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異世界なめたら死ぬよ?
第4話 一応安全装置付いてますがすべては自己責任です
しおりを挟む「――とまあ、こんな感じです」
フィーリャは3人に説明を終えた。
「それでは快適なご旅行をお楽しみくださ~い。行ってらっしゃいませ~」
そんな感じで、酒場の玄関から押し出された3人は初めてバウガルドの世界を目にすることとなる。
「お? おお――! めっちゃファンタジーじゃんかよお!?」
シンヤは大声を上げた。
そこはいわば大阪の港のそばにある某テーマパークのあの魔法の世界のような建造物が立ち並ぶ街並みだった。
しかしそれとは完全に異なる。
「リアル」なのだ。
明らかに、この街は実在している。ここには人々(?)の生活が息づいている。
街の通りには、何族かもわからない人々が闊歩し、臭いもまさにリアルに鼻を突いてくる。
「やべぇ! 鳥肌立ってきたぁ!」
シンヤは大はしゃぎだ。
「さて、これからどうする?」
トオルは意外と冷静だ。
「わたし、買い物がしたいな!」
サラが主張した。女の子というのはいつでも、まずは買い物から始まるものなのだろうか。
「まあなぁ、でも確かに初期資金として100シルバーずつ支給されたけど、何するか決めてないから何買っていいかわかんねーなぁ」
とはシンヤの言葉。
「そうだなぁ……」
とトオルが相槌をうった。
「取り敢えず、歩き回ってみる?」
サラは買い物がしたくてたまらない。
「おい! お前ら! 新規ダイバーだな?」
唐突に男の声がした。
3人がそろってその声の方を向くと、一人の男が立っていた。
全身を金ぴかに光る鎧で固め、腰にはこれまた金ぴかの意匠を凝らした剣を帯刀している。背中には長さ1.5メートルはあろうかという大きな盾を背負っていた。
身長は180センチ足らずだろうか。シンヤよりは低いが、トオルよりは高い。年齢は、30代前半と言ったところか。間違いなく人間、つまり、彼も旅行者なのだろう。
「え、と。すいません。“ダイバー”ってなんです?」
シンヤがその男に聞いた。
「ああ、やっぱりな。あっちの世界から来た人間を“ダイバー”っていうんだよ、この世界ではな。それよりお前らまさかここから歩いて散策しようとか思ってないだろうな?」
男が訝しむように問う。
「え? そのつもりでしたけど、なんかまずいっすかね?」
シンヤが聞き返す。
「あちゃー。あぶねぇなぁ。お前らにここで会えてよかったよ。お前ら、ちゃんと酒場の“インスト”きいてたのか?」
男はやや強めの口調で問い詰める。
「ここはもう、日本じゃねぇんだ。どこにも安全な場所なんてないんだぜ? そんなこともわからず、100シルバー握りしめて街歩きまわってりゃ、いい金蔓《かねづる》ってもんだ。お前ら、周りの見たこともない種族のやつらに襲われて、逃げられると思ってるのかよ?」
「ああ、たしかに。フィーリャさんにも充分に気を付けてくださいねと言われたような気が――」
シンヤが答える。
「でも、まさかそんな治安が悪いなんて一言も言ってなかったですよ?」
とはトオルだ。
「だよなぁ。それについては仕方ねぇんだよ。あの人たちにとっちゃ、それが当たり前なんだからよ。治安が悪いって思ってねえんだから、言うわけねぇんだよ」
そう言って男は頭を掻くような仕草を見せる。
「まあとにかくだ、腕輪だけは絶対外すな。それからやばくなったら速攻で帰還しろ。まずはそれからだ。何なら今すぐ帰還して再度ログインしてを数回繰り返すぐらいの方がいい。そうやって腕輪の使い方に慣れろ。街をうろつくのはそれからでおそくない――って、やべぇ、もう滞在制限時間が来る、お前らちゃんということ聞くんだぞ、いいな! わかったな? 死ぬんじゃねーぞ?」
そう言ってその男は慌てて酒場に飛び込んで行った。
死ぬ?
「そう言えば、この旅行に際して事故や事件に関しては店は一切責任を負わないって誓約書にサインさせられたような……」
トオルが呟く。
「え~、買い物は? ねぇどうするのよ?」
サラはさっきからそのことで頭がいっぱいのようだ。さっきの鎧男の話聞いてたか?
「せっかく来て何もせず帰ってまたログインしてってめんどくさくねーか?」
とシンヤ。
「そうだよ? ヤバくなったら、帰還しちゃえばいいんでしょ? 少しぐらい大丈夫だよ」
とサラ。
「じゃあ、少しだけ見てから帰還するか――」
トオルも2対1になってまでは押し切れない。
ということで3人は、「少しだけ」見て回ることにした。そう、その「少し」が命取りになるとは知らずに――。
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