お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。

永礼 経

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第245話 バレリア遺跡の上層探索開始

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 今回の探索手順についてだが、まずは第一層に殲滅班が入る。魔術師が灯りをともしつつ、この階をくまなく探索して回る。
 ただ一つ『奈落へ続く縦穴』を除く、すべての部屋という部屋を探索して回り、ブラックスライムや巨大ローチを駆逐する。
 そのあと、電灯設置班がフロアのすべてに電灯をつけて回る。これで、出現ポイントが生成される心配はかなり減るだろう。

 魔物の出現ポイントは基本的には人が普段立ち入らない場所に生成される性質があるため、フロアすべてに明かりが行きわたれば、その階に魔物が現れる可能性はほぼゼロに近い割合にまで落とすことが出来るはずだ。

「オッケー、じゃあ1層の殲滅はこれでいいだろう。僕たちはこのまま設置班の援護をしつつ休憩を取ろう。2層はじゃあ、シルヴィオさんの班に下りてもらおう」
と、キールがそばに控えていたもう一つの殲滅班のリーダー、シルヴィオに合図を送る。

「分かりました。それでは2層の殲滅探索を始めます。終わったらお声を掛けますので、それまではお待ちくださるよう」
と、シルヴィオが請け負い、シルヴィオとその部下3名とハリーズ、それから、ミリアとジルベルト、クリュシュナが下りることになった。

「ジルベルト、ミリアのことを頼むよ?」
「ふん、旦那の大切な人だ、他の奴がどうなろうと嬢ちゃんだけは連れ帰るさ」
ジルベルトはそう言って片目をパチリとやると、不敵な笑みを浮かべた。

 まったくいろいろと鬱陶しく暑苦しい奴だけど、こういうところはなかなかに頼りになる。ジルベルトの戦闘力は対決したキール自身がよく知ってるが、実際のところかなりの魔術師であることに間違いはない。しかも、体術も相当使える。

「じゃあ、いってくるわ」
とミリアはアステリッドとキールに言い残して、ジルベルトの後ろを2層へと降りて行った。しばらくすると階下からふわりと明かりが射す。おそらくはミリアの「トーチ」の魔法だろう。

「さあ、こちらも始めましょう」
そう言うとエリザベスは設置班の二人、鍛冶のカーンと鉱物商のリンドに合図を送る。

 その瞬間、キールたちの周囲がぱぁっと明るくなった。

「わぁっ! 明るい!」
アステリッドがその明るさに思わず額に手をかざす。

「さあ、最初の一つよ。どんどん設置していくわよ。キールくん、周囲の警戒、よろしくね」
エリザベスはそう言うと電灯設置作業に取り掛かった。

 自発式発電機は今回10基ほど持ち込んでいる。基本的には1層あたりに一つ設置し、最終的には地上に一つ設置する予定でいる。

 最後に地上に設置した発電機を繋いで、1層の発電機を回すと、今度はその発電機の電力で2層の、2層の発電機で3層のというようにつなぐ。
 そうすると、次来た時には、地上の発電機を回すことで、設置済みの各階の電灯にともるという計画だ。

 こうして、第5層の『円盤の部屋』までのルートはそれほど苦労することもなく設置が終わり、『円盤の部屋』へと、拠点設営が完了するまでには2日ほどの日数で済んだのだった。

「やっぱり、明るいわねぇ」
エリザベスは『円盤の部屋』を見渡して言った。

 この、部屋の入り口から階段状に下りつつ、それぞれの段に机と箱が並ぶ不思議な部屋は、前回来たときにその全容が明らかになっていたのだが、その時の灯りは、キールの魔法によるものだった。キールの魔法、「デイライト」の明かりは今の白熱電灯よりさらに明るかったが、あの魔法をずっと発動するには相当の魔力を用いるため、消耗が激しすぎて他に何もできなくなってしまうという弊害があった。

 しかし、この「白熱電灯」による明かりは、それよりは若干明るさは劣るが、持ち運んで好きなところにもっていくことも可能なため、机の下など、影になるところまでくまなく照らすことが出来る。

 エリザベスはすぐにでもこの部屋のさらなる探索をしたい気持ちを抑えて、
「き、今日は、地上に戻って休みましょう。明日、この部屋の探索を行って、地下探索拠点を設営して、いよいよ明後日から深層へと向かいましょう」
と、なんとか踏みとどまる。

 明日はキールたち殲滅班は基本休みとなった。一応念のため、この部屋まで下りて護衛にあたることになったが、それも午前午後の交代制でという形で落ち着いた。

 そして、その日から2日後。

 とうとう第6層へと足を踏み入れる日となったのである。

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