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56話 なんだか今まで一番すごい人が現れてしまったんだけどなぁ
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受付に行くと変装したフリーデリケさんがいらっしゃいました。
「いらっしゃいませ。招待状を拝見させていただきます」
私達を見つけ手を振るような真似をせず、いつもと違い誠実な対応をされて驚きそうになりましたが、あくまで変装しているのでしょう。
それはオリーブ様の記憶に、ベッケンシュタイン家の受付をしていたフリーデリケさんが残っていた時の為です。
「ギルベルト・ハウクル・バルツァー様で間違いありませんね。お連れの方もこちらにサインをお願い致します」
私はそこにマリー・コースフェルトと記載し、入館者の名前を事細かに記載していきました。
「他の招待客はまだ来ないな?」
ギルが私達三人にしか聞こえないほどの小声でフリーデリケさんに声をかけます。
「はい、お二人は予定通り他の招待客より早めに来ていただいています」
「そうか。では俺たちはそこの部屋に待機していればいいんだな?」
エントランスから一番近い部屋を指さし、フリーデリケさんはコクリと頷いた。
「はい。そちらに私がお呼びしたスペシャリストもお招きしましたので、他の説明は彼女から聞いてください」
「わかった」
そしてギルと二人でその扉をノックすると、中から少しくたびれた声で、入りなさいと聞こえてきました。
中にはメイド服を着た黒い髪の女性。青い瞳はどこか濁っていて、常に何か絶望しているかのような表情をしていました。
「貴女たちが話を聞きたい人ってことでいいのね?」
「はい。マリー・コースフェルトです」
「ギルベルト・ハウクル・バルツァーだ」
「私は名乗らないわよ。この国では指名手配中なの。どうしても呼び方が欲しいっていうならそうね、ルシア。ルシアよ」
指名手配犯さんが何故このような所にいらっしゃるのでしょうか。それ以前にフリーデリケさん元諜報員とは言ってましたけど、本当に何者なんですか。
ルシア……そういえば、あの時読んだウサギさんの飼い方の著者名…………偶然ですよね。
「早速だがボイド辺境伯の証拠を提供して欲しい」
「いいわよ。これが過去にボイド辺境伯が関わっていた人身売買業者と人さらいグループのリスト。拠点もまとめて記載してあるわ」
どっさりと紙の束が近くにあった机の上に置かれています。
「それから今捕まっているという前回やらかした奴が二人いたそうね。彼らはカシュジュ国に頻繁に出入りしているはずよボイド領からカシュジュ国に入る人間のリストはごまかせても、カシュジュ国に入る入国者リストは、ボイド辺境伯ではごまかせないわ」
そうです。ボイド領からの出国者リスト入国者リストは違法をしているため、ごまかすことはあっても、カシュジュ国はあくまで合法。リストをごまかす必要なんてありません。
ボイド辺境伯は自国の出国者リストと入国者リストだけごまかしていたみたいです。
「頻繁に出入りしていたのがあの二人である証拠は?」
「入国と出国には身分証明が必要なのだけれど、頻繁に出入りする人間の身分証明を毎回ごまかせば、カシュジュ国の門番に捕まってしまうわ。彼らはカシュジュ国ではあくまで犯罪を犯していないのだから、身分を偽る必要もないのよ」
そしてルシアさんは書類の中から二人の身分証明書を取り出します。身分証明書には、本人の特徴まで記載されております。
「何故二人の身分証明書が?」
「基本、身分証明書は王都と出身領の領主二人の承認で発行されるのよ。そして本人の手元に一枚、領主に一枚。最後に国に一枚保管されるの。これは王都にあったものを持ってきてもらった物よ」
国と国または国内であっても、領地と領地を移動する際にこれを関所に提出し、領地間の移動であればチェックは一瞬で終わり、関所によっては提出した瞬間に通れるくらいいい加減な所もあります。
しかし、国家間の関所は別です。特徴に間違いがないか入国理由は何かを細かくチェックし、一人一人厳重な入国審査チェックまで行います。
その時の言葉や喋り方の特徴まで記載されるそうです。
「ルシアさんは関所を通る時はどのように?」
「私、指名手配中よ? 通る訳ないじゃない」
「そうですか」
興味本位で聞いてしまいましたが、さすが指名手配中なだけありますね。後、何をしたのかわかりませんがちゃんと捕まってください。
二人の身分証明書に記載された特徴やカシュジュ国側で記載されていた喋り方の特徴や入国理由を確認しました。確かに彼らは人身売買の為に入国しています。それにあの日私とルアさんを襲った三人のうち二人で間違いないでしょう。
もう一人の特定が完了すれば、大丈夫だと言うことですよね。
そんなことを考えていますと、今度はまた大量に身分証明書が置かれました。
「これは?」
