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閑話3話 臆病な少女 12話ギルベルト視点
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昨日、俺はコースフェルト嬢に強引に約束を取り付けてしまった。
彼女は来てくれるだろうか。勿論、来てくれなくても構わない。少し強引すぎたため、いくらこちらの方が爵位が高いとはいえ、無礼ととらえられても仕方ない。
しかし、俺の心配も杞憂に終わる。コースフェルト嬢は、今日も緊張したまま入室してきた。
「しつれいしましゅ」
「慣れないか?」
そう彼女に問いかけると、彼女は段々と赤面していく。噛んでしまったことがよほど恥ずかしいのだろう。
そしてその緊張のせいか、彼女は慌てて俺の対面にある椅子に座る。座ってすぐにハッとした彼女。何かに気付いてビクビクしているように見えるが、大丈夫だろうか。
気が付くと彼女は俺を見てさらにビク付き始める。肩も小刻みに揺れている。ひとまず落ち着いてもらおう。
使用人に声をかけ、彼女に菓子を用意して貰った。直ぐに用意されたケーキが彼女の目の前に置かれる。
「へ?」
「いらんのか?」
「えと?」
彼女は意図が理解できていないのだろうか。いや、そんなはずはない。目の前に用意されたのだから、自分の分だとわかるだろう。ならば何故、俺の様子を伺う必要があるのだろうか。
「いっ……頂きます」
彼女はその白く細い手でフォークを握り、一口サイズになったケーキを、小さな口で頬張った。
最初の一口はかなりゆっくりと手を動かしていたが、味が気に入ったのか二口目からパクパクと食べ始めた。年齢は近かったと思ったが、子供らしいものだ。
「はっ!?」
「なんだ? まだいるのか?」
「え? あ、いやそれよりもあのえ? 今日お呼び出しを受けた理由は何でしょうか?」
「理由? …………ふむ」
正直、最初こそ興味を持ったからだったが、今日呼び出した理由は、ほぼ衝動的な行動としか説明ができない。
理由を聞かれても困るが、別に隠すほどの事でもないな。
「悪いな、よくわかっていないんだ。だから明日からも付き合ってくれ」
「え? あの? それはつまり?」
「お前に断る理由がなければ、明日も明後日もこうして逢わないか?」
なんとなく、彼女は断らないと思った。まさかこの俺が、出会って二日の年下の令嬢に甘えるようなことをするとはな。
「わかりました」
「それは良かった」
彼女は、何故か微妙な表情をしながら腹部をさすって返事をした。食べ過ぎたのだろうか。ケーキ一つだったと思ったが。女性には多すぎたと考えるべきか。
「そういえばミシェーラ様からお聞きしましたが、エスコートしてくださる夜会って」
「ああ、ベッケンシュタイン家の夜会だ」
ほう、ベッケンシュタイン嬢はそんなことをわざわざ話したのか。俺からコースフェルト嬢に伝える手間が省けたな。
「それをお先に言ってください」
「気にする必要はないだろう。それに彼女にはいい加減俺を諦めて貰わなければいけないからな」
コースフェルト嬢は、昨日の昼間。ベッケンシュタイン嬢が俺に告白をしてきた現場に居合わせた。つまり、ベッケンシュタイン嬢からして、自分の恋心を知ってしまった人間だ。
もっとも、あれだけわかりやすいと、全校生徒どころか社交の場でも噂されていることを、ベッケンシュタイン嬢は知らない。
コースフェルト嬢は俺と目を合わせようとしない。嫌われている様子はない。なら、何か嘘をついているのだろうか?
彼女は来てくれるだろうか。勿論、来てくれなくても構わない。少し強引すぎたため、いくらこちらの方が爵位が高いとはいえ、無礼ととらえられても仕方ない。
しかし、俺の心配も杞憂に終わる。コースフェルト嬢は、今日も緊張したまま入室してきた。
「しつれいしましゅ」
「慣れないか?」
そう彼女に問いかけると、彼女は段々と赤面していく。噛んでしまったことがよほど恥ずかしいのだろう。
そしてその緊張のせいか、彼女は慌てて俺の対面にある椅子に座る。座ってすぐにハッとした彼女。何かに気付いてビクビクしているように見えるが、大丈夫だろうか。
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「へ?」
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「いっ……頂きます」
彼女はその白く細い手でフォークを握り、一口サイズになったケーキを、小さな口で頬張った。
最初の一口はかなりゆっくりと手を動かしていたが、味が気に入ったのか二口目からパクパクと食べ始めた。年齢は近かったと思ったが、子供らしいものだ。
「はっ!?」
「なんだ? まだいるのか?」
「え? あ、いやそれよりもあのえ? 今日お呼び出しを受けた理由は何でしょうか?」
「理由? …………ふむ」
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理由を聞かれても困るが、別に隠すほどの事でもないな。
「悪いな、よくわかっていないんだ。だから明日からも付き合ってくれ」
「え? あの? それはつまり?」
「お前に断る理由がなければ、明日も明後日もこうして逢わないか?」
なんとなく、彼女は断らないと思った。まさかこの俺が、出会って二日の年下の令嬢に甘えるようなことをするとはな。
「わかりました」
「それは良かった」
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「そういえばミシェーラ様からお聞きしましたが、エスコートしてくださる夜会って」
「ああ、ベッケンシュタイン家の夜会だ」
ほう、ベッケンシュタイン嬢はそんなことをわざわざ話したのか。俺からコースフェルト嬢に伝える手間が省けたな。
「それをお先に言ってください」
「気にする必要はないだろう。それに彼女にはいい加減俺を諦めて貰わなければいけないからな」
コースフェルト嬢は、昨日の昼間。ベッケンシュタイン嬢が俺に告白をしてきた現場に居合わせた。つまり、ベッケンシュタイン嬢からして、自分の恋心を知ってしまった人間だ。
もっとも、あれだけわかりやすいと、全校生徒どころか社交の場でも噂されていることを、ベッケンシュタイン嬢は知らない。
コースフェルト嬢は俺と目を合わせようとしない。嫌われている様子はない。なら、何か嘘をついているのだろうか?
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