神様の転生のお供に選ばれまして ~異世界転生したら溺愛されるなんて聞いてません~

ものぽりー

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転生した私と、母。

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 どうもこんにちは。
 前世・神南 愛瑠、生まれ変わって1年半が経ちました。

 その1年半は、まぁ特に特記するようなこともなく過ぎたので省略します。
 だって記憶があるだけで、所詮は乳飲み子にはチートなど不可能なのです。 
 寝て起きてー、抱っこされつつ泣きわめいてー、ご飯食べてまた寝てー…って感じの、ただの食っちゃ寝ベビー生活。
 せいぜい寝返りやハイハイ、一人立ちを極限に頑張った程度。
 ……大人の体の記憶が強いせいか、むしろ乳児のバランスに違和感が強すぎて、結局普通(むしろ少し遅いくらい)の成長度合いだったけど。赤ん坊の頭部の重量、なめてました…。




 そんな私の転生先は、いわゆる中世ヨーロッパ的な街並みと文明の世界。
 竜を始祖とするこの世界最大の大国・バルト帝国という国の、しがない子爵家長女でした。
 決して裕福とは言えないけど、使用人にも、管理を任されている領地の領民の皆様にも慕われている、善良な優しい両親のもとに生まれたようです。
 天帝さんはちゃんと約束を守ってくれました。再会したら絶対お礼言わなきゃ。


 あ、今の名前は アイル・ウェヌス と申します。


 …天帝さん、私の名前を引き続き『アイル』にしたのは、私への気遣いなんですか、『オトモ・アイル』をまだ諦めてないからですか。
 再会したら、そこんとこ膝突き合わせてお話し合いしましょうね。


 王族が竜の血を一番色濃く引き継ぐが、薄まってきたとはいえ貴族にも一応、竜の血がうっすら流れているらしい。そのおかげで、子供の精神面の成長は私が知る子供の成長よりもだいぶん早いそう。
 …つまり、私がどんなに子供らしくない発言をしても、『あら成長が早いのね』で済み、『この子は天才だ!』とはならないらしい。…いい年した私が完璧に子供に擬態出来るとは思えないので助かった。本当に心底助かった。
 ただし身体面の成長は人間の子供と同じ程度らしく、呂律が怪しい。特にサ行とナ行とラ行が難しい。子供の見た目じゃなかったら羞恥で死ねる。



 
「アイルちゃん、ご機嫌ねー。アイルちゃんも嬉しいのね!」
「…おかあしゃま」

 遠くを見つめたままハイライトの消えた目で固まる娘がご機嫌に見えちゃう、ちょっとズレたところのある大らかなこの女性は、私の今生の母、クレマリー・ウェヌス。
 日に透ける金茶のふわふわカールヘアーをサイドで一纏めにして、茶の瞳を喜びに輝かせ、白い肌をほんのり上気させた、少女のような若々しさを誇る22歳。
 緩いシルエットのワンピースを着ていてもわかるスタイルの良さが私にも受け継がれていることを切に願う今日この頃だ。


 実はつい30分程前に珍しく母から両親の部屋に呼ばれ(いつもは両親が私の部屋に来る)、2人掛けのソファに一緒に座った途端、なでなでハグハグと猫可愛がりされていた。
 私などより母の方が最高にご機嫌である。


 というのも。


「楽しみねー、アイルちゃんももうお姉ちゃんねー」
「…おかあしゃま、まだ、はやぃ…」


 先程、母の妊娠が分かったらしい。





 最近食事もあまり食べられていなかったし体調も良くないようだったので父とともに心配していたのだが、オメデタだったらしい。良かった。

 そしてまだ妊娠3ヶ月なので、生まれるのはまだ先である。
 
 ちなみに父は現在お仕事中。
 まだ妻の妊娠を知らされていないらしい。


 …お父様が、喜びとともに一番に教えてもらえなかった悲しみに崩れ落ちる光景が見えるわ。



「弟かしら、妹かしら?アイルちゃん、可愛がってあげてね!」
「…うん」


 いまどこにいるか分からない天帝さん。
 私に家族を与えてくれてありがとうございます。
 


 喜びにうっすら笑顔の浮かんだ私を、母が「アイルちゃん可愛いわっ!」と力の限り全力で抱きしめるので、天帝さんに再会する前に、もう何度目かの死の淵を見た。



 何度も前科のある母を見張るため、部屋の隅で微笑ましく見守っていたメイドにすぐに救出されたが。

  




* ウェヌス : ローマ神話における、愛と美の女神の名前。天帝さんがアイルを転生させるに相応しいお家を探している時に見つけ、何よりとても善良な家庭だったので、このお家に決めたそうです。

 
 
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