歩かないうちに、「おい」と呼び止められた。
 止まりたくなくとも、大人に立ちふさがられれば足を止めざるをえない。しかも、相手は長身だった。
 三白眼の目を笑わせながら次郎丸たちに似た装をした男が口を開く。
「身の丈に合わぬ銭をもろうたな。それはよくない、おれが預かってやる」
「ふ、ふざけんな」
 喜平太が目を吊り上げて怒った。
 むろん、次郎丸も憤りをおぼえている。だが、徒手空拳では勝てない、と頭では理解してもいた。
「やかましい」
 怒鳴られたとたん、男が態度を豹変させる。次の瞬間、喜平太を殴り飛ばしていた。
 この光景を目の当たりにした刹那、次郎丸は無意識のうちに動いている。拳を相手の身のうちに叩き込んでいた。
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