黒沢ゆいなと森原みらいと女神をめぐる三角関係の内角の和

奥野とびら

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森原みらいと黒沢ゆいなの熱いキス

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 葉山基紀は八戸に飛んだ。
 当時の新聞記事を虱潰しに調べて西山智之と矢沢亜紀が目撃されたのが青森県八戸駅であることを知った。
 さらに週刊誌やネットを駆使して二人の足跡を追った。
(八戸の観光スポットは……)
 海猫の生息地である蕪島や新鮮なイカなどが購入できる巨大ショッピングセンターの八食センターなど。
 だがサッカー界のスターと女子プロゴルファーが出かけるには、どこかそぐわない気がする。
(きっと他に目的地がある)
 葉山はそう確信していた。
(目立つ二人が八戸駅を最後に誰にも目撃されていないということは……)
 二人は車で移動したのではないだろうか。それもタクシーではなくレンタカーで。タクシーならば運転手から行き先が漏れても不思議でない。
 葉山は八戸駅に降りると駅からほど近い小振りのレンタカーショップに出向いた。
 葉山はトヨタのカローラを借りる手続きを取った。
 走行前の車体チェックのために女性店員が受付の外に出て葉山と並んでカローラに向かった。
「西山と矢沢亜紀が来たんだって?」
 女性店員に鎌をかけてみた。女性店員はニッと笑った。
「そうなんです」
「あの二人、どこに行ったか判る?」
「わかりません。そういう話もしなかったし」
「あなたが担当だったの?」
「はい」
 女性は少し誇らしげに返事をした。
「この車だったんですよ」
「へえ」
 どこにでもあるような白いカローラ。
「ドライブレコーダーは?」
「どういうわけか走行中はスイッチを切っていたようなんです」
「なるほど……走行距離は判るかな?」
「それは判りません。ここに戻った時点でクリアしちゃうから」
「記録を取ってないの?」
「記録はありますけど」
 女性店員は不審げに葉山を見た。
「実は知りたいの」
 葉山は名刺を出して女性店員に渡した。
「関東放送……」
「走行距離が判ったところで、どうにもなるもんじゃないけど、こっちも仕事だから形だけでも成果が欲しくて」
 葉山は財布から五千円札を出して女性店員の手に握らせた。
「頼むよ」
 片手で拝んで頭を下げる。
「走行距離だけでいいんですね?」
 女性店員は従業員室に戻っていった。

    *

 二人はお互いに駆けより抱きあった。
 そのまま熱いキスを交わす。
 ゆいなは自分の唇にみらいの唇のぬめりを感じた。そのままみらいの口を吸う。みらいもそれに応える。
 15秒程だろうか、互いの口を吸いあった後、二人は口を離した。二人の唇を唾液の細い糸が引く。
「大丈夫?」
 ゆいなの問いにみらいは頷いた。
「助けに来てくれたの?」
「そうよ」
「ありがとう」
 ドアをノックする音がした。ゆいなはハッとして振り返る。
「起きているの?」
 ドアが開いた。
 目つきの鋭い若い女性が立っていた。
「あなたは……」
 ゆいなは唾を飲みこんだ。
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