「カシュジュ国側から入手した入国者リストから割り出した人身売買業者の候補者リストよ。この中から最後の一人の特徴と一致する人を探しておきなさい。今日、そいつがここに来ないという可能性もあるのでしょう」
ですよね。私もそう思います。
「でも初めからカシュジュ国側のリストを公国で調査していれば人身売買なんてされなかったのではないでしょうか?」
「無理よ。彼らが人身売買を目的にカシュジュ国に入国しているからと言って、出荷対象の人間をどこで調達しているかわからないもの。この入国調書を見なさい」
ルシアさんが取り出した調書には、荷物の欄に記載されている文字に家畜と記載されていました。
「人間だろうとウサギだろうと、家畜と書いてあれば持ち込めるの。つまり、貴女に見せたリストの山にはただの業者も混じっている可能性はあるわ。まあ、真っ当な業者ならウサギとか羊って書くけどね」
そういえばルシアさん。候補者リストっていってましたね。
つまり入国理由に人身売買と書いてもカシュジュ国であるため犯罪にできない。人を持ち込んだとしても、荷物に家畜と書けば犯罪にならない。そういうことですね。
仕方なく、私は大量の身分証明書の山から、最後の一人の特徴に一致する人間を探し出しました。
ボイド辺境伯の犯罪の証拠はくっきりしてきました。
関所をどうにかできるのも辺境伯自身と、関所の人間だけみたいですが、関所の人間は定期的に入れ替わりがあるそうですし、長期にわたっての証拠隠滅から間違いなく辺境伯の仕業と睨んで良さそうでしょう。
そしてルアさんにお願いした作戦。それは公妃直々に通達されたご連絡。
『ベッケンシュタイン家の夜会にて、素敵な才のあるものをお見かけしました。その方とお連れになられた方に素敵な報酬を贈呈したいと考えています。しかし、その方がどなたか特定することができませんでした。つきましてはリンナンコスキ家の夜会にて前回夜会に参加された方々をお呼び致します。招待客は前回の夜会と同じ同伴者を連れてきてくださるようお願い致します』
更に、万が一同一の方をお呼びできない場合は、後日王宮にその方を連れてきてくださるようにご連絡をするかもしれません。と追伸してあります。
公妃様からの命令であれば、軽々しく無視することはできない。
その為、よほどの事情がなければオリーブ様以外の全員は同じ同伴者を連れてくるはず。
しばらくしてドアがノックされました。
「お嬢様。そろそろ他の招待客がお見えになる頃です」
リアの声でした。私はその声を聴いてからドアを少しだけ開け、フリーデリケさんがチェックしている招待客を一人一人チェックしています。
フリーデリケさんが背中に手をまわし、手の甲で背中を二回叩いたら、前回と違う同伴者というサインみたいです。
今の所、そのような招待客は来ていません。私はドキドキしながらその様子を眺めていました。
「いらっしゃいませ。招待状を拝見させていただきます」
私達を見つけ手を振るような真似をせず、いつもと違い誠実な対応をされて驚きそうになりましたが、あくまで変装しているのでしょう。
それはオリーブ様の記憶に、ベッケンシュタイン家の受付をしていたフリーデリケさんが残っていた時の為です。
「ギルベルト・ハウクル・バルツァー様で間違いありませんね。お連れの方もこちらにサインをお願い致します」
私はそこにマリー・コースフェルトと記載し、入館者の名前を事細かに記載していきました。
「他の招待客はまだ来ないな?」
ギルが私達三人にしか聞こえないほどの小声でフリーデリケさんに声をかけます。
「はい、お二人は予定通り他の招待客より早めに来ていただいています」
「そうか。では俺たちはそこの部屋に待機していればいいんだな?」
エントランスから一番近い部屋を指さし、フリーデリケさんはコクリと頷いた。
「はい。そちらに私がお呼びしたスペシャリストもお招きしましたので、他の説明は彼女から聞いてください」
「わかった」
そしてギルと二人でその扉をノックすると、中から少しくたびれた声で、入りなさいと聞こえてきました。
中にはメイド服を着た黒い髪の女性。青い瞳はどこか濁っていて、常に何か絶望しているかのような表情をしていました。
「貴女たちが話を聞きたい人ってことでいいのね?」
「はい。マリー・コースフェルトです」
「ギルベルト・ハウクル・バルツァーだ」
「私は名乗らないわよ。この国では指名手配中なの。どうしても呼び方が欲しいっていうならそうね、ルシア。ルシアよ」
指名手配犯さんが何故このような所にいらっしゃるのでしょうか。それ以前にフリーデリケさん元諜報員とは言ってましたけど、本当に何者なんですか。
ルシア……そういえば、あの時読んだウサギさんの飼い方の著者名…………偶然ですよね。
「早速だがボイド辺境伯の証拠を提供して欲しい」
「いいわよ。これが過去にボイド辺境伯が関わっていた人身売買業者と人さらいグループのリスト。拠点もまとめて記載してあるわ」
