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異世界なめたら死ぬよ?
第5話 だから気を付けろって言っただろう
しおりを挟む「ねぇ見て? これかわいいかも~」
そう言ってサラは露天商の一つに潜り込んで早速衣類を物色している。
そのサラが二人に見せたのは、革製のショートタンクトップとショートパンツのスーツだった。どうも上下セットで販売してるらしい。
「確かに――、かわいいかも……?」
シンヤが少し顔を緩めてまじまじと言う。脳内変換された着せ替え人形がどうなっているかは想像に難くない。
「これ買っちゃおうかな~。どう? ねぇ――」
「いや、それ幾らするんだよ?」
トオルはこういうときも冷静だ。
「え? ええと……、おじさんこれいくらですか?」
「嬢ちゃん、値札も見れねぇのかい? 60sって書いてるだろう?」
「ほんとだ。“s”ってことはシルバーってこと?」
「そうだよ、金の単位は3つだ。“s”はシルバー、“c”はカッパー、“g”はゴールドだ。それぞれ100単位で上の位になる。硬貨の色と同じだから、分かりやすいだろ? それぞれ大硬貨と小硬貨があって、大は小10枚分だ」
「つまり、100cが1sで、100sが1gってことですか?」
「おう、飲み込みが早いねぇ。その通りだ」
露店のおじさん(イノシシ顔)とサラのやり取りを横で聞いていたトオルは嫌な予感がした。
「じゃあ、これください!」
サラは即答だった。酒場で初期資金としてもらったのは100s。硬貨は10枚だった。つまりこれは大硬貨ということだ。サラは早速、6枚の銀硬貨をおじさん(イノシシ)に渡している。
(あ~やっぱり――)
トオルの予感は的中した。
シンヤはにやけ顔だ、相変わらずこの二人は後先考えないとこがあるなとトオルはため息をついた。
「サラ、そんなもの買ってどうすんだよ?」
「え? 着替えるのよ?」
「いやそうじゃなくて、お金の使い道もっとよく考えた方がいいだろうってことだよ」
「まあまあトオル、そんなに固いこと言うなって、サラだって気に入ってるんだ、仕方ねぇさ」
「へへへ、わたしちょっと、預り所に戻って着替えてくるね。ここらへんで待ってて――」
言うなりサラは駆け出してしまった。
「おい! サラ! 一人でうろつくな――って聞いてねえよ……はあ」
「おいトオル、見てみろよ? 武器がいっぱい置いてある店があるぜ?」
シンヤもそう言うなりその露店の暖簾の下へ滑り込んだ。
まあ、預り所(バウガルドの酒場)の入り口は目と鼻の先だ。大丈夫だろう、と思って、仕方なくトオルもシンヤに続く。
くぐった暖簾の中には所狭しと武器が並んでいた。こんなにたくさんの武器を見るのは当然生まれて初めてのことだ。二人ともこれまでにヴァーチャルMMOなどにログインして遊んではいたが、現実的に重量のある武器を目にするとさすがに「あがる」。
「やべぇ! 本物の剣だ! ――おじさん(髭もじゃ)、これ触ってみてもいいですか?」
「ああ、手に取って振ってみればいいさ。実際持って馴染むかどうか、確かめねえと自分に合うかどうかなんてわかりゃしねぇからな」
髭もじゃおじさん(背は140センチぐらい)は気前よく応じてくれた。
「ありがとうございます! ――おわっ、結構重いなこれ……」
さすがのシンヤも本物の重さに驚いたようだ。
「当たり前だ、その剣なんか、ほとんど金属でできてるんだから、重いにきまってるだろう?」
トオルは手頃そうな短剣を手にしてみた。
刃渡り40センチほど、柄は20センチ足らずか。おそらく片手用の剣だ。このぐらいなら慣れれば自在に振れるようになるかもしれない。
そう言えば、フィーリャさんが個人によって能力差があるとか言ってたような気がするが、そういうものって確認できるのだろうか? 帰る前に聞いてみよう。
そんなことを考えていたとき、少し離れたところから女の子の悲鳴が聞こえた。
「きゃあ――! やめて――! シンヤ――! トオル――! どこにいるのぉ――!!」
二人はその声にびくっと反応してすぐさま声のする方へ駆け出した。
サラだ――!
見ると、酒場の前で数人(匹?)の人物(動物?)に囲まれているショートタンクトップとショートパンツの女の子の姿が見えた。
「シンヤ! サラだ! 絡まれてるぞ!?」
「ああ、見えてる! あいつら、何やってやがるんだ!」
シンヤは鬼の形相だ。
やがて、そこに近づいていくと、2人(匹?)の人に絡まれているサラと目が合った。
「おいコラてめえら! なにしてやがる、サラを放せ!」
シンヤが威勢よく吠えかける。
続いてトオルがサラの手を引こうと右手を伸ばした、次の瞬間だった――。
――ボトッ……!
何かが地面に落ちる音がした。
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