どっさりと紙の束が近くにあった机の上に置かれています。
「それから今捕まっているという前回やらかした奴が二人いたそうね。彼らはカシュジュ国に頻繁に出入りしているはずよボイド領からカシュジュ国に入る人間のリストはごまかせても、カシュジュ国に入る入国者リストは、ボイド辺境伯ではごまかせないわ」
そうです。ボイド領からの出国者リスト入国者リストは違法をしているため、ごまかすことはあっても、カシュジュ国はあくまで合法。リストをごまかす必要なんてありません。
ボイド辺境伯は自国の出国者リストと入国者リストだけごまかしていたみたいです。
「頻繁に出入りしていたのがあの二人である証拠は?」
「入国と出国には身分証明が必要なのだけれど、頻繁に出入りする人間の身分証明を毎回ごまかせば、カシュジュ国の門番に捕まってしまうわ。彼らはカシュジュ国ではあくまで犯罪を犯していないのだから、身分を偽る必要もないのよ」
そしてルシアさんは書類の中から二人の身分証明書を取り出します。身分証明書には、本人の特徴まで記載されております。
「何故二人の身分証明書が?」
「基本、身分証明書は王都と出身領の領主二人の承認で発行されるのよ。そして本人の手元に一枚、領主に一枚。最後に国に一枚保管されるの。これは王都にあったものを持ってきてもらった物よ」
国と国または国内であっても、領地と領地を移動する際にこれを関所に提出し、領地間の移動であればチェックは一瞬で終わり、関所によっては提出した瞬間に通れるくらいいい加減な所もあります。
しかし、国家間の関所は別です。特徴に間違いがないか入国理由は何かを細かくチェックし、一人一人厳重な入国審査チェックまで行います。
その時の言葉や喋り方の特徴まで記載されるそうです。
「ルシアさんは関所を通る時はどのように?」
「私、指名手配中よ? 通る訳ないじゃない」
「そうですか」
興味本位で聞いてしまいましたが、さすが指名手配中なだけありますね。後、何をしたのかわかりませんがちゃんと捕まってください。
二人の身分証明書に記載された特徴やカシュジュ国側で記載されていた喋り方の特徴や入国理由を確認しました。確かに彼らは人身売買の為に入国しています。それにあの日私とルアさんを襲った三人のうち二人で間違いないでしょう。
もう一人の特定が完了すれば、大丈夫だと言うことですよね。
そんなことを考えていますと、今度はまた大量に身分証明書が置かれました。
「これは?」
「カシュジュ国側から入手した入国者リストから割り出した人身売買業者の候補者リストよ。この中から最後の一人の特徴と一致する人を探しておきなさい。今日、そいつがここに来ないという可能性もあるのでしょう」
ですよね。私もそう思います。
「でも初めからカシュジュ国側のリストを公国で調査していれば人身売買なんてされなかったのではないでしょうか?」
「無理よ。彼らが人身売買を目的にカシュジュ国に入国しているからと言って、出荷対象の人間をどこで調達しているかわからないもの。この入国調書を見なさい」
ルシアさんが取り出した調書には、荷物の欄に記載されている文字に家畜と記載されていました。
「人間だろうとウサギだろうと、家畜と書いてあれば持ち込めるの。つまり、貴女に見せたリストの山にはただの業者も混じっている可能性はあるわ。まあ、真っ当な業者ならウサギとか羊って書くけどね」
そういえばルシアさん。候補者リストっていってましたね。
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仕方なく、私は大量の身分証明書の山から、最後の一人の特徴に一致する人間を探し出しました。
ボイド辺境伯の犯罪の証拠はくっきりしてきました。
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そしてルアさんにお願いした作戦。それは公妃直々に通達されたご連絡。
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更に、万が一同一の方をお呼びできない場合は、後日王宮にその方を連れてきてくださるようにご連絡をするかもしれません。と追伸してあります。
公妃様からの命令であれば、軽々しく無視することはできない。
その為、よほどの事情がなければオリーブ様以外の全員は同じ同伴者を連れてくるはず。
しばらくしてドアがノックされました。
「お嬢様。そろそろ他の招待客がお見えになる頃です」
リアの声でした。私はその声を聴いてからドアを少しだけ開け、フリーデリケさんがチェックしている招待客を一人一人チェックしています。
フリーデリケさんが背中に手をまわし、手の甲で背中を二回叩いたら、前回と違う同伴者というサインみたいです。
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